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13.ようやく見つけたのに…

少女がいなくなり少しすると、王宮の騎士団の騎士らしき人物が路地へと入ってきてカイゼルの元へとやって来た。


「王太子殿下!!」


カイゼルを見るなり、大声でカイゼルに声をかけたのは騎士のレオンだった。


この頃のレオンは、まだ騎士団長ではなかったので王都の見回りも頻繁にしていたのだった。


カイゼルの誘拐事件が発生した事もあり、いつもよりも多くの騎士たちが王都にも出ていたのだった。


「殿下!ご無事で何よりでございます。さぁ…私の背中にお乗り下さい。馬のところまで私がお連れ致します。」


レオンが、ホッとした表情で言いながらカイゼルの前へとかがみ背中を差し出した。


カイゼルが、レオンの背中に乗ろうとした時…

その場にいたテオが、カイゼルの元へとすり寄ってきた。

カイゼルは、すり寄ってきたテオに言葉をかける訳でもなくそっとテオを抱き上げた。


そして、テオが潰れない様に自分の胸元へと入れたのだ。

そして、レオンの背中へと体をあずけたのだった……


「何故…私があそこへいると?」


「先程、小さな少女が急いで私の元へとやって来て、路地に弱っている人がいるから助けてあげて欲しいと言ったのです。」


「そうか…少女がか…」


レオンにおぶられたカイゼルは、レオンへと尋ねた。

レオンは、自分の元へとやって来た少女の話をした。

レオンの話を聞いたカイゼルは、どこか安心した様な表情で呟いた。


その後、カイゼルは無事に王宮へと戻った。

カイゼルが、無事に戻ったことで王宮は安堵の空気に包まれた。

カイゼルを誘拐した、元講師とそれを手引した者はすぐに捕らえられた。

主犯である隣国には、一王国の王太子を攫ったという重罪を犯した為それ相応の処罰がくだされたのだった。


カイゼルは、命の恩人でもある偶然出会った少女を探し出しそうとしたがカイゼルはその前にすべき事があった。


もっと、王太子として力をつける事だった。

カイゼルは、脇が甘かったせいで今回の様な誘拐事件が起きてしまったと思ったのだ。


それから、カイゼルは今まで以上に色々な努力を重ねた。

その反面、誘拐事件の事がきっかけでカイゼルは軽い人間不信になっていたのだった。


両親と幼い頃からずっと自分の近くにいる側近のフェイと騎士のレオン以外の人間は自分に近寄ってくる者全てを疑ってかかっていたのだ。

そのせいで、人を信用する事すら出来なくなっていたのだった…



それから月日は、経ちカイゼルは二十歳を迎えていた。


この八年で、カイゼルは王太子として十分な力をつけたのだった。

父に代わり、公務も執務も立派にこなせる様になっていたのだ。


二十歳になったカイゼルは、王太子妃を迎える歳だった。


何人もの貴族達が、我が娘をと王太子妃候補に名乗り出てきたがカイゼルは考えが決まっていた。


それは…

八年前に出会った少女を見つけてその少女を王太子妃として迎えるという事だった。

あの少女であれば、将来立派な王妃になるだろうと直感で感じた。

何よりもカイゼル自身が少女に対して全く不信感を感じなかったからだった。


ここ数年、ずっと考えていた事だった。


だが、ここ数年はその少女に関する情報はあまりにも少なすぎるのと多忙な公務や執務で探す時間がなかったのだ。


しかし、カイゼルは少ない情報の中でその少女を探し出す策があったのだ。


「サザン王国内の貴族で、歳は十五歳〜十八歳で兄がいる令嬢を調べてくれ。」


カイゼルは、フェイへと言った。


「承知しました。」


フェイは、カイゼルからある程度の事情を聞いていたので応えるとすぐに調べに向かった。



カイゼルは、少女の名前は喋り方と身につけている服装で恐らく令嬢だろうと考えていた。

そして、歳は自分よりも三歳から五歳は下で兄が呼びに来たという事は兄がいるというとだった。


フェイが、すぐに調べてカイゼルへと報告をした。


条件に該当する令嬢は、三人だった。


カイゼルは、すぐに両親の元へと行き事情を説明した。

人間不信気味になっているカイゼルを心配している二人は、カイゼルの事情を了承した。


こうして、カイゼルが探していた少女は三人の令嬢に絞られたのだった。


令嬢三人が、王宮へと入宮したその日…

令嬢達が、国王・王妃・王太子に挨拶をする為に広間に集まった。


カイゼルは、三人の令嬢をじっと見ていた。


(サリー嬢、ビリー嬢、エリーゼ嬢か…一番若いのはエリーゼ嬢か。あの少女の面影が一番あるのはエリーゼ嬢だな…)


カイゼルは、三人の令嬢を見ながら考えていた。


カイゼルとしては、三人の令嬢との話しの場を設けて八年前の話を持ち出そうと考えていたが、すぐに済ませないといけない公務が残っていたのだ。


カイゼルは、仕方なくフェイに王宮での令嬢達の様子を見ている様にと指示をして公務へと向かったのだった………


(公務から戻ったら、まずは一番あの少女の面影があるエリーゼ嬢との話しの場を設けるとしよう…)


カイゼルは、公務に向かう途中にそんな事を考えていた。


そして、数日後カイゼルは一日早く公務を終わらせて王宮へと戻ったのだった。


しかし、戻ったカイゼルはサリー嬢の話を鵜呑みにしてエリーゼとフェイの仲を疑い、エリーゼの言い分など全く聞くことなく不理屈にエリーゼを王宮から追い出してしまったのだった……





カイゼルは、昔の事を思い出しながらエリーゼの無事を祈り馬のスピードを更に上げたのだった。


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