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66.通じ合った気持ち…

大きな花火の音ともにカイゼルの口から出た言葉にエリーゼはポカーンとした表情を浮かべていた。


「え…?」


そして、エリーゼは思わず言葉を発したのだった。


「えっと…カイさん…今…なんと?」


エリーゼは驚いた表情を浮かべながら自分の事をジッと見つめるカイゼルへ尋ねた。


(今…カイさん…好きだ…と言ったわよね…?花火の音と重なったけれど…。そんなに花火が好きだったのかしら…。一瞬…私に言われているみたいで心臓が飛び跳ねてしまったわ…。そんな事ある訳ないというのに…。)


エリーゼはカイゼルに尋ねながらそんな事を思っていた。


「………。」


カイゼルはエリーゼに尋ねられても無言のままだった。


(カイさん…黙ったままだけれどどうしたの…かしら…。)


エリーゼは首を傾げながらカイゼルを見てそんな事を思って少し心配した表情を浮かべていた。


「あの…カイさん?大丈夫ですか?あの…先程…聞き間違いかもしれませんが…好きだ…と…。そんなにカイさんは花火がお好きだったのですか…?」


エリーゼは黙っているカイゼルへと尋ねた。


その時…


パーーーン!

ヒュルル〜…

バババーン!!

バーーン!


とピンク色とオレンジ色と黄色が綺麗に混じった花火大会最後の花火が打ち上がった。


「好きだ…。」


カイゼルは花火の光を受けながらエリーゼの事をジッと見つめながら再度呟いた。


(やっぱり…。カイさんは花火が好きだと言ったのね…。)


エリーゼはカイゼルの言葉にどこか残念な気持ちになりながらそんな事を思っていた。


「やっぱり花火が…。」


エリーゼがカイゼルの言葉を聞いて少し笑みを浮かべながらそこまで言った。


「いや…花火では…ない………。俺は…君の事が…エリーゼの事が好き……なんだ………。」


カイゼルは真剣な表情を浮かべて…でもどこか切ない様な苦しそうな表情を浮かべながらエリーゼへと言った。


「えっ……。」


エリーゼはカイゼルの言葉を聞いて呆気に取られた様な表情で目を大きく見開きながら声を漏らした。


そして…

少しの間その場に沈黙が続いた。


(エリーゼが黙ったままだ…。エリーゼを見ていたら愛おしさが止まらなくなり…つい…勢いで自分の気持ちを伝えてしまったが…このエリーゼの反応は…まずい事をしてしまった様だな…。)


カイゼルは沈黙を続けるエリーゼを見ながら困った様などこか焦った様な表情でそんな事を思っていた。


カイゼルがそんな事を思っていた時…


ポロリ……

ポロリ……


エリーゼの目から涙が溢れたのだった。


「エッ…エリーゼ?!どっ…どうした?!」


エリーゼの涙を見てカイゼルは驚きたじたじになりながらエリーゼに尋ねた。


(泣くほどに…嫌だったのか…。私はやはり…エリーゼを悲しませる事しか出来ないのか…。本当に情けないな…。)


カイゼルはエリーゼの涙を見ながら切なそうな悔しそうな表情を浮かべながらそんな事を思っていた。


「すまない…エリーゼ…俺がいらない事を言ったせいで…。頼む…もう…泣かないでくれ…。」


カイゼルは自分も今にも泣いてしまいそうな切ない表情を浮かべながらエリーゼへと力なく言った。


「ごめんなさい…。泣いて…しまって…でも…違うんです…これは…。」


エリーゼは涙を堪える様に呟いた。


「何が…違うんだ…?」


カイゼルはエリーゼの言っている事が理解出来ず尋ねた。


「その…これは…嬉し涙なんです…。」


エリーゼは涙を拭きながらカイゼルの方を見て言った。


「嬉し…涙…だと…?一体…。」


カイゼルはエリーゼの言葉の意味が解らず呟いた。


「つい数分前に…花火が打ち上がった時に…願い事をしたばかりで…その願い事がこんなにも早く叶ったので…信じられず…思わず嬉しくなり…自然と涙が出たのです…。」


エリーゼはようやく涙が止まり優しく微笑む様にカイゼルへと言った。


「願い事が…叶った…とは?」


カイゼルはエリーゼが笑みを溢したのを見て少しホッとした表情でエリーゼへと尋ねた。


「………。私も…その…カイさんの事が好き…なのです…。異性として…。花火が打ち上がった時にいつか私の想いがカイさんに届きます様に…と願ったのです…。」


エリーゼは少し照れた様に恥しそうな表情を浮かべながらもとても嬉しそうな笑みを浮かべながらカイゼルへと告白をしたのだった。


「な…に……?エリーゼが…わた…俺を好きだと…?」


カイゼルはエリーゼの言葉にとても驚き言葉を詰まらせながら言った。


「はい…。私は…カイさんの事を慕っています。」


エリーゼはカイゼルの目を真っ直ぐと見て涙目だが満面の笑みでカイゼルへと言った。


(カイさんに…私の想いを伝える事が出来たわ…。まさか…こんなにも早く伝える時が来るなんて思いもしなかったけれど…いざ…カイさんを目の前にして自分の気持ちを伝える事が出来ると何だか胸の中がスッキリして

ガバッ!!


次の瞬間…

カイゼルが思い切りエリーゼを抱きしめた。


あまりに突然抱きしめられたエリーゼは驚いた表情を浮かべたまま一瞬固まってしまった。


そして…


「あっ…あの…カイさん…?」


エリーゼは驚きながらもカイゼルへと声をかけた。


「本当に…本当なのか…?本当に…エリーゼは俺の事を想ってくれているんだな…?」


カイゼルは少し震えた声でエリーゼを抱きしめたままエリーゼへと尋ねた。


(カイさん…震えているの…?)


エリーゼは自分を抱きしめるカイゼルが少し震えているのに気づき抱きしめられたままそんな事を思っていた。


そして…


「はい…。本当です…。本当にカイさんの事を想っています…。」


エリーゼは少し戸惑いながらもカイゼルを優しく抱きしめ返しながら優しく応えた。


そしてカイゼルはエリーゼの言葉を聞いてまた強くエリーゼを抱きしめると一度体を離したのだった。


「急に…抱きしめてしまいすまない…。エリーゼの気持ちを聞いたらたまらなくなり気づいたら抱きしめていた…。」


カイゼルはエリーゼの顔を見て少し申し訳なさそうにエリーゼへと言った。


「いっ…いえ…。大丈夫です…。少し驚きましたが…その…カイさんに抱きしめられて…その…とても幸せな気持ちになりましたので…。」


エリーゼは急に恥ずかしくなったのか頬を赤らめながらカイゼルの顔をチラチラと見ながらモゴモゴとカイゼルへと言った。


「本当に…嘘ではないんだな…。」


カイゼルはまだエリーゼの気持ちが信じられないといった表情を浮かべながら言った。


「はい…。嘘ではありません…。」


エリーゼは頷きながら恥ずかしそうにしながらもカイゼルへと笑みを浮かべながら言った。


「好きな相手と気持ちが繋がる事がこんなにも嬉しく幸せな気持ちになるとは…。初めての感覚だ…。」 


カイゼルはエリーゼの頬へと手をそっと添えながら言った。


「私も…カイさんと同じ気持ちです…。好きな相手と自分が同じ想いを抱いていたという事が…こんなにも嬉しく幸せで胸が温かくなるだなんて初めて知りました。」


エリーゼは自分の頬に添えられたカイゼルの手をとても心地よく感じながら幸せそうな笑みを浮かべながらカイゼルへと言った。


「エリーゼ…君は…いつ…俺を…?」


カイゼルは気になった事をエリーゼへと尋ねた。


「本当に…自分の気持ちに気づいたのは最近なのですが…思い返せばカイさんと過ごす中できっと…とっくにカイさんに惹かれていたのだと思います…。」


エリーゼは思い返す様な表情を浮かべながらカイゼルへと応えた。


「そうか…。俺も同じだ…。エリーゼに会った時からきっと…エリーゼに惹かれていたのだ。始めは怖がらせてばかりで戸惑っていたがいつの間にかエリーゼが俺に笑いかけてくれる事が嬉しくてたまらなかったんだ…。エリーゼと過ごす時間が楽しく幸せだったんだ…。」


カイゼルは優しい笑みを浮かべながらエリーゼの頬を優しく撫でながら言った。


「ふふふ…。私も同じです。今日は特に二人で出かける事になりましたがいつの間にか緊張よりも楽しさや嬉しさや幸せな気持ちの方が大きくなっていました。」


エリーゼは自分の頬を撫でるカイゼルの手に少し緊張しながらも優しく自分の手を添えながら優しい笑みを浮かべながら言った。


「幸せだな…。本当に幸せで目の前にいるエリーゼが愛おしくてたまらない…。」


カイゼルは優しい笑みを浮かべながら言った。


「何だか…照れますね…。ですが…私も今…とても幸せな気持ちでいっぱいです…。気持ちを伝えた事でこんな幸せが待っているだなんてつい数分前までは考えもしませんでしたど…。」


エリーゼは照れた様に笑みを溢しながらも言った。


「確かにそうだな…。気持ちを相手に伝えるという事はしてとても大切な事だという事を一段と学んだ気がするな。」


カイゼルはフッと笑みを溢しながら言った。


「お互いが想い合っているという状況が初めてなので驚いたり戸惑いがあるとは思うのですが…その…よろしくお願いします…。よろしくお願いしますで合っていますかね?」


エリーゼは戸惑った表情を浮かべながら頭を軽く下げながらカイゼルへと言った。


「俺も同じだ。この様な気持ちや状況など初めてだからどうしたら良いのか分からないのだが…こちらこそよろしくお願いするよ。」


カイゼルもエリーゼの言葉を聞き戸惑いながら頭を軽く下げながら言った。


「ハハハ…。」


「ふふふ…。」


エリーゼとカイゼルはお互いが頭を下げながらよろしくお願いと言っているのが可笑しくなり二人で笑みを溢したのだった。


そして、カイゼルはもう一度エリーゼの事を優しく抱きしめたのだった。

エリーゼもまたカイゼルの事を優しく抱きしめ返したのだった。


(この幸せがこれからもずっと続くといいな…。カイさんに抱きしめられると何だかとても安心するし心が満たされるわ…。本当に今私…とても幸せだわ…。)


エリーゼはカイゼルを抱きしめ返して幸せを噛み締めながらそんな事を思っていた。


(まさか…エリーゼも私の事を想ってくれていたなんて…。今でもまだ…信じられないな…。エリーゼが私を想っていてくれていた事がこんなにも嬉しく幸せな気持ちで満たされるとは…。しかし…今のエリーゼは記憶がない…。もしも…記憶が戻ればエリーゼの気持ちはきっと…一瞬にしてなくなってしまうのだろう…。こんな幸せな時間がこの先もずっと続いて欲しいなどと思う私は…何と我儘で愚かなのだろう…。エリーゼの記憶が戻った時にエリーゼが傷つく事になるだろうと分かっていても今のこの幸せな時間を手放したくないと思っている…。きっと…こんな事を思う私には罰が下るのだろうな…。)


カイゼルはエリーゼを抱きしめながら複雑そうな表情を浮かべてそんな事を思っていた。

そんなカイゼルは自分の不安な気持ちを拭うかの様に更にエリーゼを深く抱きしめたのだった………。



こんなに幸せな時間が続くといいなと思っていた事がある日突然断ち切られる事になるだなんてこの時の二人は思ってもみなかったのだった……。

ご覧頂きありがとうございます★


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この度、男装令嬢・キャサリンは探偵助手をする事になりました!!

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