0日目 プロローグ
真冬
それはとても寒く、もう外に出たくない、と思うくらいのもの
そんななか、私 姫海苺花 は今、外に出ようとしている
私の実家は、千葉県にあり、今住んでる京都府とは程遠く
なんとなく私は京都府にある高校に行きたくなり、その高校に受験した
見事に、その京都府にある高校に合格して、もう二学年になった
そうして、今は京都府の小さなアパートに住んでいて
今日は、学校が休みで外出しなくともいいだろうと思っていたのに
食料の確保をしなくてはならなくなってしまった
「こんなことなら、買いだめしとけば良かった」
再度、あまり何も入っていない冷蔵庫を開ける
「ああ、残念な程、何も入っていない」
せいぜい入っているのは
卵一個、キュウリ二つにニンジン一つ
流石にこれだけで、今日の三食分は無理なので
室内を少し移動して、棚のなかに入れている、カイロを取り出す
「もしかしたら、カイロって命より大切なんじゃない?」
冗談です、命より、なんて無いなとは、瞬時的に思いました
手でカイロを二つ程、擦り会わせると、ほどよく暖かくなってきた
「よし、行こうかな」
カイロを持って、掛けていたジャケットを着ると、そのジャケットのポケットにカイロを入れる
そして、机の上のバッグを手にとって、扉に向かう
準備万端なのを確認して、扉の金具に手を伸ばた
扉を開けたと、寒さと同時に隣からも開けた音が微かに聞こえた
その隣を見てみると学校の後輩の 守敷香苗 さんだった
「あ! 先輩、おはようございます!!」
この元気の塊のような子が私の美術部の後輩です
同じアパートに住んでいて、それで守敷さんが私の高校に入ってきたので
私と同じ美術部に入ったので、今では完全に仲は良いです
「おはよう、守敷さん」
そう挨拶をすると、頬を膨らませて、少しにらむ感じで私の方を見てくる
「もう、先輩! 私の事は香苗って、読んでくださいって、何回も言いましたよね!」
今までにも何回か、こんな会話があって、いつも私はこう返す
「はいはい」
これで大丈夫、このように軽く流していればいいの
「で、珍しいですね、こんな寒いのに、先輩が外出するなんて」
この子は、私を寒い時には外出しない、猫か何かと思っているのでしょうか
「そんなに珍しいかな?」
私は、寒いのは結構苦手だけど、そんなに外出が少ないとかは、特にはないし
「はい、珍しいいですよ、休日に外出するんですから」
確定するまでに、私が休日に外出するのは、珍しいようです
「そういえば、守敷さんは、何で外出するの?」
ふと、疑問に思って、口に出してみる
「学校に忘れ物を取りに」
この子は、何て言うか、うっかり屋さんですね
「忘れ物って、何?」
忘れ物について質問をした
「美術部で使う、絵の具ですよ、先輩も持っていますよね」
美術部の忘れ物、と聞いて多少、驚きました、守敷さんは、あまり美術部の道具を忘れない
「うん、持っているけど…」
言葉が詰まった
少し思い出す、確か学校は、休日には昼までだったはず
「どうかしましたか?」
守敷さんの不思議そうに、私の方に目線を送る
「って、もう、すぐに行かないと、ここからだと、閉まっちゃうんじゃないの?」
つい思い出したかのように、頭に浮かぶ
それを聞いた守敷さんは、初めはキョトンとした顔をして
それから、悟ったように、焦りだした
「すいません、先輩、私、急ぐので」
そう言って、守敷さんは、少し走るようにして、すぐに行ってしまった
もう、姿さえ見えなくなったくらいで、私は足を動かした
通学でも、階段を使っていて、ついつい癖のようにし、階段を使用してしまう
まあ、私自信が、エレベーターに乗ると気持ち悪くなる、ということもある
階段を下り、私はいつも、心の中で、こう叫んでいます
“今日も1日頑張ろう!!”
そうやって、気持ちを軽くさせてから、登校する
今日は、いつも通っているスーパーに向かう、結構近いので
このアパートに住んでいる、大半の人は利用しています
私は少しスキップ気味に歩く
道幅は、それほど大きくもなく、小さくもない、シンプルな感じ
今日は休日だからなのか、人が多く感じられる
そんな道のなか大体、六~七分歩いて、スーパーに着いた
早速スーパーに入ると、軽快ないつもの音楽が流れている
カゴを手にとって、次々と食材を入れていく
五分もしない内に、買い物が終わった
これも癖の一つで、時間が無いときが一時期あって、そんな時に必要な分だけを買います
そんな感じで、冷蔵庫に物が少ないのは、これが原因な事もあります
癖は他にも色々あって、今は、先に家へ帰る事を、優先させましょう
ポリ袋に、食材を丁寧に入れ、袋を片手で持ち、スーパーを出た
と、同時に寒さが手へ、ツーンと、伝わる
「やっぱり、寒い」
手袋を、着けておけば良かった、という後悔があった
気が付けば、もう自分のアパートの前まで帰って来ていた
帰りも、行きと同じで、階段を使用して、上ります
寒さが見に染みるなか、少し急ぎつつ上がっていると
私の部屋の前まで見えるくらいで、倒れている人影が見えた
そこへ行くと驚いてしまった
なんと、倒れているのは、女の子でも
傍から見るに、女の子は、まるで、アニメから飛び出してきたかのように
髪の色も、肌も、何もかもが、美しいだけで表現できるものでは無かったからだった
この驚きは、誰でもなるに違いないと、確信づく程であった。
今回は吸血鬼の要素を入れてみました
吸血鬼、日常、が主な要素です。
一体、あの子は誰なのか、一体、苺花に来る最初のトラブルとは
次話、苺花と吸血鬼ちゃんの日常が始まります