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48.昔を思い出す様な兄妹の時間

フェイからカイゼルとフェイが一週間と少しエリーゼとアリストンの元へと私用で行けないとの手紙届いた三日後……


アリストンの家には、マイク・ナディア・ブラットの三人が訪れていた。


「おはよう。よく来てくれたな。急なお願いだったというのにありがとう。」


アリストンがマイク達へと挨拶しながら言った。


「おはようございます。今日は私のわがままを聞いて頂きありがとうございます。」


エリーゼもマイク達へと挨拶をしてお礼を言った。


「おはようございます。いえいえ…。とんでもありません。」


マイクが挨拶をするとアリストンへと言った。


「おはようございます。主人の言うとおりです。」


「おはようございます。そうです。お手紙を頂いて嬉しかったです。」


マイクに続いてナディアとブラットも挨拶をしてアリストンへと言った。


「エリーゼおはよう。こんな我儘なら大歓迎だよ。」


「エリーゼおはよう。そうよ。嬉しい我儘だわ。」


「エリーゼおはよう。そうだとも。またエリーゼと共に出かけれるなんて嬉しさと楽しみしかないよ。」


マイク、ナディア、ブラットはエリーゼへと挨拶すると優しく微笑みながら嬉しそうに言った。


「皆さん…ありがとうございます。」


エリーゼは笑顔で嬉しそうに三人へとお礼を言った。


「さぁ。エリーゼ。早速エリーゼはブラットと出かけてくるといい。ゆっくりと色々見て回っておいで。」


アリストンは笑顔でエリーゼへと言った。


「はい。ありがとうございます。」


エリーゼが笑顔でアリストンへとお礼を言った。


「ブラット。エリーゼを頼んだぞ。エリーゼの要望通りに色々と店へ連れて行ってやってくれ。」


アリストンがブラットの方を向いて言った。


「はい。お任せ下さい。」


ブラットがアリストンへと笑顔で応えた。


「では…エリーゼ行こうか。」


「はい。それでは…行ってきますね。」


ブラットがエリーゼへ言うとエリーゼが応えた。

そして、アリストン・マイクナディアへと言った。


そして、エリーゼとブラットは出かけて行ったのだった。




「エリーゼは毛糸屋に連れて行って欲しいんだよね?」


「はい。どこか良いお店はありますか?」


ブラットは笑顔でエリーゼへと尋ねた。

エリーゼも笑顔で返事をするとブラットへと尋ねた。


「……。良い毛糸屋は知ってるからそこへ連れて行くよ。その前に……敬語はやめないか?気軽に話してくれる方が更に仲良くなれる感じで俺は嬉しいから。ね?だから今から敬語はなしということで。」


ブラットは一瞬間を空けて考えるとエリーゼへと提案した。


(兄妹の間で敬語など使っていなかったのだから、敬語を使われると何だか他人みたいで寂しく感じてしまうからな…。)


ブラットは、エリーゼに提案しつつそんな事を思っていた。


「え?気軽に…ですか?う〜ん……分かったわ…」


エリーゼは、ブラットの提案に一瞬戸惑ったが少し考えて敬語なしの返事をしたのだった。


「うん!それでいいよ!さぁ毛糸屋に行こう!」


ブラットは、エリーゼの返事を聞くと満面の笑みを浮かべて嬉しそうに行った。


「うん。行こう!」


エリーゼは、ブラットのとても嬉しそうな顔を見て自分も自然に笑みを溢しながら言った。




「今から行く毛糸屋はとても種類が豊富なんだけど…今日はどんな毛糸を買おうと思ってるの?」


ブラットがエリーゼへと尋ねた。


「そうね…色味は淡いグレイとブルーな物がいいわね。素材は少しだけ良い物がいいかしら…。」


エリーゼはブラットに尋ねられると頭でイメージを浮かべて考えながら応えた。


「グレイとブルー?誰か男性にあげるものかい?」


ブラットはエリーゼが言った色味がふと気になり尋ねた。


「えっ?あっ…あの…実はそうなの…。ある人にお礼を兼ねて手袋を編んで渡そうと思ってるの。」


エリーゼは、急にブラットに言われて慌てた。

そして、少し照れた様な表情を浮かべながらブラットへと言った。


「へぇ〜…。そう…なんだね。喜んで貰えるといいね。」


ブラットは、エリーゼの言葉を聞き一瞬驚いた表情を浮かべたがすぐに笑みを作って言った。


(男性ね…お礼も兼ねてという事はアリさんにでも編むのかな。去年までは毎年エリーゼが手編みの物を私や他の者達にもプレゼントしてくれていたな…。毎年楽しみにしていたものだ。今年は難しそうだがな…。)


ブラットは、エリーゼに言いながら内心懐かしさを感じながら少し寂しい気持ちになりながらそんな事を思っていた。


「うん。」


エリーゼは笑みを浮かべて応えた。


そうして二人が会話をしているうちに毛糸屋と到着した。


「さぁ…エリーゼ着いたよ。ここが俺の一番お勧めの毛糸屋だよ。」


ブラットは、笑顔を浮かべて毛糸屋を指さしてエリーゼへと言った。


「わぁ〜ここが…。外観もとても可愛い造りのお店なのね。素敵だわ…。」


エリーゼは、ブラットが指差す毛糸屋を見るなりうっとりした目をして言った。


「はは…気に行ったかい?でも、中に入るときっともっと気にいると思うよ。」


ブラットは、うっとりとした表情で毛糸屋を見ているエリーゼを見てクスクスと笑いながら言った。


(ここへ私が初めてエリーゼを連れ来てやった時もそんな風に見惚れる様なうっとりとした表情で同じ様な事を言っていたな…。まさか…あの時の表情がもう一度見れるとわな。)


ブラットは、エリーゼと話しながら昔の事を思い出して思っていた。


「中も?!それは楽しみだわ。」


エリーゼはブラットの言葉を聞いて目を輝かせながら言った。


「はは…あぁ。早速店に入ろう。時間はあるからゆっくり見るといいよ。俺は中にあるソファーに座って本を読んでいるから何かあったら俺にか店主に聞くといいよ。」


ブラットは笑顔でエリーゼへと言った。


「本当に?ブラットさんありがとう。嬉しいわ。」


エリーゼは笑顔でブラットへとお礼を言った。


そして、二人は毛糸屋の店の中へと入っていた。



カランカランッ。


「いらっしゃいませ…」


毛糸屋の店主がエリーゼとブラットへと言った。


そして、店主はエリーゼとブラットを見るなりハッとした表情を浮かべて何か言いたそうだった。


そんな店主の表情にいち早く気づいたらブラットは店の中を見渡して見惚れているエリーゼに見えない様に口の前に指を持っていき『しー』とジェスチャーをした。


そして


「さぁ…エリーゼ好きに見て回っておいで。」


ブラットは優しく微笑みを浮かべてエリーゼへと言った。


「えぇ…。ありがとう。本当にお店の中も素敵だわ…。」


エリーゼはブラットに言われると見惚れている状態からハッとなって言った。


そして、エリーゼは店の奥の方から見て回ろうと店の奥の方へと歩いて言った。


ブラットはエリーゼが店の奥へと進んだのを確認して口を開いた。


「マヤさんお久しぶりですね。」


ブラットが店主のマヤに挨拶をした。


「はい…。ブラット様お久しぶりです。あの…」


マヤはブラットへ挨拶をすると言葉が詰まった。


「エリーゼの事だろう?」


「はい…エリーゼ様は王宮に入宮されたとお聞きしたものですから…。」


ブラットは苦笑いを浮かべてマヤへ言った。

すると、マヤは驚いた表情を浮かべてブラットへと言った。


「……。そうなのだがな…。少し事情があってな…。詳しい事は話せないのだが話せる範囲で説明するよ…。」


「??はい…。分かりました。」


ブラットは、複雑そうな表情を浮かべながらマヤへと言うとマヤは不思議そうな表情で言った。


そして、ブラットは話せる範囲で今のエリーゼの状況をマヤへと説明したのであった。


「と…いう訳なのだ…。だから、マヤさんもエリーゼとは初対面という対応をしてもらえると助かるのだが…。」


「エリーゼ様の身にその様な事が………。はい…。承知しました。ブラット様の仰る通りエリーゼ様にはあくまで初対面という対応をさせて頂きます…。」


「ありがとう…。助かるよ。」


ブラットが、説明を終えるとマヤへと申し訳なさそうにお願いをした。

すると、マヤはエリーゼの状況に心を痛める様な表情でブラットのお願いを了承した。

ブラットはそんなマヤにお礼を言った。


「いいえ…ブラット様とエリーゼ様にはお二人がまだ幼い時からご贔屓にして頂いていますしエリーゼ様から毎年の様に手編みの靴下を頂いていましたので…。私でお力になれる事があるのであれば喜んで協力させて頂きます。」


マヤはじんわりと涙を浮かべながらブラットへと言った。


「マヤさん…。」


そんなマヤを見てブラットも胸が痛んだのだった。



ブラットとマヤがそんな会話をしているなど知らないエリーゼは店の奥から色々な毛糸を見ていた。


(凄いわ…こんなに沢山の種類の毛糸が…。こんなに素敵なお店だと時間を忘れて居座ってしまいそうになるわね…。)


エリーゼは毛糸を見ながら思っていた。


そして、毛糸を見て回って十分程経った時……


(あっ!!この色!思い浮かべていた色にとても近いわ!)


エリーゼは、ふと目に入った毛糸を見て思ったのだった。


そして、その毛糸を二種類手に取った。

その近くにあった別の色の色の毛糸も目に入り手に取った。


(ふふ…こっちの毛糸でお世話になってるアリさんやブラットさん達の物も編んでプレゼントしよう。)


エリーゼは、クスっと笑みを溢しながらそんな事を考え思っていた。


そして、エリーゼは毛糸を無事に購入する事が出来たのだった。


「こちらにはとても素敵な毛糸が沢山揃ってますね。また買いに来ますね。」


エリーゼは毛糸を購入するとマヤへと笑顔で言った。


「お褒め頂きありがとうございます。またいつでもお越しください。」


マヤはエリーゼの笑顔を見て嬉しくなり笑顔を浮かべて言ったのだった。


「はい。」


エリーゼは笑顔で応えた。


「では…また顔を出すよ。」


「はい。お待ち致しております。」


ブラットも笑顔でマヤへと言うとマヤも笑顔で頭を下げながら言ったのだった。


そしてエリーゼとブラットは毛糸屋を後にしたのだった。


「毛糸…いい物が買えたみたいで良かったね。」


「ええ。素敵な毛糸が沢山で選ぶのが大変な程だったけど欲しいと思っていた色の毛糸を買う事が出来て良かったわ。ブラットさんのお陰ね。ありがとう。」


ブラットが笑顔でエリーゼへ言った。

すると、エリーゼはとても満足そうに嬉しそうに満面の笑みでブラットへと言うとお礼も言ったのだった。


「エリーゼが喜んでくて連れてきた甲斐があったよ。」


ブラットは嬉しそうにエリーゼへと言った。


「あっ、そうだ。ちょうど小腹が空いてきた頃だし何か食べて帰ろうか?」


「ん〜そうね…。では…何かブラットさんのお勧めの美味しい物が食べたいわ。前に食べたクレープもとても美味しかったから。」


ブラットがあっ!という表情をしてエリーゼへと尋ねた。

するとエリーゼは、少し考えて笑顔で応えた。


「はは…では、俺のオススメの美味しものを食べよう。エリーゼはそこのベンチで座って待ってて!俺のお勧めの美味しいものが丁度近くにあるから買ってくるよ。」


「そうなの?近くなのだったら私も一緒に行こうか?」


「いや…エリーゼは座って休んで待ってて。」


「そう?分かったわ…。では、ここで待っているわね。」


ブラットが嬉しそうにエリーゼへと言った。

ブラットに言われたエリーゼが言うと、ブラットはいいからいいからと言わんばかりにエリーゼの肩をポンッとしながら言った。

ブラットに言われたエリーゼは頷きながら応えたのだった。


そして、ブラットが歩き出すとエリーゼは近くにあったベンチへと腰を下ろしたのだった。


(エリーゼとマヤさんの毛糸屋へ訪れた際には毎回行っていた野菜のたっぷり入ったスープと焼き立てのパンを食べたらエリーゼは喜んでくれるだろうか…。あの時間は兄の私にとってはとても好きな時間だったからな…。)


ブラットは、そんな事を思い出して思いながらスープとパンを売っている店へと向かっていた。


すると……


「あっ…あの…すみません…」


エリーゼとあまり歳が変わらないだろう程の女性がブラットへと声をかけてきたのだった……

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