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遠足で恐怖

作者: ライーダ山

「みなさ〜ん、明日は遠足ですからね〜

夜更かししないで、早く寝ましょうね〜」


「「「「は〜い!」」」」


明日は遠足。

〇〇町まで行くんだ。

〇〇町は、おじいちゃんとおばあちゃんが住んでる所で、いつも行ってるけど、遠足で行くのは、なんだかいつもよりワクワクする。





「忘れ物はないですね〜?

それでは出発しますよ〜!」


「「「「は〜い!」」」」


出発する僕達を、前と後ろの先生が「列からはみ出さないように〜!」と注意する。

元気な太陽に覗かれながら、僕達はワクワクしながら歩く。


友達と話たりしながら歩いていたら、すぐに着いた。

荷物を降ろしたりしていると、友達の1人が何か見つけたみたいで、僕達を呼ぶ。


「これ、なんか祀られてるぜ!」


友達が見ていた所を見ると、大きくて丸い岩が祀られていた。


「それ、おじいちゃんが触っちゃ駄目だって言ってたよ」


「えー?こんな岩に何があるんだ? ほら、こんな風に触っても何も起こらないだろ」


「やめようよ!」


「お前怖がりだな! こんなの全然怖くないぜ!」


「先生に言っちゃうよ!」


「うっ! わかった、やめる」


その後も、鬼ごっこしたり、かくれんぼをして、帰る時間になった。


「いいですか〜?

遠足は、帰るまでが遠足ですからね〜?」


「「「「は〜い!」」」」


帰る途中。僕達は、休憩していた。

みんなが集まってる休憩所の端の方でお茶を飲んでいると、大きな穴を見つけた。

僕がその穴を覗き込んでいると、他の子達も集まってきた。

穴は、大人でも通れそうなくらい大きくて、奥に続いていた。

僕は奥がどうなってるのか気になって、穴の中に入っていった。

穴はちょっと長く続いてて、でも、中はとても明るかった。

穴を抜けると広い空間があった。

学校の体育館くらい広くて、壁に変な模様とかがある。

穴を抜けた所でボーッとしてたら、後ろから背中を押された。

みんなも、穴に入ってきたみたい。

僕がそこを退くと、みんな一気に入ってきた。


「こら〜!」


穴の方から先生の声が聞こえる。

先生も穴に入ったみたいだ。


「帰りますよ〜!

戻りなさ〜い!

危ないですか、ら...わぁ...」


先生も、この広場をみて驚いている。

先生は、周りを見渡して、横の壁に彫られた変な模様を見た。


「これ...なに? どういうこと...?」


みんなも、壁の模様や、真ん中の方にある石像を弄っている。

僕も、広場の奥に行ってみる。

広場の奥には、さっきも見た、丸い岩が祀られていた。

なんでここにあるのか、不思議に思って、つい丸い岩に手をついてしまう。


「あっ!」


慌てて手を離す。

...おじいちゃんが触っちゃ駄目だと言ってたけど、別に触っても何かあるわけじゃないし、そんなに気にすることじゃない、と思う。


「...う...」


さっきお茶を飲んだせいなのか、トイレに行きたくなってきた。

咄嗟に周りを見渡すけど、この広場にトイレなんか無かった。

上でトイレを探そうとこの広場に入ってきた穴を探して...


「...あれ?」


穴が、無い。

見間違いだ。

そう思って、走って元の場所に戻る。


「...無い。無い、無い...!?」


なんで、どうして。

不安になる。

とりあえず、先生に言おう。先生なら、何か出来るかもしれない。

縋るようにそう考えて、先生を探すために、振り返った時、


「ーーーーぁぁぁぁぁああああああああ!?」


悲鳴。

どこから、探そうとして、みんなの視線が集まっている場所を見つける。

奥の方の壁で、大きな顔が彫られている。

そして。

その横で、1人の男の子が血塗れになって泣き叫んでいた。


「手! 手がぁぁああああぁぁぁぁぁっっっっ!?」


よく見ると、男の子の右手が無かった。

ゴチュッ クチャッ

壁に彫られた顔。

その顔が、まるで、咀嚼するかのように動いていた。

みんな、何が起きたのか分からなくて。

ただ、見てるだけだった。

1秒か、10秒か。もしかしたら1分かもしれない。

広場には、男の子の悲鳴と咀嚼の音だけが響いていた。


「キャァァァァァァァァ!?」


誰かの悲鳴で、真っ白に染まった僕の頭が引き戻される。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

どこからか、何かが転がってくる音が聞こえる。

そして、壁の一部がまるで扉のように開いて。

巨大な岩が、みんなを轢き潰す。

ワァァァァ!?

キャァァ!?

みんなの悲鳴が、どこか他人事のように聞こえる。

広場を見渡す。

真ん中の方にある石像が、近くに居た子を押しつぶしてる。

床や壁から槍が生えてきて、そこに居た子を串刺しにした。

床に穴が空いてて、そこからずっと悲鳴が聞こえてくる。

目の前を走って行った子がいきなり倒れて、輪切りになる。

広場の端で震えて丸まってた子が、檻で囲まれ、その檻がどんどん縮んでいく。

出口を探していた先生の上だけ雨が降って、先生の皮膚が溶け始める。

悲鳴を上げて逃げ回ってた子が、床から生えた棒に刺されて、膨らんで破裂した。


「えぅ...あっ...?」


なんでこんなことになったのか。

どうして。

分からない。

...気付けばもう悲鳴は聞こえず、とても静かになっていた。

広場を見渡す。

誰も、何も、動いていない。

助かった?

一瞬安堵した瞬間、重い物を引き摺るような音が聞こえた。


「ひぃっ...!?」


左右を見る。

出口を探す。

...あった

あった

あった

あった

あっち、右に!

直ぐにそっちへ行こうとして、でも動かなかった。

怖い

怖い

怖い

怖い

足が動かない

まだ何か罠があるかもしれない

動けない

動きたくない

助けて

助けて

助けて

誰か

誰か!

誰か!


ズリ...ヅチャ...ズリ...ズリ...


...何か、来る。

ゆっくりと、何かが。

奥から、何かが。

見たくなかった。

そっちを向くのが怖い。

でも、来る。

何かが来る。


ズリ.........


...止まった?

見る。


「ぁ...」


それは、目の前に、直ぐ近くに居た。

祀られていた丸い岩。

それが大きく開いていた。

真っ赤な内側。

ゆらゆら動く舌。

真っ暗で見えない穴。

歯は無かった。

口だ。

口を開いて...






「こら〜!

起きなさ〜い!

帰りますよ〜?」


「ぇ...?」


目を覚ます。

目の前には、先生。

頭がボーッとする。

周りを見る。

みんなが並んでて、僕を見ていた。

寝てた?

さっきのは夢?

まだボーッとしていた僕に、先生が手を出した。

先生にまた「帰りますよ〜!」と声をかけられて、頭が覚め始める。

さっきのは、夢だったみたい。

みんなに注目されて恥ずかしくなりながら列に並ぶ。

そのまま、何事もなく僕達は学校に戻って、家に帰った。





「...ってことがあったんだよなー! 小学2年生の頃のことで、それが妙に記憶に残っててさー」


大学で、昼飯を食べながら友人に話す。

友人は、スマホを弄りながら、俺の話を聞いていた。


「へぇ〜...もしかしたら、お前の爺さんが触るなって言ってた、丸い岩を触った祟りだったりしてな」


「それなら、触ったやつがあの夢見るだろ。俺は触ってないからな」


「それもそうだな。ちなみに、そのとき遠足に行った街ってどこだ?」


「ん? 〇〇街だぞ」


「そうか」


友人はそのままスマホを弄っていた。

だが、その顔がだんだんと青くなり始める。


「...え?」


「どうした?」


「ああ、いや...なぁ、本当に〇〇街っていうんだよな? 間違ってないよな?」


「ああ、間違ってないぞ」


「...〇〇街なんて、どこにも無い」


「は?」


「それに、お前が通ってた小学校も調べてみたんだが...お前が遠足に行ったのは××××年で、2年生だったんだよな?」


「...ああ」



「お前が遠足に行った年、その学校の2学年は、教師も含めて“全員”が、







                自殺している」

触らぬ神に祟りなし

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