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16話怒り

 

重力変化(ゲームメイク)!」


 俺は憤りを止めないまま、魔法を発動させる。

 先程パワスターが使っていた魔法、重力変化。

 ハッキングで全容は分かっていたので、俺の魔法で再現するのは難しくない。


「「「ぐううううううっ⁉︎」」」


 ターゲットを男達一人一人に絞り、俺の無限の魔力で死なない程度に圧をかける。

 まだ、殺しはしない。

 今は彼女を助ける方が先だ。


「おいっ、助けに来たぞ!」

「……あ」


 サリーの姉リーリィは、虚ろな瞳を浮かべたまま俺を見た。

 彼女は衣服を纏っておらず、また身体中に鋭利な刃物で傷つけられたと思われる痕が痛々しく残っている。


「俺はダイチ、貴女を助けに来たんです。貴女の妹、サリーと共に」


 手足が鎖で縛られていたので、すぐにそれを破壊し、俺が着ていた上着を羽織らせた。


「お、お姉ちゃん!」

「っ、そ、その声……⁉︎」


 リーリィの暗い瞳に、光が灯る。

 サリーは汚れなど御構い無しに彼女へ抱きついた。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」

「サリー、良かった……無事だったのね……!」

「私なんていいっ、それよりお姉ちゃんが……!」


 大粒の涙を流すサリー。

 無理もないだろう。

 大好きな姉が、こんな事になっていたんだから。


「……そうね、でも後悔はしていない。こうして貴方が、仲間を連れて助けに来てくれたのだから」

「う、ううっ、ごめんなさい、ごめんなさい! 私がもっと早く来てればぁ……!」


 二人は暫く抱き合った後、この部屋を出て行った。

 俺は少しだけ外で待っててくれと言い、部屋に残る。

 ここから先は、人に見せられないからな。


「……あの、ダイチさん、でしたか?」


 部屋から出る直前、リーリィがこちらへ振り向く。

 すると頭を下げ、俺にお礼を言ってきた。


「助けて頂き、ありがとうございます。このお礼は、必ず」

「今はそんな事いい、それより貴女は、少しでも体を休ませてください。後の事は、全部俺に任せてください」

「……本当に、ありがとうございます」


 自分が一番辛いはずなのに、強い人だ。

 去り際、そんな彼女に尊敬の眼差しを向けられていた事を知るのは、もう少し後の事であった。


 ♦︎


「さて、次はお前らの番だが……」


 床に伏せる数十人の屑を見下ろす。

 上半身だけが裸体の者もいれば、全裸の者もいた。

 手には刃物や、何かの液体が入った瓶が握られている。


「お前らは死ぬ、これは決定事項だ」


 俺は重力変化を解く。

 重力から解放された男達は次々と立ち上がるが、全員顔を蒼白にさせ狼狽していた。


「お、お前、こんな事をしてタダで済むと思うなよ!」

「そうだっ、俺はレリック家次期当主ーー」

「黙れ」


 時間にして、一秒。

 俺は僅か一秒の間に、一人の男の頭を消した。

 首から上がない肉塊が床に倒れ、鮮血を撒く。

 その様子を見て、残りの男達は悲鳴をあげた。


「おいおい、こんなもんで騒ぐなよ……」

「ひっ、く、来るなあああああっ!」


 スッと手を伸ばす。

 その先には、金髪の青年。

 その頭を容赦無く掴み、頭蓋を割る勢いで握る。


「い、いだあいいいいいっ⁉︎」

「リーリィが受けた痛みは、こんなもんじゃない」


 ミシミシと音が響き、青年の頭が砕け散った。

 一人一人だと時間がかかるな。

 やはり、重力変化で一気に潰すか。


「ゲームメイク」


 ズンっと、部屋の重力が一変する。

 床も壁もビキリと音を立てる。

 俺は出来るだけ力を調節しながら、男達を押し潰す。


「た、助けてくれ⁉︎」

「い、嫌だ、死にたくないいいいいいっ!」

「俺は貴族だっ、貴族だぞ!」


 自分の体が壊れていくのが分かるのだろう。

 腕が折れ、脚が折れ……血肉がひしゃぎ、皮膚を貫いて血が溢れ出す。

 気づけば部屋は血の海になっていた。


 それでも、連中の息は続いている。

 死にたいとすら思う輩もいるだろう。

 でも、だからこそ直ぐには殺さない。


「あ、あがっ、あがががが⁉︎」

「やっやめ、やめ、め!」

「……ない、たくない、しに、たく!」


 絶叫が演奏のように、何重にも重なる。

 俺はいつからこんなに残酷になったんだ。

 まあ、どうでもいいか。


「……地獄で後悔するんだな」


 グチャッ


 肉が潰れる不快な音が、耳に残る。

 目前には惨劇と呼ぶに相応しい光景が広がっていた。

 そういえば、この中にクズルはいたのだろうか。

 いや、いないか、いたら真っ先に俺は帝王だぞとか喚きそうだし。


「……ごめん、待たせた二人とも」

「お兄ちゃん……」

「ダイチさん……」

「さ、行こう。サリーはリーリィをゼンリョウ公爵か、シェルナの所に連れていってくれ」

「お兄ちゃんは?」

「俺は、このままクズルとワルダク、そいつらに協力してる奴らを潰す」


 こんな事、許されていいはずがない。

 自国の王女を、若い貴族達が陵辱する。

 人として終わってる、そんな奴らが運営する国など、遅かれ早かれ滅亡。


 だから俺が、ちょいと早く引導を渡す。


「お兄ちゃん……うん、分かった」

「今の私は、何の力もありません。ダイチさんに従います」

「ありがとう、気をつけてな二人とも」


 隠し扉まで二人を送る。

 そして俺は、とある魔法を発動させた。


存在固定(セーブポイント)


 隠し扉があった部屋に、緑色の魔法陣が浮き出る。

 これはもし、二人が危機的状況に陥った時、瞬時にこここまで転送する魔法だ。

 転送されれば、俺にも連絡が入る。


「さて、と」


 以前、リーリィ派と現帝国の争いは続いている。

 俺はそれに終止符を打つべく、玉座へと足を進めた。

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