11日目 再・異世界転生
再び私は異世界にきた、といっても、街に来ただけなんだけどね
その後、私達は噴水の近くのベンチに座る…
「苺花さん…?」
私は少し、ぼーとしてしまっていた、気がつくと目の前に吸血鬼ちゃんの顔があった
それに驚いてしまい、こけそうになるも、なんとかベンチに捕まって逃れられた
「大丈夫ですか!?」
その声に私は冷静に答えようとする
「うん、大丈夫大丈夫」
「そうですか」
吸血鬼ちゃんは、ほっと、息をはく
「もう、ここの空気にも、慣れていますか?」
---え? 何、その [ここの空気は前の世界とは違いますよ] 的な発言
「ここの空気は前の世界とは違いますけど」
---あ、そうなんだ…うん、なんか分かってた……
「そうですか…」
吸血鬼ちゃんは少し首を傾けた
「そういえば、今まであんまり気にしてなかってけど、その、心を読むのって、自発的なものなの?」
少し考える時間をとって吸血鬼ちゃんは私の方に向く
「そうともいえます、しかし、そうともいえない部分もあります」
そんなあやうい返答に少し困るものの、なんとか理解をしようと試みる
「なんだか、あんまり分かんない能力なんだね」
「そうですね」
吸血鬼ちゃんは自然なトーンで返事をした、自然過ぎて怖いくらいだった
「あ! そうだ、守敷さんと吸血鬼 (仮) の子は?」
頭の中によぎった言葉をそのまま口にしていた
「お二人は、あそこの宿屋に今はいるはずです」
そういって指を指した先に一軒、看板に 宿屋 <ホース> と書かれているのが見える
この世界は一軒一軒、繋がっていて、宿屋は分かりにくい、なんとか看板があったから分かった
「あの、ホースって書かれてる所?」
「……ああ、苺花さん、あれはホースでは無く、スカルド、と書かれてるんですよ」
と、いって訂正されても、アルファベットで明らかに、ホース、と書かれているので
あまり、その言葉を飲み込めない
「スカルド? ホースではないの?」
「はい、でも、なぜホースと読んだんです?」
「アルファベットで…うん」
そういうと、吸血鬼ちゃんは不思議そうな顔をした
「 “アルファベット” って何ですか?」
まさかのアルファベットを知ってなかった
「アルファベットは…えっと、う~ん…?」
---アルファベットを上手く説明できない、どうしよう
「アルファベットとは?」
「日本語で言うと、外国語、かな?」
「外国語? さっきから何をいってるんですか?」
---またまた、厄介な事になってきた、しかし、どうしよう
「日本とは違う言葉を使う、違う国、かな~…?」
ぎこちない感じでいってしまったけれど、なんとか伝わったよう
「……?」
仕草を見ると、まだ理解が出来ていないよう
「どうかな? 分かった?」
「そっちの世界は言葉に種類があるんですか?」
思いもよらない質問に少しフリーズする
「ヴェ?」
---ついつい変な言葉を口に出してしまった
気をとりなおす為に、いったん深呼吸をした
「こっちの世界は世界共通なの?」
「はい」
即答だった、何の迷いも無く、真っ直ぐな目で私を見ている
---可愛い…
気が緩んで、そんな事を思ってしまった
「ええ!? 私が…可愛い……なんて……苺花さんの…口から…………」
吸血鬼ちゃんは顔を両手で押さえて、明らかに恥ずかしがっている
「なにか言った? 声が小さくて聞き取れなかった」
「何でもありませんよ~」
顔を両手で押さえながらそういった
---気を取り直して
「私達の世界は、国一つ一つの間隔で言語があった、例えば、日本語はその国々の中の一つ、そして、アルファベットは日本とはちがう国の言語で、英語、という物の、文字」
説明を長々としてしまったが、自分でもなかなか上手く説明を出来たと実感した
「ということは、苺花さんの世界には、複数の言語があって、その言語の中の一つが英語もといアルファベット、ということですね」
吸血鬼ちゃんは少し、合間合間に空間を空けつつ、理解の出来たように私の説明の内容を問いただした
「まあ、そんなかんじかな」
「そうですか、なんとなく分かりました」
なんとか分かってくれたようで、私は、ほっと息をついた
「こっちの世界の文字は苺花さんの世界での アルファベット に似ているんですね」
「うん、そうそう」
「どうしますか?」
唐突に質問を投げられた
「どうする…て?」
「もういっそのこと、こっちの世界の文字も覚えてみませんか?」
「それは、ちょっと気が引けるかな~…」
「そうですか」
吸血鬼ちゃんが明らかに落ち込んでいる、私の中に罪悪感が残る
「でも、少しずつなら覚えていけるかも」
そういうと吸血鬼ちゃんは明るい笑顔になった
---とても、単純で純粋な子なんだな~
※
私は吸血鬼ちゃんと一緒に噴水のそばのベンチに腰を掛け、話に夢中になっていた時
向こうの方から私を呼ぶ声が聞こえてきた
「せんぱ~い」
この、無駄に元気のいいような、声の主は、私にはすぐに分かった
---守敷さんだ
声がする方に目を向けると案の定守敷さんだった
彼女は私達のいる方に走って来るのが見える
そして、私達のそばに着いた時、息を荒くして、姿勢からして、走って疲れている事が分かる
「ハァ、ハァ、ハァ」
守敷さんの呼吸はずいぶん疲れているように思える
「大丈夫?」
「は、はい、大丈夫、です、」
上手く話せていない
すると、守敷さんは深く空気をはく
「やっと見つけましたよ」
「やっと、て?」
守敷さんは私のほうに指をたてた
「もう、ず~と、探してたんですからね」
「どのくらい?」
「えっと~、大体三時間ですね」
三時間という驚愕の事実に唖然とした
「そ、そんなに!?」
「そうですよ!!」
強い口調で言った、その声が私の耳に響く
「とりあえず、もう少しゆっくりと出来る場所に行きます」
「うん」
守敷さんの言われるがままに私達は動いた
ベンチから立ち上がり、守敷さんの行く方向に私達も着いていく
目と鼻の先にあった、さっき吸血鬼ちゃんがいっていた宿屋の中に入っていく
入ってすぐにレストランのような内装であった、そこを通って行き奥にあった階段を上る
その後、何回か階段をあがって、多分、三階と思われる場所に着いた
その三階の廊下を進んでいき 306 と書かれた部屋の前に止まった
---まるで、ホテルのような内装
「ここです、入って下さい」
少し怒っているような感じで言っているように私は思った
そうして、恐る恐るドアを開ける
中には、もうすでに吸血鬼 (仮) が寝ている
「何で寝てるの?」
「まあ、良いから、入って下さい」
そうして私達はその部屋に入っていく
中はとてもきれいにしてある、部屋にあるテーブルのそばに一つ一つ置かれてある椅子にみんな座る
「で、守敷さん、ここで、何をするの?」
「それは当然、そこの吸血鬼ちゃんとやらに、この世界について、く、わ、し、く、説明をしてもらおうとおもって、です」
「ちょっと、なんですかその、吸血鬼ちゃんとやらって!」
「まあ、落ち着いて、吸血鬼ちゃん」
「あ、はい」
「さて、この世界ついて、教えて下さいね」
「分かりました…」
そうして、その後、吸血鬼ちゃんは、この世界について語る事となった
その間の時間、シーンと空気が妙に静かになった
何となくというか、何とか書けました。
次回も頑張って行きます
ヨロシクオネガイシマス (^^ゞ