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32.カイゼルへの印象変化

エリーゼとカイゼルは、カイゼルの傷の手当が終わりアリストン達の元へ戻りダラスが用意してくれたお茶を飲み、アリストンとフェイと共に一休みしたのだった。


そして、一休みさせてもらった四人は帰り支度をした。


「では、ダラスさん。我々はこれで失礼しますね。また、何かあれば仰って下さい。」


アリストンが、ダラスへと笑顔で言った。


「お気をつけてお帰りください。今日は本当にありがとうございました。本当にとても助かりました。アリストンさんに…カイさん、フェイさん、エリーゼさんも初めての事だろうに手伝ってもらい本当に感謝しています。」


ダラスは、微笑みながら丁寧に頭を下げて四人へとお礼を言った。


「こちらこそ、今日は色々と教えて頂きありがとうございました。」


「お力になれたのなら何よりです。お世話になりました。」


「大変でしたが楽しく作業をする事が出来ました。お世話になりました。」


エリーゼ、カイゼル、フェイの三人がダラスへと言った。


「今度は、是非お仕事の依頼ではなく普通に遊びにいらして下さい。妻も歓迎すると思いますので。」


ダラスが笑顔で言った。


「はい。ありがとうございます。またお邪魔させて頂きますね。」


アリストンが笑顔で応えると、四人でダラスへと一礼をしてダラスの家を後にしたのだった。


ダラスの家から、アリストンの家までの帰り道……


「アリさん。我々はこの辺りで失礼します。我々の帰る方向はアリさんの家とは逆方向ですので…」


カイゼルが、左右に別れる道に出たところでアリストンへと言った。


(そうだな…王宮への帰り道は我が家とは逆だったな。どこかに馬車も待たせてあるのだろう。)


アリストンは、カイゼルに言われて考えていた。


「あぁ。そうか。分かった…今日は疲れたであろう。帰ってゆっくり休むといい。お疲れ様。気を付けて帰るのだぞ…」


アリストンが、カイゼルとフェイへと言った。


「はい。あの…今日はありがとうございました。」


「今日はありがとうございました。」


カイゼルとフェイは、アリストンへとお礼を言った。


「あぁ…では、また三日後だな。」


アリストンが二人へと言った。


「「はい。」」


二人が同時に応えた。


「では、エリーゼもまた…今日はお疲れ様………あー…傷の手当てをありがとう。助かった…」


カイゼルが、エリーゼの方を向いて言った。


「はい。お疲れ様でした。こちらこそありがとうございました。」


エリーゼは、まだ心配そうな表情でカイゼルへと言った。


「エリーゼさん、お疲れ様でした。次回もご一緒すると思いますがよろしくお願いします。」


フェイはにこりと微笑みエリーゼへと言った。


「お疲れ様でした。こちらこそ次もご一緒した際はよろしくお願いします。」


エリーゼがフェイへと言葉を返した。


「では…我々はこれで…」


カイゼルが、エリーゼとアリストンへ言うとフェイと共にエリーゼ達とは逆方向に向かいあるき出した。



「あっ…」


エリーゼが急に思い出した様に言った。


「カイさん!」


エリーゼがカイゼルに向かって名前を呼んだ。

そして、カイゼルの元へと小走りで行った。


「忘れるところでした…これを…ダラスさんが塗り薬を分けてくださったのです。どうぞ持って帰って家でも塗ってください。切り傷によく効く塗り薬のようですので。」


エリーゼが、カイゼルへと説明した。


「ありがとう…必ず家に帰ってからも塗るようにする。」


カイゼルは、エリーゼにお礼を言った。


「はい。では…私はこれで。呼び止めてしまいごめんなさい。」


エリーゼは、少し安心した表情でカイゼルへと言った。


「では…また…」


カイゼルが、少し名残惜しそうな表情でエリーゼへ言うとまたフェイと共に歩き出したのだった。


そして、エリーゼとアリストンも家へと帰って行ったのだった

………



その日の夜、アリストンは夕食の時にエリーゼへカイゼルの傷の手当をした経緯を尋ねた。

アリストンに尋ねられたエリーゼは、カイゼルと何があって何故傷の手当てをしたのかをアリストンへと説明したのだった。


「そうか…カイがな…」


アリストンは、エリーゼの話を聞いて呟いた。


(カイゼルの奴…鶏小屋の件も驚いたがベリー畑でもエリーゼに対してその様な行動をしていたのか…カイゼルなりに考えて行動したのだろう…もしくは、体が反射的に反応したか…。いずれにせよカイゼルはエリーゼに対して少しづつでも行動を起こしているのだな…)


アリストンは、呟きながらも頭ではそんな事を考えていた。


「エリーゼは、そんなカイをどう思ったのだ?」


アリストンがエリーゼへ尋ねた。


「私ですか?……。私は…正直に言うとカイさんの事は、初めて会う人なのにとても怖いという印象でした。何が怖いのかは分からないのですが全身に冷たい何かが流れ込み刺すような怖さでした。言い方もフェイさんが柔らかな分、カイさんの口調がとてもキツく感じていました。その度に私は何故か体が強張ってしまっていました…ですが、上手くは言えませんが今日…カイさんと接してみて…物言いはキツいですが私の事をとても心配してくれるのが伝わってきたのです…もしかしたら、カイさんは怖い人ではないのかもしれないと思ったのです。私の代わりに怪我までさせてしまったのに気にすることはないとしつこく言っていました。きっとそれも、私がいつまでも気にしない様に気を使って言ってくれたのではないかと思ったのです…」


エリーゼは、考える様な表情を浮かべてアリストンへと説明したのだった。


「では、もうカイを怖いとは思わないのか?」


アリストンが尋ねた。


「ん〜…そうですね…物言いがキツい事にはまだ慣れませんが…怖いとは思っていません。」


エリーゼは、考えた後に言った。


(本当に…今日の出来事があっていつの間にか怖いとは思わなくっていたのよね…何となくだけど言い方も少しづつ変えてくれている様な気もしたし…)


エリーゼは、アリストンに言った後にそんな事を考えていた。


「そうか…それは何よりだな。」


アリストンは、にこりと微笑みながら言った。


(カイゼル…良かったな…エリーゼはお前のことをこう言っているぞ…お前の行動は少なからずエリーゼに伝わっている様だ…)


アリストンは、心の中でカイゼルに向かって呟いていた。


「これからも当分、カイとフェイのなんでも屋教育をするつもりだから二人とは仲良くやってくれ。」


アリストンは笑顔でエリーゼへと言った。


「はい…そうなれる様に頑張ってみますね。」


エリーゼも笑顔で応えたのだった。

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