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1.王宮追放

新連載です☆

ふらっと目に入ったらお気軽に読んで頂けると嬉しいです☆

ここは、サザン王国。


サザン王国の王宮内では……



「王太子妃の座を手にしたいがに私の側近にまで近づき色目を使うなど、令嬢として恥ずかしくはないのか!その様な者にはここにいる資格などない!君には今すぐここから出ていってもらう!」



そう、言い捨てられのはメディス伯爵家の令嬢のエリーゼ・メディスだった。


エリーゼに、そう言い捨てたのはこの国の王太子であるカイゼル・バル・サザンだった。


エリーゼは、カイゼルに言われた事の意味がまったく分からず混乱していた。

エリーゼには、その様に言われる事など何もしていなかったからだ…


「でっ…殿下…私は何の事やら…わかりません…嘘をついた覚えもありません…」


「白々しい…君の話など聞きたくもない…即刻、王宮から出ていってもらう。今回は王命にてこちらに出向いて貰ったこともあり帰りの馬車は用意するが…二度と私にその顔を見せる事は許さぬ…以上だ…支度ができ次第すぐに王宮から立ち去れ。」



エリーゼが、反論しようとするも、カイゼルは聞く耳を持たないままエリーゼに言い放ったのだった。


そして、カイゼルはエリーゼの顔など見る事なくその場を後にしたのだった。


残されたエリーゼは、状況をまったく掴めなかったが出て行けと言われた以上出ていくしかないと思いすぐに部屋へと戻り荷物をまとめたのだった。



エリーゼは、荷物をまとめると出ていく前に王宮への滞在中にお世話になり良くしてくれたメイドや庭師、コックにそれぞれお世話になったお礼を伝えに回った。



「マリアさん…短い間でしたがお世話になりました。私はここは出ていくことになりましたので最後にご挨拶をと思いまして…」


「エリーゼ様…この様に急にでございますか?またどうして……急に…」


「それが…私にも分からないのです…先程、急に殿下より言い渡されました…理由は分かりませんが殿下の何かに障ったのでしょう…ですが元々、王宮への入宮を望んではいませんでしたので良かったと思います…これで家族の元へ帰れます。」


「エリーゼ様…」



エリーゼは、まずメイドのマリアへとお礼を言いに言ったのだ。

急な事に、マリアはとても驚き悲しそうな寂しそうな表情で言った。


「あっ…そうだわ…これを…よかったら使ってください。私が編んだ靴下です。まだまだ寒い日が続きますので…」


「そんな…私の様な使用人にこの様な贈り物を…ありがとうございます。大切に使わせて頂きますね。」



エリーゼは、持っていた籠から袋に入った手編みの靴下をマリアへと手渡した。


マリアは、とても嬉しそうに喜びながらエリーゼへお礼を言った。


「もう…会うことはないと思いますがマリアさん、お元気で…」


「エリーゼ様…エリーゼ様もお元気で…」



エリーゼは、優しく微笑みながらマリアへと言った。

マリアも、涙を堪えながらエリーゼへと言ったのだった。


エリーゼは、続けて庭師のロイとコックのユーリに元にも訪れた。


厨房へと向かうと、ちょうどロイが飲み物を飲みに厨房へと来ていたのだ。

ロイとユーリが一緒に居たのだった。


「エリーゼ様…どうされましたか?また、何か必要なものでもありましたか?」


「今度は、どんな美味しい物をお作りになられるのですか?」


ロイとユーリが、にこにこと微笑みながらエリーゼへと尋ねた。



「いえ…その今日はお別れを言いに来ました…先程…殿下より王宮を出ていく様に言われました…ですので最後に王宮にいる間に良くしてくださった方々にお礼を言いたいと思いまして…短い間でしたが色々と良くしてくださりお二人には感謝しています…本当にありがとうございました。よかったらこれを…」


「え?何故そんな急に出て行けと?一体何があったのですか?」


「そうですとも…何故こんなにも急にエリーゼ様が出ていかれなければならないのですか?」


エリーゼは、少し寂しそうな笑顔を浮かべながらロイとユーリへお礼を言い二人へ紙袋を手渡した。



ロイとユーリは、エリーゼの言葉に驚きを隠せずエリーゼへと言った…


「先程、マリア様にもお伝えしたのですが…私にも何が何だかわからないのです…ですが、殿下がお決めになった事ですので大人しくそれに従おうと思います…」


「そんな…何でこんな事に…」


「本当です…何故エリーゼ様がこんな酷い仕打ちを受けなければならないのか…」


エリーゼが、二人へ説明すると二人は寂しそうな悔しそうな表情を浮かべてエリーゼへと言った。


「私は大丈夫ですので…ただ、お二人にもう会えないと思うのは寂しく思います…ですが仕方のない事ですので…あっ…お渡しした物を良ければお使い下さいね。お世話になったお礼も兼ねてますので…私の手作りなのですが…」


「これは…靴下ですか?」


「本当だ…靴下だ…これを私共にですか?わざわざ私共の為に編んで下さったのですね…ありがとうございます。」


「ありがとうございます…エリーゼ様。」


エリーゼが、寂しそうに言うとすぐに笑顔になり二人へと贈り物の事を伝えた。

エリーゼの手作りの物を見て二人は、嬉しくなり涙を浮かべながらエリーゼへとお礼を言った…


「あの…申し訳ありませんがこちらをフェイ様にお会いする時がありましたらお渡し頂けますか?フェイ様のところには行けそうにありませんので…」


「……。はい。承知しました。フェイ様にお会いしたらお渡ししておきますね…」



エリーゼは、ロイに紙袋を手渡したながらお願いした。

ロイは、寂しそうな表情で紙袋を受け取り応えた。


「では…私はもう行きますね…お二人ともお元気で…」


「「はい。エリーゼ様も…」」


エリーゼは、寂しそうに微笑みながら二人へと言った。

二人もまた、寂しそうにエリーゼへと言った。



そうしてエリーゼは、荷物を持ち王宮に向けて一礼をした。


(短い間だったけど…嫌な事も沢山あったけれど…良くしてくれた方達に会えた事は感謝しなくちゃいけないわ…

もう…二度とここへ足を踏み入れる事はないわ…

これで、また家族と暮らせるわ。)



そう思うとエリーゼは、馬車の中へと乗り込んだ。

王宮からメディス伯爵邸までは距離があるので、エリーゼは急に緊張がとけたのか眠くなり目を瞑ると眠ってしまったのだった…



エリーゼは、急に馬車が止まり外から声がした拍子に目が覚めた。


(何?!急に馬車が止まったわ…外から声がするけど何かあったのかしら…)



エリーゼは、そんな事を思いながら御者が心配になり馬車の外へと出ようとしたその時………


急に、馬車の扉が開けられそこには見知らぬ男がいた。


(誰?何?!何が起こったのかしら…)


エリーゼが、そう思った瞬間男はエリーゼの手を思い切り引っ張った。


「来い!お前は上玉だな…いい値で売れそうだ…」


「やめて!離して……」


男は、エリーゼを見るなりニヤニヤと笑みを浮かべながら言った。


エリーゼは、必死で抵抗しながら男へ言った。


「大人しくしろ!さぁ!来い!俺たちと来るんだ!」


「嫌!離して!」


男は、そう言うと更に強い力でエリーゼの腕を引っ張った。


エリーゼは、更に必死でもがいて抵抗した。


その時……


「うるさい!大人しくしろ!」


男は、そう言うとにエリーゼの顔を思い切りぶったのだった。


その拍子で、エリーゼはバランスを崩して倒れてしまい倒れた場所にあった大きな石で頭を打ちつけてしまったのだ…


エリーゼが、石で頭を打ち血を流しているのを見た男はまずいと思い他の男たちと共に急いでその場を立ち去ったのだった…



(どうしてこんな事に…私はただ、普通の幸せを手にして暮らしていけたらそれで良かったのに…)



エリーゼは頭を強く打ちつけたせいで、頭がとても痛く意識が薄れていく中で思っていたのだった…

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