44.エリーゼの胸の鼓動の高鳴り…
更新が開いてしまいました…
時間を見つけては少しづつ書いております…
引き続きお付き合い頂けると幸いです。
アリストンとカイゼルが話している一方で…
エリーゼとカイゼルは、テオも一緒に連れて休憩をしていた。
「フェイさん達はお魚は沢山釣れましたか?」
「はい。釣りをするのは初めてだったのですがアリさんのお陰で割と釣ることが出来ました。それも大きめの魚です。釣りがこんなに楽しいものだとは知りませんでした。」
エリーゼが、フェイへと尋ねた。
すると、フェイは少し興奮気味に嬉しそうにエリーゼへと話をしたのだった。
「ふふ…それは良かったです。アリさんは釣りが得意の様ですからね。今夜はお魚パーティーが出来そうですね。」
エリーゼは、フェイの話を聞くとくすくすと笑みを浮かべながら言った。
「本当にアリさんは、釣りが得意な様で。アリさんの言う通りにすると面白い様に魚が寄ってきました。」
フェイは、笑顔で言った。
「この場所は本当に素敵な所ですよね。空気も澄んでいて綺麗で寒い季節でも寒さを感じさせない程の落ち着く場所です…。」
エリーゼは、空気をスーっと吸いながらフェイへと言った。
「本当にそうですね…。こんな場所があるだなんてね。今日はここへ連れてきてもらい良かったです。」
フェイも、エリーゼの様に空気をスーっと吸いながら言った。
(ここは、元はエリーゼ様が王兄殿下にお教えになられたとなるとエリーゼ様はきっと記憶がなくても体が覚えてらっしゃるからこんなにもこの場所が落ち着くのだろうか…)
フェイは、エリーゼと話しながらそんな事を考えていた。
「エリーゼさんとカイさんは、木の実は沢山拾えましたか?」
フェイがエリーゼへ尋ねた。
「カイさんは沢山拾ってらしたんですけど…私は…テオと少し遊びながら拾ったのであまり拾えなかったのです。ついテオに構ってしまって…」
エリーゼは、苦笑いを浮かべて言った。
「ははは…テオはエリーゼさんにべったりですからね。」
フェイは苦笑いを浮かべながら言った。
「テオがとても懐いてくれるのでつい構ってしまって…。」
エリーゼは、苦笑いしながら言った。
「良かったな…。テオ。思う存分エリーゼさんが構ってくれて…。」
フェイは、テオの方を見ながらテオへと声をかけた。
(きっと…殿下はテオの行動にモヤモヤなされてるのだろうな。はは…猫のテオはエリーゼ様にくっつこうがエリーゼ様が優しく抱きしめてくれるだろうからな。それにしてもテオはエリーゼ様にべったりだな。エリーゼ様が王宮から追放されてから何かを察したかの様に殿下を威嚇した程だからな。)
フェイは、テオに声をかけながらそんな事を思っていた。
「ニァ〜ニァ〜ンンン…」
テオは、フェイに声をかけられると高めの猫撫声をあげながらエリーゼに擦り寄った。
「ふふ…本当にテオは可愛いわね。後で、あちらにあるお花を摘もうと思うから一緒に行きましょうね。」
エリーゼは、笑顔でテオを撫でながら言った。
テオは、エリーゼに撫でられご機嫌だった。
「花ですか?」
フェイは、エリーゼの言葉を聞いてエリーゼへ尋ねた。
「はい。ほら…あちらに…。少しですがお花が咲いているでしょう?少しだけ摘んで小さな花束を作って家に持ち帰ろうと思いまして。お花を飾ると一気に家の中が明るくなりますからね。いつもは家の裏の畑に咲いているものを少しだけ摘み置いているのです。」
エリーゼは、にこりと微笑みフェイへと説明した。
「花束ですか…。いいですね。」
フェイは、エリーゼの言葉に少し驚いた表情を浮かべて言った。
(あぁ…この感じ前にもあったな…。エリーゼ様と王宮でお話した時と似ているな。エリーゼ様が殿下のお部屋へと花束を作られた時だ…。)
フェイは、エリーゼに言いながらも複雑な気持ちでそんな事を思っていた。
「はい。お花は…」
エリーゼが笑顔で応えて話をしようとした時……
エリーゼの頭の中に急にフラッシュバックの様な光景がチラついたのだった。
(何?!まただわ…先日と同じ…
頭が割れるように痛いわ。頭の脳裏に何かが浮かんでくるわ…これは…私が忘れている記憶なの…?こんな光景前にもあった様な気がするわ…でも…何故?分からない…脳裏に浮かぶ光景がぼやけて分からない…)
エリーゼは、急な頭痛に襲われながらも頭に浮かんで過る光景を見てそんな事を思っていた。
「エリーゼさん?!どうしました?!!」
急に言葉に詰まり頭を抑えこむエリーゼを見たフェイは驚き慌てて声を上げて言った。
「だっ…大丈夫です…心配しないで……」
エリーゼは、フェイに心配かけまいと必死に作り笑いを作り言った。
その時だった……
「エリーゼ!!どうした?頭が痛むのか?!」
フェイの驚いた声を聞き川沿いから血相を変えて走ってきたカイゼルが必死な表情でエリーゼの元へと駆け寄りエリーゼへと声をかけた。
「カイさん…だい…大丈夫ですから…ただ…少し…」
エリーゼが、駆け寄ってきたカイゼルに心配かけまいと頭が痛むのを耐えながら言った。
エリーゼは、カイゼルからの反応がないので自分の声が小さくて聞こえなかったのかと思いカイゼルの方を見ようと顔を上げた。
その瞬間………!
フワッとエリーゼの身体が浮いたのだった。
カイゼルが、エリーゼを持ち上げて抱えたのだった。
「カッ…カイ…さん?!!」
エリーゼは、あまりにも突然の出来事に何が何だか分からず驚いたままカイゼルへと言った。
「もう喋らなくてもいい!本当は辛いのだろう?俺が抱えて家まで連れて帰ってやるから落ちない様に俺の首に腕を回してしっかり掴まっておけ!」
カイゼルは、驚いているエリーゼにお構いなしに真剣な表情でエリーゼへと言った。
「は…はい……。」
エリーゼは、カイゼルがあまりにも真剣な表情で言うのでそう応えるのがやっとだった。
そして、エリーゼはカイゼルに言われた通りにカイゼルの首に自分の腕を回してしっかりとカイゼルへと掴まった。
「よし…。それでいい。アリさん、すぐにアリさんの家までエリーゼを連れて帰ろうと思うのですがいいですか?フェイ、悪いが荷物を持ってくれないか。」
カイゼルは、エリーゼに頷きながら言うとアリストンへと尋ねフェイへと言った。
「え?あっ…あぁ。すぐに家に帰ろう。」
「え…えぇ…。そうですね。荷物の方は任せてください。」
アリストンとフェイは、カイゼルの行動力を見て呆気にとられた表情のまま応えた。
「では、行きましょう。」
カイゼルは、アリストンとフェイの言葉を聞くと言った。
そして、エリーゼを抱えたまま歩き出したのだった。
「あっ…あの…カイさん重くはないでしょうか…?本当に私は大丈夫なので下ろして貰ったら歩けます…。」
エリーゼが、申し訳なさそうにカイゼルへ言った。
「大丈夫だ。そんな事は気にせずしっかり掴まっておけ。」
カイゼルは、エリーゼへと応えた。
「は…い…。すいません…。ありがとうございます…。」
エリーゼが再度カイゼルへとしっかり掴まりながら言った。
ドキドキッ…
ドキドキ…
ドキドキ…
エリーゼの心臓がそこにいる皆に聞こえてしまうのではないかという位大きく動いていた。
(頭の次は…心臓?心臓の鼓動がとても早く動いているわ…。それに何だか顔も火照って暑いわ…。カイさんに聞こえてないといいのだけれど…。本当に私どうしてしまったのかしら…。先程の頭痛と共に浮かんできた光景も。あれは私の忘れている記憶よね……?)
エリーゼは、自分の心臓の鼓動の高鳴りはどこか体調でもおかしいのかと不思議に思いながらそんな事を考えていた。
エリーゼは、この日…
カイゼルに対してほんの少し何かが芽生えた事には気づいてはいなかったのだった……