第5話 温かな食卓
「今日はもうご飯食べてってね。後でソラに送らせるから。」
テキパキと食事の盛られた皿を運びながらおばさんは私にそう言った。
「え、でもママが心配するから……」
「大丈夫よ。ティアにはさっき連絡しておいたから」
村では古い通信機器が使われていて、近隣の数軒の家との交信ができるようなっている。
茶色い金属でできたコップのような形のアイテムだ。
「そっか。ありがとう、おばさん。ママなんか言ってた?」
「私が『娘さんは今日からうちでもらい受けます』って言ったら『末永くよろしくお願いします』って言って笑ってたわよ」
「またそんな適当なこと言ってー。ほんと仲がいいんだねー」
ママとおばさんは村で育った同級生の幼馴染だ。
ふたりが一緒にいるときは、ずっとふざけて合っている。
きっと気持ちだけが子供時代に戻るのだろう。
「あははは。まーねー。さぁ、冷めないうちに食べましょ」
食卓には、大皿に盛られた料理の数々。
すでに私の分の食器も並んでいた。
「うん!」
私はそう答えると、おじさんが引いてくれたイスに腰掛けた。
3人がそれぞれ席につくと、おじさんがお祈りを始める。
「天恵と精霊の加護に敬意を込めて、豊かな恵みに深く感謝致します。いただきます」
「「いただきます」」
今晩ウェールズ家の食卓に並ぶのは、
【鶏のクリーム煮】
【山キャベツのサラダ】
【ハナ豆の酢の物】
【山菜の煮物】
【焼きパン】
の5品。
今の時期は寒い冬に比べ食材が豊富にあるので比較的食卓が華やかになる。
それにおばさんの優しい丁寧な味付けが私は大好きだ。
「おいしいなぁ……。ねぇおばさんこのクリーム煮ってなんか特別な工夫とかしてるの?」
「さすがココちゃんはするどいわね。実はティアから牛のバター分けてもらったからそれを使ったのよ」
「あー。やっぱりそうだったんだー」
「ねぇココちゃん、ハナ豆食べてくれた? ちゃんとできてるかなぁ?」
「うん。すごくおいしいよ?」
「よかった! 実はこないだティアに習ったばかりなの!」
一応、村一番の料理上手を自称するママの娘なので、私も料理の腕には多少覚えがある。
おばさんも私の腕前には一目置いてくれているようだ。
「そうだったんだ! あ、それならあと少しお砂糖を足すとママの味に近いかも。でもこのままでも十分美味しいと思うよ。あとこれってさぁ――」
それからしばらく料理の話で女同士盛り上がった。
次はソラが目を覚まします!!
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