12日目 残酷な過去 (前)
シーンと静かな空気の中、吸血鬼ちゃんは語り始めた
「こっちの世界は私はもといた世界です」
吸血鬼ちゃんが話始めると、私達は妙な緊張感が心に浮かび上がった
「と言うことは、あなたはこっちの世界から私達の世界に来たってこと?」
「そういうことです」
「そもそも、この世界についてよく分からないから、教えてくれる」
「そうですね」
さっきから吸血鬼ちゃんはあまりこの世界について話したくなさそうに見える
「では、この世界について、私が知っている限りの事を話します」
私はこの話はなにか、嫌な感じが含まれているように感じた
※
「私は子供の時、まだ、何も分からず、ただただ、この街のような道を、歩きさ迷っていました」
私達は吸血鬼ちゃんが語り始めても、聞いているだけだった
「その頃は、自分が吸血鬼だっていう事も分かっていませんでした
そんなある日、私がいつものように街をさ迷っていると、ある、一人の男性が私に声を掛けました
その瞬間でした、私はいつの間にか得ていた吸血鬼の力を無意識に、その時に使ってしまい
その男性の心を読んでしまい、男性は「君、毎日この辺りを歩いてるよね…?」と優しく話しかけてくれましたが、心はそんなにも優しくは無く、『なんだこいつ、近くで見ると、より気味が悪い、目の色も赤色だし』…このように、私は他人が私を気味悪がっていることに、その時、初めて気付きました
その後、私は怖くなってしまい、その場から逃げるようにして、道の奥へ奥へと走って行きました
奥に行き、私はもう、自分以外の人に会うのが怖くなってしまい、そして、その暗闇に閉じこもってしまいました
そして、月日がたった時
街の奥の暗闇にいると、街の方からランプのような明かりが私の方に近づいて来ました
案の定、その明かりはランプでした、そのランプを持っていた人は兵の格好をした女性でした
その女性は完全に怖く震えていた私に対して 「ここで、何をしているの?」 と少し優しく話しかけました、その女性の心を見た時 『この子、大丈夫かな?』 という心の声に、私は無意識に涙を流していました
自分でも、なぜ涙を流しているのか分からず、恐怖で手が震えながらも、涙を手で擦るようにして、拭き取りました
その女性は私のそんな姿を見て、私の手を取り、その片方の手をその女性は両手でしっかりと握って
まっすぐに私に目を向けました、それは私にとっては救いのように感じられました
「大丈夫、私が傍にいるよ」…その言葉により涙が流れ、私は思わずその女性に抱き付きました
女性は当然抱き付いた私を優しく抱いて包んでくれました
その時に私はなんとも言えないこの感情を、とても温かく感じられました
それから時間がたち、私が泣き止んだ頃、女性は静かに私を離して、笑っていました
「私の名前はアリサ、言ってなかったからいうね、そ~いえば、あなたの名前は」
そういった後、私は少しうつむきました、そうして考えて、出た結果は何もありませんでした
「分からない…」
そういうと、アリサは驚きを顔にまでも出して、何かを察したかのように仕草を取りました
「私が名前を付けて上げる」…そこからの、私とアリサの会話は、たった二人だけだのにも関わらず、とってもにぎやかでした
そんなにぎやかな話しが一通り終えた頃、アリサが立ち上がって再び私の方に向き
「また、明日もここに来て良いかな♪…?」
アリサがそういった後、私は迷わず「うん」と、頷いて答えました
そして、アリサは街の方に少し小走りで走って、手を降りながら「また、明日~」と明るい声で街の方に消えていきました
その日、私は明日、アリサと会うのが楽しみで仕方がなかったです
その為、時間が経っている事にほとんど気付かず、いつの間にか寝ていました
目が覚めた時、身動きが取れず、手と足が縛られているのが感じられました
私は何とかそこから脱け出そうと思い、足掻いていると
何者かにお腹を蹴られました
「うわ、本物の吸血鬼だ…」男の声でそういわれ
私は身動きが取れないまま、声も出ませんでした
男は一人だけだったらしく、その後も私を蹴ったり棒でつついたり、徹底的に私を傷つけました
その男の目的は私には分かりませんでした
でも、大体吸血鬼である私が目的だったらしく、何かを急いでいるような感じでした
段々エスカレートしていく男の暴力がそろそろ耐えきれず、ついに怒りに体が飲み込まれました
飲み込まれ、体が暑くなっていき、背中から羽が生えて、歯の牙が鋭く尖っていきました
その後、私は今までが嘘のように縛られていたヒモを破りました
男は街の方を見ていて私がヒモを破った事に気付かず、私は影の中に入って、男に近づいていきました
そんなことは、今までがしたことが無かったのですが、無意識に出来ました
そうして男の背後に影から出て忍び、男に牙で噛みつきました
私がどんどんと血を吸っていくと、男はさっきよりも痩せていき
私の体は暑くなっていき、力がみるみる沸き上がっていきました
そうして男から血をを吸って、もう吸えないくらいになった時、男から手を離すと、バタリと男は地面に倒れ、私はもっと血が飲みたくなっていきました
少し落ち着いたくらいの頃、私は自分が怖くなって奥の壁を向き、しゃがみで…
段々と自分に対する恐怖が積もっていきました……………
吸血鬼ちゃんの日常を初めに書き進めた時、なんとなく、上手くいきそうな感じがあったんですが…
今となっては、不安でしかないです。
次に書きたい物もあるんですが、そっちは何とかいけそうです。
でわでわ、次回も
ヨロシクオネガイシマス (^^ゞ