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6.失態

エリーゼは、早速翌日マリアを連れて厨房の裏口へと向かった。


すると、厨房の裏口にユーリとロイが待っていた。


「ユーリさん、ロイさん、お待たせ致しました。お忙しい中お時間をとって頂きありがとうございます。」


「エリーゼ様、お待ちしておりました。早速厨房の方へとどうぞ…」


エリーゼが、ユーリとロイへと優しく微笑みながら言った。

ユーリは、嬉しそうに微笑みながらエリーゼへと言うとエリーゼとマリアを厨房の中へと案内した。


エリーゼは、いつもパンを作る様に楽しそうに時折ユーリに美味しく捏ねるコツなどを教えていた。

エリーゼは、使用人の方全員が食べれる程の数のパンの形成をしてオーブンに入れて焼いたのだった。


パンがちょうど焼き上がった時だった…


厨房に、息を切らせたフェイがやって来た。


「エリーゼ様…こんな所にいらしたのですね。もう王妃殿下とお茶会は始まっているというのに何故この様な場所に…さぁ、早く中庭へと向かいましょう。」


「フェイ様?王妃様とのお茶会とは何の事でしょうか……?」


厨房へとやってくるなり、エリーゼを見つけたフェイは呆れた表情でエリーゼへと言った。

しかし、エリーゼはフェイが何を言っているのか訳が分からず困惑した表情でフェイへと尋ねた。


「はい?!本日は、午前中に王妃殿下とのお茶会があると言伝を侍女長へご令嬢たちへ伝える様指示しておりましたがご存知ないのですか?!」


「え…。はい…言伝は受け取っていません…」


フェイは、エリーゼまったく状況を理解していないと思いお茶会の予定の説明をした。

フェイの話を聞いたエリーゼは、あっ…という様表情になり俯きながら言った。


「一先ず、王妃様は既に中庭へまいられております。エリーゼ様も急ぎ中庭へまいりましょう。ドレスの方は…着替えている時間などありませんのでそのままで行きましょう…」


「え?あっ…はい。」


フェイは、エリーゼの反応で何となくの状況を把握した。

そして、すぐにエリーゼを中庭へと連れて行く為にエリーゼへと言った。

エリーゼは、フェイに言われてるままに返事をした。


そして、エリーゼはフェイへと連れられて中庭へと向かった。


「あの…フェイ様…お手数おかけして申し訳ありません…」


「……。いえ…こちらもしっかりと言伝が伝っているかを確認するべきでしたから…」


エリーゼは、フェイに申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら言った。

フェイは、そんなエリーゼを見てバツが悪そうな表情で言った。


そして、二人は中庭へと到着した。


「王妃殿下…お待たせ致しました。エリーゼ様をお連れ致しました…」


「王妃様…大変遅れてしまい申し訳ありません…」


フェイが王妃であるアイリーン

へと言った。

エリーゼは、アイリーンに遅れてしまった事を申し訳なさそうな表情で謝った。


「エリーゼ嬢…とりあえず席に座ってお茶でも飲むといいわ…急いで来た様だし疲れたでしょう?」


「えっ?あっ…はい…お心遣いありがとうございます…」


アイリーンは、エリーゼににこりと微笑みながら声をかけた。

エリーゼは、アイリーンに言われて慌てて返事をした。


そして、エリーゼはフェイに席まで案内されて腰を掛けた。


「王妃様は何てお優しいのでしょう…遅れて来られたエリーゼ様にも優しくお声がけされるなんて…さすが国母ですわ…私も見習いたい限りです。エリーゼ様…今後はこの様な事がない様にお気をつけなさった方がよろしいですわ…」


スカイ公爵家のサリーが、微笑みながらアイリーンの事を褒め称えエリーゼにはさりげない嫌味を言った。


「はっ…はい。本当に申し訳ありませんでした…今後はこの様な事がない様に気をつけます…」


「王妃殿下、本日の件に関しましては私の伝達が上手く行き届いていなかった事もありますので…」


エリーゼは、サリーに言われて慌てて言った。

そんなエリーゼを見て、フェイがさり気なくフォローを入れたのだった。


「お茶会はそろそろお開きなところなのだけど…エリーゼ嬢は、来たばかりであまりお話出来ていないから少しお話でもしましょう…よろしいかしら?」


「はっ…はい。私でよろしければお願いいたします。」


アイリーンは、優しくエリーゼへ話をしようと提案した。

エリーゼは、そんなアイリーンの言葉に恐縮気味に応えた。


「フェイ、サリー嬢とビリー嬢とのお話は終わったからお二人を部屋までお連れしてあげてちょうだい…」


「はい。畏まりました。」


アイリーンは、フェイの方を見てフェイへと言った。

フェイは、返事をするとサリーとビリーの方へと行った。


「王妃様、エリーゼ様は遅れて来られたのですからお話など…王妃様はお忙しいのですからエリーゼ様がお話出来なくても仕方ありませんわ…」


「そうですわ…王妃様が遅れて来たエリーゼ様に気を遣われる事などありませんわ。」


サリーは、エリーゼを冷ややかな目で見ながらアイリーンへと言った。

ビリーも、サリーに続いてエリーゼを冷ややかな目で見て言った。


「遅れて来た事は確かによくはありませんが、それと話をしないというのは違いますよ?ここへは、王太子妃候補として来ているのだから話をするのであれば平等でなければいけませんわ…それに、今回エリーゼ嬢が遅れて来たのも伝達ミスがあった様ですからね…」


「ですが………。畏まりました。横から口を挟んでしまい申し訳ありません。私は部屋の方へと戻る事に致します。王妃様、本日はお茶会へのお招き感謝致します。」


「王妃様、この度は本当にお茶会へのお招き感謝致します。良き時間を過ごすことができました。」


アイリーンは、サリーとビリーへ二人が納得してくれる様な言い回しで言った。

アイリーンに言われたサリーとビリーは、それ以上何を言っても無意味だと思いお茶会への招待の感謝を伝えたのだった。


そして、二人の令嬢は侍女を引き連れてフェイに連れられて部屋へと戻って行ったのだった。


サリーとビリーとフェイが、居なくなったその場にはアイリーンとアイリーンの侍女のサーヤとエリーゼだけとなったのだった…

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