もふもふに異議あり!
「我々は、もふもふが、もふもふ以外の動物を不公平に扱っていると抗議する」
世界動物会議でその動物は異議ありと抗議する。
もふもふを代表する動物達、すなわち犬、猫、兎、ハムスターやリス達は、戸惑っていた。
かつて、もふもふを持つ動物はそのもふもふ故に殺されてきた。
それを憐れんだ神が降臨し、もふもふ達に知恵と言葉を与えた。
世界は一変した。
今ではもふもふこそ正しく、もふもふこそ真理になった。
もふもふにあらずんばもふもふに非ず。
もふもふがない動物の地位は下落した。
その落ちぶれたもふもふのない動物が、もふもふ達が中心となって活動している世界動物連盟に、反旗を翻し、異議を唱え、もふもふ達を非難しはじめた。
賢いもふもふ達は、もふもふのない動物と歩みよろうと世界動物会議を開いた。
もふもふのない動物の代表は、もふもふ達に、今の現状を訴る。
「もふもふ達は所持者だと言って、もふもふを独占する権利はない。それは平等に与えられるべきだ」
もふもふを持たない動物は非難を続ける。
もふもふ達は、相手の話を聞き終わってから、歩みよりを始めた。
すなわち、もふもふをいっそうもふもふさせて、相手を取り囲んだのである。
もふもふのないその動物は、囲まれて目を白黒させた。
会議場が静まりかえる。
やがて堪えきれず、もふもふのない動物はもふもふ達に頭を垂れた。
会議が終わり、会場をでると出席者達は、待っていたマスコミに質問された。
「会議は無事に終わり、私たちは歩みよりました」
もふもふの代表は答える。
記者が抗議をしていた非もふもふ動物に質問した。
「貴方は“もふもふに異議あり。もふもふは真理か”という非難声明を出していましたが、それについては何か?」
もふもふのない動物はゆっくりと答えた。
「私はもふもふは真理という言葉に異議を唱えます」
その言葉にもふもふ達が警戒をする。
「もふもふは真理ではない。もふもふは愛です。愛そのものなのです」
が、続いたのは、もふもふと非もふもふの和解の言葉だった。
もふもふ達は、その動物。
すなわち人間に寄り添って写真を撮られた。人間は右手に犬、左手に猫、頭には兎、両肩にりすとハムスターを乗せて至福の表情をしていた。
その写真は大きく報道された。
「もふもふは真理を越えた愛」
という言葉と共に。