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7.王妃と二人だけのお茶会

エリーゼとアイリーン、二人だけのお茶会が始まった。


エリーゼは、王妃であるアイリーンを目の前してとても緊張していたのだった。


「そんなに緊張しなくても大丈夫ですわ…遅れて来てしまった事も理由があったのだから気にしなくてもいいですわ…ね?」


「えっ?あっ…はい…」


緊張でガチガチなエリーゼを見たアイリーンは、微笑みながら優しくエリーゼへと声をかけた。

アイリーンに声をかけられたエリーゼは、緊張で声が裏返りながら応えた。


「ふふ…どう?王宮入をしてまだ時間が経っていないけれど不自由などないかしら?」


「はい…陛下や王妃様、王太子殿下のお心遣いのお陰で不自由などございません。侍女として私について下さったマリアさんや料理長のユーリさん、庭師のロイさん、それに…王太子殿下の側近であるフェイ様にも慣れない私にとても良くして下さいますのでとても助かっています…」


アイリーンは、エリーゼに尋ねた。

すると、エリーゼは緊張しながらも良くしてくれている者達を思い浮かべる様に優しい微笑みを浮かべながら応えた。


「そう…それならば良かったわ。こちらから急に王太子妃候補として入宮して頂いたものだから心配していたのよ…」


「はい…お気遣い頂きありがとうございます。」


アイリーンは、にこりと微笑みながらエリーゼへといった。

エリーゼは、アイリーンに丁寧に礼をしながら言った。


「ユーリやロイは、気難しい使用人だけどエリーゼ嬢に失礼な態度など取らなかった?」


「失礼な態度など…その様な事は一切ありません。むしろ、お二人には昨日初めてお会いしたのに良くして頂いてます。」


アイリーンが、困った表情をしながらエリーゼへと尋ねた。

アイリーンの言葉にエリーゼは驚きながら慌てて応えた。



「ニャ〜ニャ〜ニャ〜オオ」


エリーゼとアイリーンが会話をしていると、そこへ王太子であるカイゼルの飼っている猫のテオがお茶会をしている場所へとやって来た。


「あら…テオ、あなたまたカイゼルの部屋から抜け出してきたの?カイゼルは、あと数日したら公務から帰宅するからもう少し待っていなさい…さぁ…おいで。」


アイリーンが、テオに気づくとテオに話しかけた。

そして、テオを抱っこしようとテオへと手を伸ばした。


しかし、テオはアイリーンの元ではなくエリーゼの元へと行きエリーゼの膝の上へと飛び乗ったのだった。


「きゃっ…テオ…急に飛び乗ってくるから驚いたわ。あなたまた脱け出して来たの?フェイ様を困らせてはだめよ?あなたのご主人様はあと少しで帰ってくるみたいだからもう少し大人しく待っていてあげて…ね?」


エリーゼは、急に自分に飛び乗ってきたテオに驚きながらも柔しくテオの頭を撫でながらテオへと言った。


そんな、エリーゼとテオの姿を見てアイリーンとアイリーンの侍女のサーヤは驚きの目で見ていた。


「まさか…あのテオがカイゼルやフェイ…私達以外の者に懐くなんて…驚いたわ。エリーゼ嬢はテオに何か気に入られる様な事でもしたのかしら?」


「え?いえ…昨日庭の散歩をしていた際に木から降りられずにいたテオを助けたのですが…それ以外は特に何もしていません。テオを探しに来られたフェイ様も王妃様と同じ様に驚いておられました…」


アイリーンは、驚いた表情をしながらエリーゼへと尋ねた。

エリーゼは、昨日テオと遭遇した時の説明を自分でも何故かわからないといった表情でアイリーンへとしたのだった。


「フェイが驚くのも無理はないわ…テオが当たり前の様に懐いて甘えているなんて…猫の扱いに慣れている様だけどご実家では猫を飼ってかしら?」


「いえ…母が猫アレルギーなものですから実家では猫は飼ってはいません。ですが、子供の頃に王都に足を運んでいた時に野良猫のお世話をこっそりしていた時期がありました。実家では飼えないので私がご飯や寒くない様にと暖を取れる物を持っていたりとしていたのです…その時の猫につけた名前もテオだったのですが…偶然にも殿下の飼っておられる猫の名前がテオだと聞き驚きました。殿下が飼っておられる猫があの時のテオな訳がないのに何だか懐かしく思っていたのです。」


アイリーンは、エリーゼの話を聞いても尚…驚いた様に言った。

そして、あまりにも猫の扱いに慣れているエリーゼを不思議に思い尋ねた。

エリーゼは、懐かしそうな表情を浮かべながら少し微笑みアイリーンへと説明した。


エリーゼの言葉を聞いたアイリーンとサーヤは、驚いた表情でお互いの顔を見合った。

そんな二人を不思議そうにエリーゼは見ていた。



「そうだったのね…どうりで猫の扱いが上手い訳だわ。お茶中申し訳ないけれどテオがエリーゼ嬢の膝の上が気に入ったみたいだからもう少しそこにいさせてあげてちょうだいね。」


「はい。大丈夫です。フェイ様がお戻りになるまでここにテオを乗せておきますね。」


アイリーン、優しい笑みを浮かべながらエリーゼへと言った。

エリーゼも、また笑みを浮かべながらアイリーンへと応えた。


「こちらから王太子妃候補として呼びつけておいて、当の王太子であるカイゼルが公務で王宮を空けていて申し訳ないわね…カイゼルと接する時間も持てないものね…」


「いえ…殿下も色々とお忙しい身でしょうから…それよりも何故私が選ばれたのかわからな……あっ…申し訳ありません。失言でした…」


アイリーンは、困った表情を浮かべながらエリーゼへと言った。

エリーゼは、慌てて言葉を返したがついずっと不思議に思っていた事を口にしてしまい焦ったのだった。


「大丈夫よ…そうよね。何の前触れもなく急に王太子妃候補と言われても驚くのは無理もないわ…しかも、ご令嬢を三人まとめて入宮させるなどね…」


「あっ………。私は他のご令嬢と比べて爵位も低いですし年齢も成人するまであと一年あります…それに、社交界デビューもしていません。何故私なのかと不思議に思っていまして…」


アイリーンは、困った表情を浮かべながら申し訳なさそうにエリーゼへと言った。

エリーゼは、自分が思っている不思議な事を思い切ってアイリーンへと言った。


「そうね…理由がないのであれば不思議に思っても仕方ないわね…私の口からよりカイゼル本人に理由を聞いたほうが早いと思うわ…あと数日で公務から帰宅するわ。そうしたらご令嬢達との時間も作れるだろうから話をするといいわ…」


「はい……。」


アイリーンは、何か言いたそうな表情だったがすぐに笑みを浮かべてエリーゼへ言った。

エリーゼは、少し不安そうな表情を浮かべながら返事をした。


「実は…先程から気になっていたのだけどそちらにあるカゴの中には何が入っているの?」


「これですか?このカゴの中には編み物をする物が入っています。昔から編み物が得意なので散歩がてらお庭のベンチで編み物をしようと思いまして…毎年寒い季節には、実家の家族と使用人の方達に足元が冷えない様にと靴下を編んで渡しているのです。侍女のマリアが寝る際に足元を冷やさず寝れる様に靴下を編んで渡そうと思っているのです…」


アイリーンが、エリーゼが持ってきたカゴが気になっていた様でカゴに何が入っているのかをエリーゼへ尋ねた。

エリーゼは、中身は編み物をする為の道具で編み物をする為に持ち歩いてたとアイリーンへ説明したのだった。


「あなたは…とても優しい子なのね…」


「はい……?」


アイリーンは、ボソリと呟いた。

エリーゼは、アイリーンが何と言ったが聞き取れず不思議な表情で言った。


「いえ…何でもないわ。毛糸が足りなくなったらいつでも侍女を通して言ってね。こちらで用意をさせて貰うから。」


「いえ、そんな…滅相もありません。毛糸は沢山持ってきましたので…その様は事でお手数などかけれませんので…お気持ちだけで十分でございます…」


アイリーンは、優しく微笑みながらエリーゼへと言った。

エリーゼは、アイリーンの言葉に驚きしどろもどろしながら応えた。


「失礼致します。王妃殿下…ご令嬢方をお部屋までご案内して只今戻りました。」


エリーゼとアイリーンが話をしていると、そこへフェイが令嬢達を部屋まで案内して戻って来たのだ。


「あら…フェイ。ご苦労様。せっかくエリーゼ嬢と楽しくお話していたのに、フェイも戻って来た事だしお茶会はそろそろお開きね…エリーゼ嬢、短い時間だったけれど楽しい時間を過ごす事が出来たわ。ありがとう。また、お話する機会を設けるわね。」


「はい。こちらこそ遅れてしまったのにも関わらずこの様な王妃様とのお時間を取って頂きありがとうございました。私も王妃様とお話する事が出来て光栄でした。」


アイリーンは、フェイに困った表情で言うとエリーゼの方を向き笑顔でエリーゼへと言った。

エリーゼは、アイリーンの言葉に恐縮しつつ笑顔でお礼を言った。


そんなエリーゼを笑顔で見たアイリーンは、サーヤと共にその場から去ったのだった。


こうして、失態と緊張のエリーゼの初めてのお茶会は終わったのだった…

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