18話終結
「流石の強さだな」
「……カルミか?」
コツコツと床を鳴らす足音。
振り向くと、フードを外した眼鏡の女性、帝国四天王最後の一人・魔女王カルミが姿を現していた。
瞬時に戦闘態勢を取る。
奴が召喚する魔物はどれも強力だ。
俺だけなら問題なく対処出来るが、ゼンリョウ公爵達の方へ差し向けられたら厄介である。
が、カルミは俺の予想を裏切る行動に出た。
「……なんの真似だ?」
「見ての通り、降参だ降参」
カルミは両手を挙げて降伏のポーズをし始める。
「私では貴様に敵わない、だから降伏する。別段、おかしい話でもないだろう?」
まあ、確かに。
俺としても無益な戦いは避けたい。
殺人を好む狂人に成り下がるつもりは無いのだから。
「構わないが、信用していいのか?」
「随分甘いんだな。信用など必要無い、私が少しでも抵抗した時、すぐさま殺せばいい」
「ま、考えとくよ」
カルミの相手はもういい。
俺は今度こそ、謁見の間へ入る。
「そうだ、国王達に伝言はあるか?」
「そうだな、命あっての物種、と伝えてくれ」
「この世界にもあるのかその言葉……」
異世界、まだまだ奥が深いな。
そう思いながら扉を開ける。
中には、かなりの人が集まっていた。
「貴様、なにもーーが⁉︎」
煩い兵士を先に潰しておく。
用があるのはクズルとワルダクだ。
それと、リーリィを落とし入れた貴族達も。
「クズルとワルダクはどいつだ?」
貴族達がどよめく。
兵士を瞬殺した俺を恐れ、対応に困っている様子だ。
すると自然、自分達のリーダーを頼ろうとする。
つまり、あの玉座の横にいる男が……ワルダク。
そしてその玉座に座っているのが、クズル。
「お前らがクズルとワルダクか」
「お、お前……こっ、こんな事をして、た、ただで済むと思うっ、な、よ!」
クズルはガクガクと震えている。
少し、ビビリ過ぎでは無いだろうか。
「ありえん……将軍を瞬殺など、ありえん……!」
横のワルダクが言う。
まさか、さっき瞬殺したのが将軍だったのか?
弱すぎて気がつかなった。
「だったら、話は早い。俺はリーリィ派の人間だ、お前達を捕まえ、王位を返してもらうぞ」
「ふさげるな! 僕は帝王だぞ!」
王位を返す。
クズルはそれに反応し、激昂した。
怒りたいのはこっちの方なんだけどな。
「帝国四天王は何をしている!」
「もう倒した、それとカルミから伝言ーー命あっての物種、だってさ」
「あの売女があああああああああああっ!」
ガンッと、ワルダクが壁を殴る。
何度も何度も、自らの拳から血が流れるまで。
周りの大臣達がそれを慌ててやめさせる。
「さてと、俺としては捕縛と殺害、どちらでもいいんだが」
「ひ、ひいいいっ! お、おい、誰かこいつを捕らえろ!」
クズルが叫ぶ。
だが、大臣達は誰一人として動こうとしない。
そりゃあそうだろう。
こんな屑の為に、誰も命を投げ出したくない。
一方リーリィ王女は、彼女の為にと大勢の人間が動き、こうしてクーデターを起こすまでに発展した。
これが、持つものと持たざるものの差。
「チェックメイト、かな」
「ぐ、ぐぬぬぬぬ……!」
ワルダクの顔が、これでもかと歪む。
クズルは未だに何かを喚き散らしている。
周りの大臣はオロオロするだけ。
こんな国、いつか勝手に滅びていただろうな、本当。
「ぼ、僕は帝王! この国の王なんだああああ!」
「クズル様⁉︎」
クズルが剣を取り駆ける。
狙いは真っ直ぐ、俺の首。
殺してもいいが面倒だな。
眠らせて、王城の前に転がすか。
後はゼンリョウ公爵が上手くやってくれる。
元々そういう約束だしな。
「スリープ」
「がっ、ぐ⁉︎」
ばたりと倒れるクズル。
後は、ワルダクか。
「く、来るなああああああ!」
「断る。眠れ」
同じくスリープで眠らせる。
やけに早く終わったな。
「おい、お前ら。命が惜しければこいつらを運べ」
「「「は、はい!」」」
大臣達に命令する。
これでこの戦いも集結するだろう。
どんな戦も、終わる時は終わるんだな。
3話のステータス表記、修正しました。




