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東京行脚  作者: 小野 大地
3/21

3日目

物語っぽく書いてみました。どうぞ!

12月25日。今日はクリスマスだ。実家に飾ってるツリーの下に1万くださいって書いたけど、さすがにもう来ないかな。父さんにもバカにされたしw 自分で稼ぐしかねえ。そういうことだ。というわけで都心に向かった。


1件目はドーナツ。トッピングのうんたらコーヒーがこぼれんの怖かったけど、なんとか無事に目的地に着いた。インターホンを押す。出てきたのは眉間がいかつい男。もしこぼしてたら大惨事になってたなと思いつつ、その場をあとにした。

腹が減ったのでマックに行った。自分は、例えばスカイツリーみたいな観光スポットや自分も食べたくなったピックアップ先のちょっと高い料理を食べる為に、普通の時はファストフードで済ませるようにしている。

店に入ると、さえない中年のおじさんがいた。髪の毛がぼんやりとしている。時刻は午後1時くらい。食べ終わっている所を見ると、少しさぼっているようだ。しかし、自分は忙しいのだ。前回のウーバーの書いていなかった記録を書かなければならない。味わうのもほどほどに、バーガーをペンに持ち替えた。

いつも通り書きたいテーマが思いつくまで待って、起承転結にはめ込む。テーマはバッテリー問題の話。細かいことだけど、感じたことなのでしっかりと書いておいた。短い文章でもあるけど、小さな積み重ねが大事だろう。いい仕事をしたと思う。

そういえばあの中年のおじさん、まだいる。時刻は午後2時。いよいよ彼に対する疑惑は証明された。「ふっふっふ。君は確信犯だ。私がこの目でしかと見た。とぼけて窓の外の電車を眺めていたって、ダマされないぞ! まあいい、俺は忙しいんだ。君にかまっている暇などない。今日はもう2件こなす予定だから早く行かんと。アディオス!」

外に出るとウーバーアプリを起動させる。出発ボタンを押すとすぐさま依頼が来た。さすが東京。仕事が沸いてくるようだ。

仕事の内容は寿司4人前。寿司はぐちゃぐちゃになりやすいという評判だが、4人前も運べば報酬も増えると思い受け付けた。

しかし、梱包が思いのほか難しかった。そもそもの大きさがウーバーのカバンより断然でかい。頭が真っ白になった。まるでオオカミに追いかけられて逃げ込んだ穴で、ケツだけ入りきらなかった時のようだった。どうにかしないとヤツに食われてしまう。またクレームが寄せられてしまう。でも崩れないことを気にしてたら、到着が遅れてしまう。とりあえず出発しなくては。そう思ったので、45度に傾いた状態でバッグに押し込んだ。


その後依頼者に文句を言われたのは書くまでもない。ではどうすればよかったのかと言うと、あのかばんは変形できるようになっており、わけなく収納できたのだ。全く自分の無知だった。それに、なぜだかは分からないが、報酬も普通と変わらなかった。

時間は3時を過ぎた。依頼もなくなっただろう。目標の3件は達成できなかった。3日目でまだ軌道に乗らないのか、疲れても来てしまった。とりあえずカフェにでも行くか。


「うーん、なんかしっくりこないんだよな」今日の記録がけっこう完成しかかっていた。しかし、最後のオチが見つからない。

窓の外を見渡す。すると、ウーバーのカバンを横に置いた男がペンを握って悶えていた。髪の毛はぼんやりとしていて、ぼーっと窓の外を眺めている。あの中年のおじさんだった。そっか、彼にも何か悩みがあったのか。例えばクリスマスなのに何かしらの理由で家族に会えないとか。そう考えると、あの時の非難はちょっと違ったな。ごめんよ、バカにしたりして。お互い頑張ろうぜ。

「メリークリスマス」その言葉が不意に口を出た。オチが見つかった。

読んでくれてありがとうございました!

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