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46.スカイ公爵令嬢・サリー

エリーゼ達が食事をしていたその頃…


スカイ公爵邸の一室で、スカイ公爵と娘のサリーが話をしていた。


「サリー、先程…王太子殿下から手紙が届いた。」


「殿下からですか?殿下は何と?お父様は今日王宮へとお手紙を出されたのですよね?そのお返事なのですか?何と書いてあったのですか?」


スカイ公爵が、難しい表情を浮かべながらサリーへと言った。

スカイ公爵の話を聞いてサリーは表情を少し歪ませながら尋ねた。


「ふむ……。手紙の内容は、二度とサリーを王太子妃候補とする事はないと。今後、許可なく王宮へと足を運ぶことも控えろとの事だ。」


スカイ公爵は、バツが悪そうな表情でサリーへと手紙の内容を簡単に説明した。


「何ですって?!どうしてですの?エリーゼ様が王宮から追放されて残った私とビリー様が必然的に王太子妃候補として残っていたから私達のどちらかが選ばれるのは分かっていた事なのにどうして急に私もビリー様も候補から外されなければならないのです?納得がいきませんわ!」


サリーは、カッとなり声を張り上げてスカイ公爵へと言った。


「サリー…落ち着きなさい。納得がいっていないのは私とて同じだ。王太子妃として相応しくないと判断した為との理由で王太子妃候補から外されたのだからな…。」


スカイ公爵は、声を張ることもなく低い声で表情を歪ませながら言った。


「結局、王太子妃候補として集められた令嬢からは誰も選ばれないなどどう納得しろというのだ。」


スカイ公爵は、表情を歪ませたまま続けて言った。


「お父様の仰る通りです。せっかく目障りだったエリーゼ様を候補から蹴落としたというのに…公爵令嬢である私まで候補から外すなど…。どうにかしてもう一度王太子妃候補にならないと私の怒りはおさまりません。」


サリーは、怒りを露わにしたまま言った。


「あぁ…。だが、陛下も殿下も頑なにお断りになるのが困ったもんだ…。どうしたらまたサリーが王太子妃候補となれるのか…。」


スカイ公爵は、眉をひそめながら言った。


「お父様…お父様の力でどうにかならないか色々とやってみてくれますよね?」


サリーがスカイ公爵へと尋ねた。


「あぁ…。出来る事はやるさ。サリーが王太子妃となると時期は王妃だ。我々スカイ公爵家にとっても相当な権力を手に入れる事も出来るし大きな後ろ盾も出来る…。これを逃すなどあってはならないからな。」


スカイ公爵は、難しい表情を浮かべながら言った。


「よろしくお願いしますね。」


サリーはスカイ公爵へと言った。


「あぁ…。それよりサリー、今日は王都へ出ると言っていなかったか?私も今から王都へと用事があり出かけるのだが一緒に馬車へ乗っていくか?」


スカイ公爵は、難しい表情から普通の表情に戻りサリーへと尋ねた。


「えぇ。今日は頼んでおいた取り寄せドレスと宝石を試着と引き取りへ行く予定です。お父様も王都へ行かれるのでしたら同乗お願いします。」


サリーは、頷きながら応えた。


「そうか。では、支度が出来次第出るからサリーも支度をして玄関まで来なさい。」


「分かりました。」


スカイ公爵が言うとサリーが応えたのだった。


そして、その後スカイ公爵とサリーは馬車に乗り込むと王都へとでかけて行ったのだった。



アリストンの家では、四人が食事を終えてカイゼルとフェイが帰るところだった。


「外はだいぶ冷え込んできたな…。薪を買うのに薪屋に行くから途中までだが見送るよ。」


「はい。今日はありがとうございました。食事もご馳走さまでした。それでは…途中までご一緒しましょう。」


「今日は本当にありがとうございました。食事も美味しかったです。」


アリストンが、扉の前でカイゼルとフェイへと声をかけた。

カイゼルとフェイは、アリストンへとお礼を言った。


そして、アリストンとエリーゼも出かける為にコートを着ると四人はアリストンの家を出たのだった。


アリストンはフェイと…

カイゼルはエリーゼと並んで歩いて薪屋まで歩いていた。


「あの…カイさん…今日は本当にありがとうございました。」


エリーゼがカイゼルへと再度お礼を言った。


「あぁ…。大事にならなくて良かったよ…。」


カイゼルが応えた。


「はい…。」


エリーゼが言った。


「また…今日の様に頭痛に襲われる事があったら無理をせずすぐに誰かに言うんだぞ?!」


(また、あの様に辛そうな姿はなるべく見たくはないものだが…)


カイゼルは、心の中でそんな事を思っていた。


「はい。」


エリーゼが応えた。


「それに…」


「カイさん…」


カイゼルとエリーゼが同時に話そうとして言葉が被った。


「あっ…カイさんどうぞ。カイさん何か言おうとされましたよね。」


エリーゼがカイゼルへと少し慌てて言った。


「いや…エリーゼこそ何か言おうとしただろう?エリーゼから先に言ってくれ。」


カイゼルも少し慌てて言った。


「え?いえ…私は大した事ではないのでカイさんお先にどうぞ…。」


エリーゼは遠慮がちに言った。


「いや…エリーゼから先に…。その…俺は何を言うとしたか忘れたから…」


カイゼルがエリーゼへと言った。


「え?でも…」


エリーゼは少し困った表情で言った。


「いいから。話してみろ。」


カイゼルが言った。


(本当は…エリーゼの記憶がどの程度戻ってきているのか聞きたかったが…いざ聞くとなると複雑な気持ちになりそうだったからな…)


カイゼルは、エリーゼに言いながらも心ではそんな事を思っていた。


「そう…ですか…?では…。あの気になっていたのですがカイさんは手袋はされないのですか?最近は特に寒くなってきたというのにカイさんは手袋をされてないので。手は赤くなっているので霜焼けになどならないかと思ってまして…何か理由でもあるのかなと…。」


エリーゼは少し心配そうな表情をしながらカイゼルへと言った。


「手袋?あー…そうだな。そう言えば手が冷えると思っていたんだ…。ちょうど…今、前に使っていた手袋に穴が開いてしまって新しいのを新調しないといけないと思っていたのだ…。」


カイゼルは、少し考え込む様な表情で応えた。


(本当は…手袋は持っているが全てに王族の紋章が入っているからエリーゼに会いに行く時には身に着ける事が出来ないだけなのだが…。王都へ出る時用の手袋を用意していなかったからな。王都用の物も用意しておかなければな。)


カイゼルは、エリーゼへと応えたながらそんな事を考えていた。


「そうなのですか?では…今は手袋はお持ちでないのですか?」


エリーゼがカイゼルの話を聞き何かを考える様な表情でカイゼルへと尋ねた。


「あっ…あぁ…。そういう事だ。俺は寒さに強いから手袋がなくとも何とかなるしな。」


カイゼルが誤魔化す様に言った。


「ふふ…そんなに手を赤くしてるのに寒さに強いだなんて…。寒さに強いから手が赤くなっても気づかなかったのですね。」


エリーゼがカイゼルの言葉を聞いて思わず笑みを溢しながら言った。


(ふふ…カイさん強がってるのね…。本当はきっと手が冷たくてたまらないはずなのに。)


エリーゼは笑みを溢しながら言うとそんな事を思っていた。


「なっ!!からかっているのか?!」


カイゼルは、笑みを溢してあるエリーゼを見て少し恥ずかしそうに言った。


「いっ…いえ…からかってなどいませんよ?」


エリーゼは、笑みを堪える様に応えた。


「…。まったく…。」


カイゼルは、そんなエリーゼを見て無意識に口元を緩めながら呟いた。


(エリーゼが笑っている…他愛もない事を話しているだけだというのにとても嬉しい気持ちになるな…)


カイゼルは心の中でそんな事を思っていた。


『何だか…殿下もエリーゼ様も随分と普通に会話をする様になりましたね。』


『あぁ…。まだ、そんなに時が経っていないというのに随分二人で話をしている時に打ち解けているな…。』


エリーゼとカイゼルを見ながら後ろを歩いていたアリストンとフェイが小声で会話していた。


『しかし…エリーゼの記憶が戻り始めているかもしれないとなるとカイゼルの事を思い出すのもそう遠くないかもしれないな…。』


『そうですね…。エリーゼ様の記憶が戻る事は喜ばしい事ですが殿下にとっては正直なところあまり喜ばしい事ではないですが…。』


アリストンとフェイは、真剣な様な困った様な表情を浮かべながら話していた。



そんな歩いている四人を見つめる人物がいた。


サリーだった。


(殿下とフェイ様…それにエリーゼ様?!何故、殿下とエリーゼ様が一緒に歩いているの?しかも王都で…。一体どういう事なの?!エリーゼ様は殿下に王宮から追放されたはずではないの?!それに…どうして殿下とエリーゼ様はあの様に二人して砕けた様な表情をして話をしているの?!)


王都へ来ていたサリーは、エリーゼとカイゼルの姿を偶然見てしまったのだった。

そして、その姿を見つめながら頭の中では何が何だか分からず混乱していたのだった…


(………。もしかして…私が王太子妃候補から外れたのも実はすでに殿下は王太子妃候補をエリーゼ様に決められたからということ…なの…。だから…私もビリー様も外されたと…?!追放したというのは嘘だっということなの?!どうしてあんな下級貴族の子などが…殿下と…あの様に…許せないわ…。あんな下級貴族の子のせいで私が王太子妃候補から外されるなのど…許せない…絶対に許せないわ…。)


サリーは、エリーゼとカイゼルを見ながら段々と怒りと憎しみが込み上げながらそんな事を思っていた。


(エリーゼ様がいなくなれば…私が王太子妃候補に戻れるわね…。ふふ…ならばどんな手を使ってもエリーゼ様には消えてもらわないといけないわね…王宮にいる時から目障りだったからちょうどいい機会だわ…)


サリーは、心の中でそんな考えを巡らせていたのだった…


サリーに見られていたなど知る由もないない四人は薪屋に到着してエリーゼとアリストンはカイゼルとフェイに挨拶をすると薪屋へと入っていた。

それを見届けたカイゼルとフェイも馬車の元へと戻り王宮へと帰って行ったのだった。

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