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28.なんでも屋の仕事

アリストン達大人がエリーゼとカイゼルについて話し合いをした翌日…


エリーゼとアリストンが朝食を済ませ出かける支度を済ませた時だった…


コンコンッ!!


玄関の扉を叩く音がした。


「はい!」


アリストンが応えた。


「おはようございます。カイとフェイです。」


カイゼルが、アリストンへと言った。


「あぁ…」


アリストンは、カイゼル達がやって来たと知り応えた。


そして、扉を開けた。


「おはよう。時間通りだな…こちらも丁度出かける支度が終わったところだ。」


アリストンが、カイゼルとフェイへと言った。


「あっ…カイさん、フェイさんおはようございます。」


アリストン達が話している声を聞いて奥からエリーゼがやって来て、カイゼルとフェイへと挨拶をした。


「あぁ…おはよう。エリーゼ…」


「おはようございます。エリーゼさん。」 


カイゼルとフェイがエリーゼへと挨拶をした。


「さぁ…出かける支度は出来ているから出かけるとするか。」


アリストンが言った。


「「「はい。」」」


エリーゼ、カイゼル、フェイの三人が同時に応えた。


「アリさん、今日はどこへ行かれるのですか?」


エリーゼは、四人で歩きながらアリストンへと尋ねた。


「あぁ…今日は私の仕事を君達に手伝って貰うんだよ。」


「アリさんのお仕事ですか?」


「あぁ…何の仕事かは着いてからのお楽しみだ。」


アリストンは、笑顔でエリーゼと言うとエリーゼは不思議そうに呟いた。

そんなエリーゼを見てアリストンは笑いながら言ったのだった。

後ろを歩いていたカイゼルとフェイは何も分からないまま歩いているので不思議そうな顔をしていたのだった。


アリストンの家から十五分程歩いた場所に到着した。


「さぁ…今日、仕事依頼を受けた場所だ。」


アリストンは、エリーゼとカイゼルとフェイへと言った。


到着したその場所は、小さな養鶏場と畑がある初老夫婦の家だった。


「ここは、ダラスさんとランさんというご夫婦のお宅だ。子供達は巣立っている為、夫婦二人で養鶏場や畑仕事をして過しているのだ。しかし、奥さんのランさんが先日怪我をされたらしく数日間は養鶏場や畑仕事が出来ない様でな。それで、人手がいるという事で我々が来たのだ。」


アリストンは、エリーゼ達にざっと説明した。


「そういう事なのですね。分かりました。」


「分かりました。」


「分かりました。」


アリストンの話を聞き、エリーゼ達三人は応えた。


アリストンが、家の扉を叩くと中から主人のダラスが迎えてくれた。


「これはこれは…アリさん。おはようございます。足を運んで頂きありがとうございます。今日はよろしくお願いします。」


ダラスがアリストン達を出迎えるなりアリストンへと挨拶をした。


「ダラスさん。おはようございます。今日はこの三人を共に連れて来たので人手の心配はありません。ランさんのお加減はいかがですか?」


アリストンは、笑顔でダラスに挨拶をすると後ろにいたエリーゼ達を紹介した。


「はい。妻は今、娘の家で療養させてもらっています。怪我の方は回復傾向にあります。」


ダラスは、アリストンへと説明した。


「そうですか。それは良かったです。」


アリストンは笑顔で言った。


「えーっと…君たち…おはようございます。私は、ダラスといいます。今日は手伝いに来てくれてありがとうございます。作業は少々大変ですが今日はよろしくお願いしますね。作業のやり方は私が教えますので。」


ダラスは、アリストンの後ろにいたエリーゼ達に笑顔で挨拶をすると感謝の言葉を言った。


「おはようございます。エリーゼと申します。今日はよろしくお願いします。お力になれるかはわかりませんが精一杯やらせて頂きます。」


「おはようございます。カイと申します。今日はよろしくお願いします…」


「おはようございます。フェイと申します。今日は一日よろしくお願いします。」


ダラスに、エリーゼとカイゼルとフェイはそれぞれ挨拶をしたのだった。


「では、ダラスさん。早速作業に取り掛かりましょう。」


「はい。では…皆さんこちらへお願いします。」


アリストンが言うと、ダラスが応えると養鶏場の方へと皆を案内した。


養鶏場に到着すると、ダラスが皆へと説明をしてくれた。


「ここが、養鶏場です。今日は皆さんには鶏の小屋移動と餌やりと畑のベリー摘みをお願いします。畑は養鶏場の作業が終わったらまた説明させてもらいます。今から鶏の移動のやり方を説明しますので見ていて下さい。」


ダラスは、アリストン達に説明すると鶏小屋の鶏を一羽両手でガシッと捕まえた。

鶏はバタバタと動くもダラスは、鶏を落とす事なく手慣れた手付きで鶏を隣の小屋へと移動させた。


「今の様に一羽づつ鶏を捕まえて頂き、隣の小屋に移動させて下さい。鶏は全部で三十羽いますので、カイさんとフェイさんとエリーゼさんの三人で移動作業お願いします。アリさんには餌の用意のお手伝いをお願いします。」


ダラスは、四人に作業分担の内容を伝えた。


「分かりました。では、早速それぞれの分担された作業に取り掛かりましょう。エリーゼ達は鶏の移動作業任せたぞ。私はダラスさんに餌の用意を教えて貰っているからな。」


アリストンは、応えるとエリーゼ達へと言った。


「え?はい。分かりました。私達も作業に取り掛かりますね。」


アリストンに言われてエリーゼが応えた。


「よし。頼んだぞ。カイとフェイも分かったか?」


アリストンは、エリーゼに言うとカイゼルとフェイの方を向いて言った。


「はい。分かっています。」


「私も承知しました。」


カイゼルは若干嫌そうな表情で、フェイはにこりと微笑みながら応えた。


「よし。頼んだぞ。さぁ、ダラスさん我々は餌の用意をしましょう。」


「はい。では、皆さんよろしくお願いします。」


アリストンは、カイゼルとフェイが応えると頷きながら言いダラスへと声をかけた。

ダラスは、アリストンへ返事をするとエリーゼ達に声をかけた。

そして、二人は餌を用意する為に別の小屋へと入って行ったのだった。


「では…私達も作業を始めましょうか。三十羽という事でしたので残り二十九羽を三人で協力して移動させましょう。」


エリーゼが、カイゼルとフェイへと言った。


「あぁ…そうするとしよう…」


「はい。分かりました。頑張りましょう。」


カイゼルは、低めの声でフェイは意気込んで応えた。


『おい…フェイ。何故我々がこの様な事をしなければならないのだ?いくらエリーゼの近くで力になるとは言ったがこの様な汚れた場所で作業するなど…私は借りにも王太子だぞ?』


『殿下…エリーゼ様のお力になりたい、エリーゼ様との距離を縮めたいと思うのでしたらアリさんに言われた事は絶対ですよ?あのお方は我々が少しでも嫌そうな態度をしているとエリーゼ様には会わせて頂けなくなりますよ?それに…王太子として王都の者の生活を知る良い機会だと思えば大丈夫でしょう…』


『しかし…いくら何でもこの様な事は…』


『殿下…このままではエリーゼ様にずっと距離を空けられ怯えられたままですよ?それが嫌なのであれば覚悟をお決めください。』


『お前っ…』


カイゼルは、小声でフェイへとムスッとした表情で言った。

すると、フェイも小声で納得がいかない表情のカイゼルへと言った。

カイゼルは、フェイに言われても王太子である自分がする行動ではないと納得いかない表情を浮かべながら呟いた。

そんなカイゼルにフェイは、呆れた様な表情にも似た表情でビシっと言ったのだった。


「エリーゼさん、さぁ始めましょう。」


「あっ…はい。」


フェイは、そんな表情のカイゼルをおいてエリーゼへと声をかけた。

エリーゼは、慌てて応えた。

そして、二人は鶏を捕まえる準備を始めたのだった。


(フェイの奴…簡単に言ってくれるな。エリーゼとの距離を縮めて力になれたらとは思ったがこんな事をするなど聞いていないぞ…なんでも屋とはこの様な仕事まで引き受けるものなのか…アリさんは、私が王太子など知る由もないからこの様な事を平気で任せているんだな…)


カイゼルは、エリーゼの元に向かったフェイを見ながら考えていたのだった…

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