第2話 家路
広い草原の間を縫う細い小道。
僕とココは村へと続くその道の上を、やや急ぎ気味に歩いている。
夜はもうすぐだ。
「そういえばレントは?」
「慌てて先に帰ったわよ? なんか急にフィーナさんに頼まれたお使い思い出したって言ってた」
ココに尋ねるとそう返ってきた。
フィーナさんというのはレントの母親だ。
「レントらしいね」
そう言ってココと2人で笑った。
僕たち3人は辺境の村アルザで生まれ育った。
親同士の仲が良かった僕たちは生まれてすぐの頃からの仲だ。
だからお互いのことは良く知っている。
レントは昔から活発でやんちゃではあったが、心優しい性格だ。
以前は生まれた日が近いこともあり、双子と間違われるほど似たもの同士だった。
でも最近身長が伸び、体がかなり大きくなったレントは、母親譲りの綺麗な黒い色の髪を父親と同じように短く切って、随分と男らしい印象になった。
僕もそれなりに育ってきてはいるが、彼とは随分印象がかけ離れてしまった。
少しうらやましい。
そんなレントはおっちょこちょいなところがあり、何かひとつのことに集中すると他の事を忘れてしまう。
今回も何かに夢中になっていたのだろう。
慌てて帰らなければならないほど大事な用を忘れてまで。
いったい何に――。
――あ。
そういえばひとつ思い当たるフシがあった。
もしかしたらレントは、僕の糸の先を持って行った獲物の存在に気付いていたのかもしれない。
そんなことをひとりで考えていると、
「ところでソラ、なんか気付かない?」
タタッと前に出て振り返ったココは僕の顔を覗き込みながらそう言った。
目を細め薄い笑みを浮かべている。
ココがたまに言ってくる「なんか気付かない?」は、彼女が髪型や服装の変化に気づいてほしい時の合図だ。
僕がそれをうまく見つけて褒めてあげると機嫌が少し良くなる。
ただし彼女の意に反する答えを返すと、機嫌が悪くなってしまうというめんどくさい仕様になっている。
めんどくさいが、付き合わないという選択肢はない。
スルーすればさらに機嫌が悪くなるだけだ。
こうやって自分の姿をあえて晒してくるってことは、おそらくココを注意深く観察すればヒントが出てくるはず。
「そうだねー……」
僕は曖昧に相槌を打ちながらヒントを探した。
ダークブラウンの綺麗なストレートヘアーはいつもぐらい――全体的に肩に少しかかるぐらいの長さで落ち着いている、もちろん前髪の長さや分け目も変わっていない。
小さな顔には、バランスよくパーツが配置されていて、お世辞ではなく美人な印象を受ける。
特に化粧をしているという様子はなくいつもどおりだ。
「わかんないの?!」
「んーとねー」
服装はいつも着ている質素な布のシャツに短パンというラフなスタイル。
スラリと伸びた長い足の先にはこれまた見慣れた木の靴を履いている。
(見た目の話じゃないのか……)
そう思いながら、視線をふとココの胸のあたりにやった。
(おや?)
シャツを柔らかく押しあげる膨らみの大きさが、以前に比べて明らかに増している。
僕は勝利を確信した。
「ココ、もしかして……」
「お! 気付いた?!」
「おっぱいおっきくなっ『――ガンッ』ぐっ……」
一瞬真っ赤になったココの顔が見えたような、見えなかったような……。
同じく赤く染まる雲の無い空が少しずつぼやけていった……。
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