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63.恐怖を感じる記憶

明けましておめでとうございます!

新年一発目の更新です!



エリーゼとカイゼルが食事を済ませてデザートを食べ済ませた後に王都の街を見て回る為に公園を後にしたのだった。


花火大会もあるせいか街は人で賑わっていた。


「今日は花火大会があるからか街にいつもより沢山の人がいますね。」


エリーゼが街の人の多さに驚きながら言った。


「そうだな…。これから夜にかけて更に人が増えそうだな。」


カイゼルも周りを見渡しながら言った。



ドンッ!!


「きゃっ…」


その時、酔っ払っている男性がエリーゼへと思い切りぶつかった。

エリーゼは驚き思わず声が出た。

そしてエリーゼはぶつかった拍子にバランスを崩してよろけてしまった。


「エリーゼ!!」 


カイゼルはエリーゼの声を聞きエリーゼが倒れてしまいそうなところギリギリでエリーゼの腕を掴んで言った。


「エリーゼ!大丈夫か?!」


カイゼルはエリーゼの腕を掴み自分の方に引き寄せながら焦った表情を浮かべながら言った。


「はっ…はい…。大丈夫です。カイさんのお陰で転ばずにすみましたので…。」


エリーゼはカイゼルに引き寄せられた状態で応えた。


ドキドキ…

(転ばずに済んだのは良かったけれど…こっ…こんなにカイさんに近いと心臓の方が大丈夫ではないわ…。心臓の鼓動がカイさんにまで伝わってないといいのだけれど…)


エリーゼはカイゼルに応えながら内心は心臓の鼓動が激しくならせながらそんなことを思っていた。


「そうか…それならば良かった…。」


カイゼルはエリーゼの言葉を聞いてホッとした表情を浮かべながら言った。


(はぁ…エリーゼが怪我などしなくて良かった…。)


カイゼルはエリーゼの言葉を聞いて内心、心からホッとしつつそんな事を思っていた。


そしてカイゼルはエリーゼの無事を確認するとすぐにエリーゼへぶつかってきた酔っぱらいの男性の方を向いて口を開いた。


「おい!酒を飲むのはいいが周りが見えなくなる程酔っ払うのなら歩き回らず大人しくしておけ!!それに人にぶつかったのではあれば謝るのが筋だろう!」


カイゼルは凄い圧をかけながらエリーゼへとぶつかった男性へと言った。


「ヒック…なっ…何だ?!ヒック…若造の分際で俺に説教か?!」


男性は泥酔状態のままカイゼルへと悪態をついて言った。


そんな男性にカイゼルは睨みを利かせながら無言の圧をかけた。


「なっ…何だ…その目は…」


カイゼルに圧をかけられた男性は先程までの勢いはなくカイゼルの圧に恐怖を覚えた様に言った。


そんな男性にカイゼルは表情ひとつ変える事なく男性を睨んでいた。


「……。ヒック…チッ!悪かったよ…」


そんなカイゼルを見て男性は怯えた表情を浮かべながらエリーゼの方を見てボソリと謝罪の言葉を言った。


だが…

エリーゼには男性の言葉は聞こえていなかった。



『………………っ……っ…近づき色目を使うなど……………っ…恥ずかしくはないのか!……………っ…君には今すぐここから出ていって………っ…。』


エリーゼの頭の中にはエリーゼが誰かに罵声を浴びさせられている光景が浮かび上がっていた。


(何?どうして私はこんなに罵声を浴びているの?私に罵声を浴びせているの誰…な…の……顔がもう少しで…見えそうなのに…一体誰…)


エリーゼは頭の中に浮かぶ光景を見て自分が何者かに罵声を浴びさせている事に混乱していた。

そしてその相手の顔が見えそうで見えない事に苦悩していた。


そこに…


「ゼ……リゼ…エリーゼ!!」


カイゼルが血相を変えてエリーゼの名前を呼んだ。


エリーゼは自分の名前を呼ぶカイゼルの声でハッとなり我に返った。


「カイさん……」


エリーゼは額から冷や汗を流し顔色を真っ青にしながらカイゼルの名前を呼んだ。


「エリーゼ!どうした?酷い顔色と汗だ!」


カイゼルはエリーゼを見て血相を変えたまま慌てて言った。


「大丈夫です…。」


エリーゼは苦し笑みを浮かべながら言った。


(カイさん…そんな顔しないで下さい…)


エリーゼはカイゼルの表情を見ながらそんな事を思っていた。


ガバッ!!


その時だった。


カイゼルがエリーゼを抱き抱えた。


「え?あっ…え?カイ…さん!?」


急に抱き抱えられたエリーゼが驚いた表情を浮かべながら言った。


「休める場所へ移動するから黙っていろ!」


カイゼルはエリーゼを抱き抱えながら言った。


「……。はい……。」


エリーゼは頷きながら応えた。


そしてカイゼルはエリーゼを抱き抱えたまま少し歩いて人が少ない場所へと移動して近くにあったベンチへとエリーゼを降ろして座れせた。


「カイさん…ありがとうございます…」


ベンチに座ったエリーゼがカイゼルへと言った。


「あぁ…。気にするな…。それより大丈夫なのか?また…頭痛に襲われたのか?」


カイゼルは心配そうな表情を浮かべながらエリーゼへと尋ねた。


「はい…。もう大丈夫です。ご心配おかけしました…。今回は頭痛に襲われた訳ではないのです…。本当に急に何の前触れもなく…記憶の断片が頭の中に広がったのです…。」


エリーゼは先程の自分の身に起きた事をカイゼルへと説明した。


「頭痛に襲われた時よりも酷い汗と顔色だったが…。その様になる程の記憶の断片だったのか…。その…差し支えなければ…どんな記憶の断片だったか聞いても……?」


カイゼルは心配そうに、でもどこか不安そうな表情をしながらエリーゼへと尋ねた。


「はい…。とても恐ろしい記憶の断片でした…。私が…その…誰だかは分からないのですが罵倒されていたのです…。何が理由で罵倒されているのかまではわかりませんでしたが…。罵倒している相手の顔ももう少しで見えそうだったのですが…。きっと記憶の断片を見て恐ろしくなり冷や汗が出て顔色が悪くなったのではないかと…。」


エリーゼはどこか怯える様な少し表情を歪ませながらカイゼルへと説明した。


「罵倒…だと…?」


カイゼルがエリーゼの説明を聞いて急に表情を歪ませながら呟いた。


「はい…。」


エリーゼは頷きながら応えた。


(カイさん…急に表情が変わった様に思ったけれどどうしたのかしら…。罵倒などという言葉を聞いて嫌な思いをさせてしまったかしら…)


エリーゼは応えながらカイゼルの表情を見てそんな事を思っていた。


「そう…か…。エリーゼを…罵倒するなど…酷い奴がいたものだな…。許せないな…。そのうちに罵倒した相手の顔も思い出すのだろうか…。」


カイゼルは更に表情を歪めながら言った。


(何が…酷い奴がいたものだな…だ…。それは私の事だというのに…。私の顔は見えなかった様だが…エリーゼが思い出すのもやはり時間の問題かもしれないな…。記憶の断片だけで今までにない程に顔色が悪く怯えてもいたんだ…その相手が私だと思いだしたら怯えられるどころではないな…。ははは…きっと本当に拒絶れるだろうし今後…エリーゼと話す事はおろか会う事すらもなくなってしまうかもしれないな…。)


カイゼルはエリーゼと話をしながらも内心では絶望に似た気持ちになりながらそんな事を思っていた。


「とても恐ろしい記憶の断片でしたので思い出すのも…少し怖い気がしますけどね…。」


エリーゼは苦笑いを浮かべながら呟いた。


(それにしても…記憶の断片の私を罵倒した相手の声…どこかで聞いた事がある声な気がしたけれど…。)


エリーゼは呟きながらふとそんな事を思っていた。


「あっ…あの…カイさん、私は本当にもう大丈夫ですので少し街を歩きながら花火が見える場所まで行きましょう。」


エリーゼはどこか表情の強張ったカイゼルを見て自分の事を心配させてしまっているんではないかと思いカイゼルへと言った。


「本当に大丈夫なんだな…?」


カイゼルはエリーゼの顔を見て尋ねた。


「はい…。大丈夫です。」


エリーゼはカイゼルに問われると笑みを浮かべながら応えた。


(せっかくカイさんとのお出かけなんだから少しでも長く楽しく過ごしたいものね。)


エリーゼはそんな事を思っていた。


「そうか…。ならば…行くとするか。」


カイゼルはエリーゼの笑みを見て少しホッとした表情を浮かべて言った。


(いつまでもエリーゼが私の事を思い出してしまう事に怯えていてはせっかくの今を楽しむ事が出来ないな…。せっかくエリーゼと二人で出かけているのだから今はこの時間を大切にエリーゼが楽しめる様に過ごそう…。)


カイゼルはエリーゼと話しながらそんな事を思っていた。


「はい。」


エリーゼは笑顔で応えた。


そんなエリーゼの笑顔を見てカイゼルも表情を緩めたのだった。


二人は再度賑わっている街の方へと向かったのだった。


カイゼルが街に向かう途中チラリと回りを見渡した事にエリーゼは気付く事もなかったのだった…

今年も小説を覗いて頂けると幸いです★


他にも連載中小説あります☆

よろしければ…

↓↓↓↓

この度、男装令嬢・キャサリンは探偵助手をする事になりました!!

〜探偵様は王子様?!事件も恋も解決お任せ下さい〜


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