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67.カイゼルの感情の変化

お互いの気持ちが通じ合ったエリーゼとカイゼルは花火大会が終わり帰宅する為に丘を降りアリストンの家へと向かっていた。


帰りの道中では二人は照れながらも手を繋いで歩いていた。


「また…時間があれば二人で出かけないか?」


カイゼルが歩きながらエリーゼへと尋ねた。


「はい。是非。」


エリーゼはカイゼルの言葉を聞き嬉しそうに笑みを浮かべながら応えた。


「どこに出かけるのがいいだろうか…。」


カイゼルは考える様な表情を浮かべながら言った。


「あえて行き先を決める事なく気の向くままに街を歩きながら決めるというのはどうですか?」


エリーゼがカイゼルに提案した。


「うん…。それはいい考えかもしれない。よし…!そうしよう!」


カイゼルはうんうんと笑みを浮かべながら頷きながら応えた。


(そうする中でエリーゼとの時間を大切にも出来るし…王太子としてこの国の王都が状況はどんなものなのかも知る事が出来て良いな…。)


カイゼルはエリーゼに応えつつそんな事を考えていた。


「はい。楽しみです。」


エリーゼは笑みを浮かべながら言った。


「そうだな…。楽しみだな。」


カイゼルもエリーゼの笑みを見て自然と笑みを溢しながら言った。


そして、二人が話しながら歩いているとあっという間にアリストンの家へと到着したのだった。


コンコンッ!


「アリさん…ただ今帰りました。」 


エリーゼが扉を叩きながら言った。


ガチャ!


「あぁ。お帰り。寒かっただろう?さぁ早く中へ入るといい。」


扉を開けて中からアリストンが出てくると笑顔でエリーゼとカイゼルを出迎えると優しく言った。


「はい。ありがとうございます。」


エリーゼは頷きながら笑顔で言った。


そして、エリーゼとカイゼルは家の中へと入った。


「カイ…無事にエリーゼを連れて帰ってきてくれてありがとう…。」


アリストンがボソリとカイゼルへと言った。


「はい。」


カイゼルは頷きながら応えた。


「エリーゼ…ずっと外にいて冷えただろうから風呂にでも入って温まるといい。私は…カイとフェイをすぐそこまで送ってくるから。」


アリストンはエリーゼの方を向き笑顔で気遣う様に言った。


「はい。分かりました。では…お言葉に甘えてそうさせてもらいますね。」


エリーゼはアリストンの言葉に笑顔で応えた。


「あの…カイさん…今日は本当に誘って頂いてありがとうございました。とても楽しい時間が過ごせました…。」


エリーゼは少し照れた様な表情を浮かべながらカイゼルへと言った。


「あっ…あぁ…。いや…俺の方こそ楽しい時間を過ごすことが出来たよ。ありがとう…。」


カイゼルもどこかソワソワした様に応えた。


「では…気をつけて帰って下さいね。カイさんも体が冷えていると思うので風邪など引かない様に気をつけて下さいね…。」


エリーゼははにかんだ様な笑みを浮かべてカイゼルの体を心配しながら言った。


「あぁ。気をつけるよ。ありがとう。エリーゼも気をつけてな…。」


カイゼルはフッと…少し笑みを溢しながら言った。


そんな二人のやり取りをアリストンが目を細めながら見ていた。


「フェイさんもお気をつけて…。」 


エリーゼはフェイにも声をかけた。


「はい。ありがとうございます。」


フェイは笑顔で応えた。


そして…

アリストン、カイゼル、フェイの3人は家を後にしたのだった。



外へ出て歩き出すとカイゼルが口を開いた。


「あの…家にエリーゼを一人にしても大丈夫なのですか?!」


カイゼルがアリストンへと少し険しい表情を浮かべながら尋ねた。


「ん?あぁ…。戸締まりもしてきたしお前たちを送るのはすぐそこまでだから問題ないだろう。」


アリストンは動じる事なく応えた。


「……。今日…アリさんとフェイは俺たちの後をついて来ていたからわかりますよね?今日…怪しい男が俺とエリーゼの後をつけてにたのを…。」


カイゼルは少し黙った後に真剣な表情を浮かべながらアリストンへと言った。


「やはり…バレていたか?やはり少し心配になったな。悪いとは思ったが後を歩かせてもらったよ…。それに…もちろん怪しい男には私達も気づいていたさ…。」


アリストンは苦笑いを浮かべながら言うとすぐに真剣な表情を浮かべながら言った。


「ならば…この状況でエリーゼを一人にしておくのは…。」


カイゼルは真剣な表情のままアリストンへと言った。


「私も馬鹿ではないからな…。私の家にまで怪しい人物が近づいてきていたならすぐに分かるからな…。だが、幸いして私の家にエリーゼがいる事は気づかれていない様だからな…。」 


アリストンは自信満々に応えた。


「しかし…。」


カイゼルはそれでも心配といった表情を浮かべながら言った。


「それよりも…あの怪しい物が何の目的でお前達の後をつけていたかが問題だ…。恐らく…エリーゼの後をつけていた…と言った方がいいだろうが…。」


アリストンは険しい表情を浮かべながら言った。


「恐らく…アリさんの言う通りエリーゼを狙っていたのだとは思います…。」


カイゼルも険しい表情を浮かべながら言った。


(王太子である私を狙うのであればあんなにも気配を隠さず後などつけないはずだからな…。)


カイゼルはそんな事を考えていた。


「エリーゼの事をつけ回していたという事は…誰かに頼まれて動いているのだろうからその頼まれた誰かを明確にする事も大事になってくる…。」


アリストンが考え込む様に言った。


(まぁ…ある程度の目星はついているが…カイゼルがそれに対してどう動くか……。)


アリストンは話しながらそんな事を考えたいた。


「はい…。分かっています…。一先ず引き続きエリーゼが出かける際は絶対にエリーゼを一人にしない事を今まで以上に徹底しなければならないのは確かです。」


カイゼルが真剣な表情を浮かべながら言った。


「あぁ…。わかっているさ…。」


アリストンが応えた。


「それはそうと…カイ…今日はエリーゼと何かあったのか?先程のやり取りをする二人は何だか雰囲気が今までとは違う気がしたが…。私とフェイはカイ達が丘へ登るまでしかついていかなかったからその後の事は分からずだからな…。」


アリストンがスーっと話を変えてカイゼルへと尋ねた。


「え?あぁ…。それは…ですね…。」


カイゼルはアリストンに尋ねられてドキリッとしながら言った。


「はぁ…。まぁ…この様な事は隠していても仕方ないので言います…。実は…その…俺は少し前からエリーゼと過ごす内にエリーゼに惹かれていました…。」


カイゼルは諦めた様な表情を浮かべると少し話しづらい表情を浮かべながらカイゼルへと説明した。


「ほぅ……。それで…?」


カイゼルの言葉を聞いてアリストンが言った。


「今日…エリーゼと過ごす時間の中で…この気持ちは胸にしまっておこうと思っていたのですが…あまりにもエリーゼが愛おしく感じて気づいたら…自分の気持ちを口にしてしまっていたのです…。」


カイゼルはその時の事を思い出すかの様な表情を浮かべながら言った。


(王太子である私が…他人にこの様な話をしているなど…ふっ…全くおかしな話だな…。)


カイゼルはアリストンへ話をしながらもそんな事を思っていた。


「それで…口にしてどうなったんだ…?」


アリストンがカイゼルと尋ねた。


「はい…。俺の言葉を聞いてエリーゼは驚き…そして…涙を流しました…。俺はきっと自分勝手に気持ちを伝えてしまいエリーゼを傷つけたと思いました…。ですが…エリーゼから返ってきた言葉は…エリーゼも俺と同じ想いを俺に持っているという言葉でした…。」


カイゼルはその時の事に浸る様に言った。


「エリーゼも…カイの事を想っていると…?」


アリストンがカイゼルへと尋ねた。


「はい…。俺はそれがなかなか現実だとは思えない程驚きましたが…それが段々と嘘ではないと理解した時には今まで感じた事のない感情が湧いてきました…。想いを寄せている相手が自分と同じ気持ちを寄せてくれているというだけでこんなにも感情が満たされるのかと思いました…。」


カイゼルはしみじみと言った。


(カイゼルはあの事件以来…感情をろくに出すことなく成長したとガストンが嘆いていたが…今では…この様に色々な感情を出しているとは…。喜ばしい事だが…そのきっかけが自分が自分勝手に傷つけた相手のエリーゼのお陰とはな…。何とも皮肉なものだな…。)


アリストンは自分感情を隠すこともなく出しながら話をしているカイゼルを見てそんな事を考えたいた。


「自分には…本当はエリーゼとこの様な幸せな気持ちを分かち合う資格などないと分かっていても…今…エリーゼと共に時間を過ごす事がとても大切なのです…。」


カイゼルはどこか苦しそうな切なそうな表情を浮かべながら言った。


「何故……自分にはその資格がないと?」


アリストンは事情を知っていてあえてそこをカイゼルへと尋ねた。


「それは……。」


アリストンに尋ねられたカイゼルはグッ…っと更に苦しそうな表情を浮かべながら言った。


「……。まぁ…言い辛い事なら言う必要はないさ…。」


アリストンは困っているカイゼルの表情を伺い言った。


「すい…ません……。」


カイゼルは言えない事をアリストンへと謝った。


(アリさんにも…自分が王太子で…その立場で…エリーゼを傷つけ…エリーゼの記憶喪失の原因の一つを作ったから…など…言えない…。)


カイゼルはアリストンに謝りながらそんな事を思っていた。


「言えないのは仕方ないが…これだけは言っておく…。この事がきっかけでエリーゼが傷つく事になった時は私は…お前を許さないし黙ってはいない…。それだけはよく覚えておけよ!」


アリストンはスーっと表情を真剣な表情にして圧をかけるようにカイゼルへと言った。


「はい…。」


カイゼルはアリストンの圧をひしひしと感じながら応えた。


(王兄殿下はやはり…エリーゼ様の事が一人の女性として想っておられるのだろう…。先程の王兄殿下の表情を見ると間違いないだろうな…。)


カイゼルとアリストンのやり取りを横で見ていたフェイはふとそんな事を思っていた。



「よし…。では…この辺りで私は家へ戻る。二人共気をつけて帰るんだぞ。明日は俺とエリーゼは出かける所があるから恐らく朝から夕方までは家にいないと思う。」


アリストンが話をピシャッと切りカイゼルとフェイへと言った。


「分かりました。見送りありがとうございました。では…また…。」


「今日は、お疲れ様でした。それでは…また…。」


カイゼルとフェイがアリストンへと言った。


「あぁ…。」


アリストンは応えるとくるりと後ろを向いて自宅へと帰っていった。


アリストンが自宅へ向かうのを確認するとカイゼルとフェイも王宮へと戻っていた。



その頃、エリーゼは風呂から上がり疲れていたのか自室でウトウトしていた。


(今日は、本当に素敵な一日だったわ…。好きな相手と気持ちが繋がる事がこんなにも幸せな事だと知れた特別な日だったわ…。こんな風に…好きな人と…幸せに…楽しく…いつか…お互いにお互いを想い合い…助け合い…仲睦まじくいられる相手と…結婚して…普通の幸せな生活送りたいわ……あれ…この言葉…前にもどこかで…。)


エリーゼはウトウトしながら今日の出来事を振り返りながら幸せな気持ちを噛み締めそんな事を思っているとふと、自分がどこかで聞いた事のある言葉を言ったなと思った。

しかし…エリーゼはそのまま眠りについてしまったのだった。


エリーゼは深く眠りについていた…



『……にな……………ここ……出て………!』


エリーゼは夢を見ていた。

夢の中で誰かが何かを言っている夢を見ていた。

それが誰なのか分からないと思ったその時…


その誰かが振り返った…


そこに見えたのは…


何とも冷たい目をした冷たい表情を浮かべるカイゼルの顔だったのだ…


その瞬間…


エリーゼは目が覚めガバッと起き上がった。


「はぁ…はぁ…はぁ…。今のは…カイさん…?とても冷たい表情でまるで別人のようだったけれど…カイさんだったわ…。一体…どういう事なの…?私は…カイさんと会った事があるの…?」


エリーゼは息を切らしながら頭を混乱させてながら呟いたのだった…。

ご覧頂きありがとうございます★


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この度、男装令嬢・キャサリンは探偵助手をする事になりました!!

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公爵令嬢シャーロットは、3度目の人生を生き抜くと決意しました!!


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