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14.メディス伯爵家の訪問

カイゼル達は、ようやくエリーゼの乗った馬車が襲われた場所へと辿り着いた。


その場には、既に数人の騎士が来ていて状況確認をしていたのだった。


「どうだ?何かわかったか?」


レオンが、騎士の一人へと尋ねた。


「団長、お疲れ様です。負傷した御者が落ち着いた様なので話を聞きました。どうやら盗賊は三人組の様で、山を降り馬車のスピードを落としたところを狙われた様です。馬車の中にはメディス伯爵令嬢が乗られていた様ですが…どうやら盗賊達に連れて行かれそうだったところご令嬢が抵抗された様でしてそれに怒った盗賊が…ご令嬢の頬を打たれた様なのです…その拍子にご令嬢は体勢を崩されて転げた拍子に近くにあった岩で頭を強打された様なのです…御者が頭から大量の血を流しているご令嬢の姿を見たそうです。御者も負傷していたので、そのあたりから気を失ってしまった様でご令嬢がどうなったかまではわからないそうです。」


騎士の一人が、難しい表情を浮かべながら御者から聞いた話をレオンへと伝えた。


「その後の、エリーゼ嬢の状況は全く掴めていないのか?!」


レオンの横で話を聞いていたカイゼルは、血相を変えて騎士へと尋ねた。


「殿下!はい…今の所掴めておりません。周辺にも聞いてみたのですがエリーゼ嬢らしき人物を見た者はいませんでした…頭を強く打っているのら自ら動く事は難しいと思われますので…恐らく盗賊に連れて行かれたのかと…」


騎士は、気まずそうな表情を浮かべながらカイゼルへと説明をした。


「そんな…まさか…エリーゼ嬢は重症の怪我を負っているというのに…」


「殿下…まだ、盗賊に連れ去られたと決まった訳ではありません。急ぎ王宮へと戻り、陛下にエリーゼ様の捜索の為に騎士団を派遣する許可を貰いましょう。」


「あっ…あぁ…」


「殿下!しっかりして下さい。何も分かっていない状況で後悔するのはおやめ下さい。」


「……。ふぅ〜…そうだな…フェイの言う通りだな。直ぐに王宮へと戻ろう。後の事はレオンに任せた。」


フェイは、愕然としているカイゼルに声をかけた。

しかし、カイゼルは信じられないという表情を浮かべているだけだった。

そんな姿に、フェイは強めの口調でカイゼルへと言った。

フェイに言われたカイゼルは、ハッと我に返り、深呼吸をしたあとレオンにその場の後の事を任せてフェイと共に王宮へと急ぎ戻ったのだった。



王宮へと戻ったカイゼルとフェイは、急ぎ事の事情を両親へと話した。


「やはり、アイリーンが言っていた通り…エリーゼ嬢がカイゼルの探している少女だったのか…」


「やはり…そうだったのね…でも、せっかく見つかったというのにこの様な事になるなんて…」


国王であるガストンが渋い表情を浮かべながら言った。

王妃であるアイリーンは、確信を持っていたといわんばかりの表情で言った。



「はい…ですのでエリーゼ嬢の捜索をしたいので騎士団の出動許可の方を頂きたいと思い父上と母上にお願いしたいのです。」


カイゼルが、真剣な表情で二人へと言った。


「それは構わないのだが…まずはメディス伯爵邸へこの事を伝えに行くのが先だ…大切な娘さんをこちらの急な命で王宮入りさせておいてこの始末だ…きちんと嘘偽りなく事情を説明して詫びなければならないだろう…」


ガストンが、渋い険しい表情でカイゼルへと言った。


「はい…その件に関しては承知しております…私は何を言われても構いませんし、メディス伯爵が望むのであれば罰も受けるつもりです…」


「………。一先ず、早馬を出し私達がメディス伯爵邸へと向かう事を伯爵達に伝えておこう。私達は、すぐに出かける支度をしてメディス伯爵邸へ向かうとしよう…」


カイゼルは、拳をギュッと握りしめ何とも言えない表情でガストンへと言った。

そんなカイゼルの言葉を聞いたガストンは、アイリーンと顔を見合わせてカイゼルへと言った。


そして、騎士団へエリーゼの捜索の為の出動を命じた後すぐに出かける支度をしてガストン・アイリーン・カイゼル・フェイの四人でメディス伯爵邸へと向かったのだった。


カイゼル達は、メディス伯爵邸へと到着した。


早馬での知らせを聞いていたが、急な国王一家の訪問にメディス伯爵一家はとても驚いていた。


「陛下、王妃殿下、王太子殿下…わざわざこちらまで足を運んで頂きありがとうございます。言って頂けたらこちらから王宮に伺わせて頂きましたのに…」


「出迎え感謝する…メディス伯爵達へ急を要する報告があるのでこちらへ伺わせて貰ったのだ。すぐに…話はできるだろうか?」


「??はい…それは、構いません。こちらへどうぞ…」


マイク達伯爵一家が、やってきたガストン達を出迎えて挨拶をした。

ガストンは、真剣な表情で急ぎ伝えたい事があるとマイクへと言った。

マイクは、そんなガストンを不思議に思いながらも応接室へとガストン達を案内した。


応接室に入ると、早速ガストンはマイク・ナディア・ブラットにエリーゼの件を話したのだった…


「どういう事ですか?エリーゼが襲われたとは?!それに怪我を負ったまま行方不明とは…何故、エリーゼがその様な目に遭わなければならないのですか!!」


ガストンの話を聞いたマイクは、大声で怒鳴った。

サザン王国の貴族の中でも一番温厚だと言われているマイクが怒鳴ったのでガストン達は驚いた。

だが、ガストン達は無理もないだろうと受け止めた…


「エリーゼは、とても心優しい子です…殿下の言っておられる少女が本当にエリーゼだったのなら最初の段階で気づいても良かったのではないですか?エリーゼは何故自分が王太子妃候補に選ばれたかもわからないまま、王命に逆らえば私達家族に迷惑がかかると思い心細い中入宮しました…だというのに、心無い事を言われて王宮追放された上に盗賊に襲われ怪我まで負ったとは…あまりにもエリーゼが可哀想です…」


マイクは、拳を握りしめながら唇をグッと噛みながら悔しそうに言った。


「弁解はしない…全て私の責任だ…」


カイゼルは、グッと唇を噛みながらマイク達へと言った…



すると…マイク達の話を聞いていたナディアは、気を失いかけ腰から体勢が崩れた…


「ナディア!」

「母上!」


マイクとブラットが、ナディアの身体を支えた…


そしてマイクが、ナディアを抱えて直ぐ側にあるソファーへと横たわらせた。


そして、マイクは席へと戻ってガストン達へ言った。


「無礼を承知で申し上げます…妻があの様な状態ですし、今は…私達家族だけになりたいのです…ですのでどうか…本日はお引取り下さい…お願い致します…」


マイクは、精一杯感情を抑えながら言葉を振り絞り言った。


「承知した…今日はこれで失礼させてもらう。既に王宮の騎士団がエリーゼ嬢捜索の為に出動している…何か分かればすぐにこちらへ伝えるとしよう…」


「はい。畏まりました…感謝致します…」


マイクの言葉を聞き、ガストンは申し訳なさそうな表情を浮かべながら言った。

マイクは、ガストンへと一礼をしてお礼を言った。


そして、マイクとブラットに見送りをされたガストン達は馬車へと乗りこんだ。

馬車が出発すると、カイゼルは馬車の窓からマイク達を胸が締め付けられる思いでじっと見ていたのだった…


(今まで、家族やフェイ達以外に対してこんなにも胸が締め付けられる様な感情は抱いた事などなかったというのに…私のせいでエリーゼ嬢だけではなく彼女の家族までも傷つけてしまったのだな…)


カイゼルは、マイクとブラットを見つめながらそんな事を考えていたのだった………

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