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21.再訪問

翌日、アリストンは任務があったので朝から出かける予定だった。


帰りは夕方になるとエリーゼに伝えると、エリーゼはアリストンへお昼にと軽食を作って持たせてくれたのだった。


「エリーゼ、食事をありがとう。では、行ってくるよ。なるべく早く帰るようにするから。誰かが訪ねて来ても取り合わなくていいからな。」


「はい。気をつけて行ってきて下さい。昨日ここへ来られたお二人の様にアリさんのお知り合い?の方が来られてもですか?」


「あぁ…取り合わなくても大丈夫だ。昼間はエリーゼの好きな様に家の中や畑くらいなら外へは出ても大丈夫だから過ごすといい。何か困った事などあれば隣人の者に頼んでおくから隣人に聞きに行けばいい。」


「はい。分かりました。今日も寒いみたいなので気をつけてくださいね。」


「あぁ…ありがとう。では行ってくる。」


アリストンは、玄関先で軽食を作ってくれたエリーゼに礼を言った。

そして、昨日の様な事がない様に訪問があっても無視しておけばよいと伝えた。

エリーゼは、心配そうな表情で尋ねるもアリストンはそれでも取り合う必要はないと伝えた。

エリーゼは、頷きながら返事をするとアリストンはでかけていったのだった。



エリーゼは、アリストンが出かけると早速家の掃除から始めたのだった。


そして、昨日アリストンがミルクなどの食料と共に持って帰って来てくれた女物の洋服を整理したのだった。


(アリさんて…なんでも屋だから私の洋服のサイズなども見ただけでわかるのね…凄いわ。でも、洋服は着ている物しかなかったなら助かるわ…)


エリーゼは、洋服の整理をしながらそんな事を考えていた。

そして、洋服の整理と共にエリーゼが襲われた際に持っていたとされる荷物をアリストンがしっかりと回収してくれていたみたいでその荷物の整理も一緒にしたのだった。


荷物の中から、編み物セットが出できたのだった。


「編み物セットだわ…私は編み物も好きだったのかしら…」


エリーゼは、荷物の中にあった編み物を見たながら呟いた。

そして、かぎ針を手にして毛糸を持ち編み物を始めたのだった。


「私、編み物がきっと好きだったのね。すらすら編めるわ。それに編んでいてとても楽しいわ。そうだ!寒い日が続くならアリさんに手袋を編んでプレゼントしましょう。」


エリーゼは、編み物をしながら楽しそうに笑い良い事を思いついた様に言った。


その後も夢中で編み物をしていたエリーゼは、ふと時計を見て驚いた。

編み物を始めて気づけば二時間ほど過ぎていたのだった。


「あらっ…もうこんな時間。集中しすぎて時間を忘れていたわ…一旦、編み物はやめて畑の手入れをしに行ってみようかしら。」


エリーゼは、時計を見ながらそんな事を呟いた。


そして、エリーゼは外は寒いだろうと思い厚手の洋服に着替えて毛糸と一緒に入っていた毛糸のひざ掛けとホットミルクをポットへ入れて持ち畑へと向かったのだった。


そして、エリーゼは早速畑の草むしりから始めたのだった。

エリーゼは、畑の草むしりを半分終えたところで一旦かごに入れた草を袋へ入れる様と思いかごを持って立ち上がろうとした際にバランスを崩してしまい倒れそうになった。


「あっ…」


エリーゼが、転げると思い声を漏らした。


その時だった……


エリーゼは、誰かに体を咄嗟に支えられたのだった。


「大丈夫か?怪我はないか?」


男性の声でエリーゼは声をかけりれた。


「大丈夫です…」


エリーゼは応えた。

そして、エリーゼは顔をあげて自分の事を支えて助けてくれた者を見た。


エリーゼの体を支えてくれたのは、カイゼルだった。


目の前にカイゼルがいる事に驚いたエリーゼは、何故だか咄嗟に体が強張った。

そんな、体を一瞬にして強張らせたエリーゼを見てカイゼルは苦しそうな表情を浮かべながらエリーゼの体から手を離した。


「あっ…あ…あの…危ないところを助けて…頂き…ありがとうございました……」


エリーゼは、カイゼルの方をチラリと見て少し声を震わせながらお礼を言った。


「いや…礼には及ばない…どこも怪我などしていないのならそれでいいのだ…」


カイゼルは、声を震わせるエリーゼを見て切なそうな苦しそうな表情を浮かべながら言った。


「はい…ありがとうございます…あの…アリさんに御用でしたら…今は出かけられてますのでいませんけど…」


エリーゼは、カイゼルをアリストンの知り合いだと思っている為にカイゼルへと言った。


「アリ?あの男の事?」


「えっ?アリさんのお知り合いじゃ…」


「えっと…そうです。アリさんの知り合いの者です。同業者なのですよ…」


エリーゼに言われるとカイゼルは、首を傾げながら言った。

エリーゼは、カイゼルがアリの知り合いなのにアリの名前を聞いてもピンときていない事を不思議に思い言うと…

カイゼルの後ろにいたフェイが、慌てて横から話に入ってきて言った。


「アリさんと…同じお仕事をされている方なのですね…そう…ですか…」


エリーゼは、まだ何となく不思議に思いながら言った。


「ですが、今アリさんは出かけていますので…」


そしてエリーゼは、カイゼルとフェイへと告げた。


「これは…どうすればいいのだ?あの袋へ入れるのか?」


「えっ?」


「このかごの中の雑草は、あそこにある袋へ入れるのか?」


「あっ…はい…そうですが…」


「そうか。分かった…」


エリーゼが、カイゼル達にアリが不在の事を伝えると少し間を開けてカイゼルがエリーゼへと尋ねた。

エリーゼは、驚いて思わず声を出すとカイゼルは再度エリーゼの足元にあったカゴの中の雑草の事を尋ねた。

エリーゼは、咄嗟に応えたのだった。

そして、カイゼルは分かったと言うとエリーゼの足元のカゴを持ち上げてカゴの中の雑草を麻袋の中へと入れた。


そして……


「残り半分の場所の草も取るのか?」


「はい。そうですけど…」


「分かった。では、わた…俺がやるから君はそこへ座って休んでいろ。」


「え?」


カイゼルは、空になったカゴを持ったままエリーゼへと尋ねた。

エリーゼが応えると、カイゼルはエリーゼに自分が代わりに作業をするから休んでいろと言った。

急にそんな事を言われたエリーゼは驚き声を出したのだった。


そして…

カイゼルは、残りの草取りをやり始めたのだった。

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