九日目 女の子の秘密です!
辺りは完全に7時を越えていると思われるくらいには、暗くなっていた
初めに起きた守敷さんは、上半身を起こしたときに、辺りを見渡した
すると、隣にいた私達を見てキョトンとした顔になっている
「なんで、先輩があの子を包んだ状態で寝ているんですかねー?」
その発した言葉はうらやましさがある
---も~、先輩と一緒に寝るなんて、私だって、私だって、まだなのに~!!
守敷さんは、顔にうらやましいと書いているのか、というくらいに分かりやすく表情を浮かべる
勿論、書いてなどいませんが…守敷さんは私達の方に手を伸ばすも、その微笑ましい光景に手を出そうにも出せなかった
心の中ではとても悔しいがっている
次に吸血鬼ちゃんが起きてきた
何か嫌な物でも察っしたかのように私達が寝ている方を瞬時に見る
「あらあら、なんと微笑ましい光景なことでしょうか……?」
---なんで、私じゃなくってこの子が先に苺花さんと一緒に寝たりしているんですかね~
その顔はもう、表すとするならば、嫉妬してる鬼…
ああ、これじゃあ吸血鬼ちゃんに怒られるな…
二人はこの状況を何とかしようにも何もできなかった
そう、ただただ私たちの(私と吸血鬼 (仮) の)寝ている状況が何とも微笑ましかったからから
しかし、私と吸血鬼 (仮) は…
というか、さっきから私はこの状況を知っている風に書かれていますけど
私、このときは完全に寝ていて全然知らないんですよね!
まあ、そんな感じで、吸血鬼ちゃんと守敷さんはただただ私達を見ています
にらむ感じというか…嫉妬してる感じというか…まあ、そんな感じです!
二人は私達をまじまじと見つめている
それはもう、物凄く
※
私が目を覚ますとその時にはもうとっくにみんなは起きていた
寝た状態でもそれが見ただけで分かった
上半身を起こして辺りを見るも、だれの姿も無かった
なので私はこの部屋の中を探そうと、立ち上がろうとした瞬間に、足が何かに引っ張られて立てなかった
足を見ると、手錠のようなもので縛られていた
---なんで気づかなかったんでろう、ていうかなんで縛られているのかな…?
私は体を下向きにしながら考え込んだ
といっても、あの三人のうちの誰かなのは明白
下向きの状態から上に向き、上半身だけを起こして周りを見る
やっぱり誰もいない…
「守敷さ~ん、吸血鬼 (仮) 、吸血鬼ちゃ~ん、誰かいないの~……?」
部屋の中に私の声が響く、だけど返事が全くない…
暗い部屋の中、なぜだか急に背筋に冷たい空気的なものを感じる
その冷気が一気に私の背中を駆け巡る
そのあと、私は恐怖で、動くことを本能的に受け付けない
「だ、誰か~……」
しだいに私の体が全身を縛られたかのように動けなくなった
---どうしよう、だんだん寒くなってきたし、なにより、怖い…
今の状況は正直に言って最悪、なにしろ怖くて怖くて仕方がない
自分が何故こんなにも怯えているのかは全くもって分からない
---誰か、助けて…
私は座った形のまま両手で腕を掴んでうつむいたまま体が震えている
しだいに視界も暗くなっていく
段々と見えもしない強い恐怖に私は圧されていく
※
気が付くと吸血鬼ちゃんが私の上に乗っていた
「ふぅー、やっと起きましたか…」
吸血鬼ちゃんは呆れたかように仕草を取る
私はさっきの意味の分からない恐怖を思い出した
そうすると体に再び震えがくる
「苺花さん……?」
私は吸血鬼ちゃんの方を見ると吸血鬼ちゃんはその顔を見て悟った
私は思わず吸血鬼ちゃんに抱きついてしまった
吸血鬼ちゃんも私に抱きついてくれた
少し軽くなったもののまだ恐怖は残っている
でも、このくらいは乗り越えられた、私は吸血鬼ちゃんから少し離れようとすると
吸血鬼ちゃんは私をまた抱き寄せた
「吸血鬼ちゃん?」
「我慢なんて、あまりするものじゃないですよ」
吸血鬼ちゃんは微笑みながらそう言った、その言葉に、私はとても救われた気がした
「ありがとう、吸血鬼ちゃん」
「そう正直に言われると照れますね」
吸血鬼ちゃんがそういうと、また強く私を抱きしめた
その時に体が少し動くと何か金属の音が鳴った
私と吸血鬼ちゃんはその金属の音の方を見た、当然それは錠であった
「ねえ、吸血鬼ちゃん…」
私は吸血鬼ちゃんから少し離れてまじまじと顔を見入る
「な、なんですか?」
目線をそらしている、言葉からも、明らかに動揺の色が見られる
「この足の鎖みたいなの、知ってるよね?」
追い打ちを掛けるかのごとく私は聞いた
「さぁ、な、何なんでしょうねそれ」
まだ目線がそれている、もう決定だな~……吸血鬼ちゃんがやった
「なんで目をそらすのかな?」
「そ、それは……」
吸血鬼ちゃんはとうとう耐え切れづに下を向いた
もう追求はしないほうが良いかもしらない
「まぁさっ、この鎖解いてよ」
「それは出来ません…」
吸血鬼ちゃんはうつむいたままそう答えた、その答えは私からは不思議でしかない
「なんで…?」
「あの子が持っているからです」
吸血鬼ちゃんが言ったその“あの子”ということをはじめは分からなかったけれど
なんとなくで吸血鬼 (仮) だということが分かった
---もしかして、みんな、グル?
「はい、そうです」
吸血鬼ちゃんがそういって驚いてしまった
まぁ、驚くのは当然だけれど、心を読まれると……ね
それは、置いておこう、その方がいい
「他のみんなは?」
「異世界です」
………へ?
唐突に“異世界にいきました”と言われても…困る、今の私のように
?????
あれ、もしかして、聞き間違いかな?
「えっと~……どこに行ったんだって?」
「異世界です」
---うん、間違ってない、何も間違ってない
私は心の中で強く強く、それはもう強く願った
「も、もう一度…」
「だから、異世界ですって!」
吸血鬼ちゃん言ったその言葉をすべて理解するのに、この後、随分掛かった
それまでの時間、私はほとんどがフリーズした
だって、こんな事実はそんな簡単に受け入れられないから
急展開の異世界登場です。
次回は異世界も含んで書いていくつもりです。