表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造の女神と子供たち  作者: オクトパス
第1章 女神の天恵
18/23

第18話 シーフと水の玉


「ちょっとレント、じっとしてなさいよ」

「あぁ? なんでだよ」

「あんたがうろうろしたって早まったりしないから」

「何しようが俺の勝手だろ」


 なんでココは落ち着いてられるんだ。

 こっちは昨日からずっと気になって寝れてないんだぞ。

 もうソラの家に来てからずいぶん経つ。

 外はかなり明るくなったきたってのに、ソラは全然起きてこない。


「もういい加減にしてよ。見てるこっちがイライラするから」

「うるせーなー。イヤなら見なきゃいいだろこの怪力女」

「はぁ?! あんた今なんつったのよ!! この木偶の坊」

「なんだとこらぁ!!」


 ココが掴みかかろうとしたその時だ。


「はいはい、おしまい。うるさいよ朝っぱらから」


 声に振り向くと、そこには両耳を塞いで片方の眉を上げたソラがいた。


「「ソラ!!」」


 俺とココは駆け寄った。

 ソラは何事も無かったかのように一つあくびをしたあと、明るい表情で口を開いた。


「おはようレント、ココ。やっぱり来てくれてたんだね」

「や、やけにおちついてるじゃないか。もしかしてお前……」

「うん……。信じられないけど……。僕。ジョブもらえたみたい」

「え?! ホントに?? ホントなの?! ソラ!!」


 その場の空気が一気に沸き立った気がした。

 すぐ側にいるソラのお母さんも、戸惑った様子でソラの次の言葉を待っている。


「僕がもらったのは……レンズ。今日から僕は――『ガバッ!』」


 ソラがふざけてココの名台詞を真似ようとしたその時、ココがソラに飛びついて――ドタンッと押し倒していた。


「ソラ!! おめでとう!!」

「はは! やったよココ!!」


 二人は抱き合って転げまわりながら、賑やかに喜びを爆発させている。

 

 俺は興奮を抑えて、ジョブとアイテムの関係図を見た。

 ある。

 まちがいなくレンズは【シーフ】をあらわす天恵だ。 

 

 たった一人出ることだって珍しい冒険者の卵が、村から2人も誕生した。

 奇跡が奇跡を呼んでしまった。

 残るは俺ただひとり……。

 これからやるべきことは――『グイッ!!』


 ――ドタンッ


 腕をココに引っ張られ、俺も倒された。

 強制的にふたりの輪の中に入れられる。

 

「あんたなに難しい顔してんのよ! ソラをお祝いするのが先でしょ!」


 そうだな。

 まずはソラを祝ってやろう。

 俺は彼をもみくちゃにするところから始めることにした。



 ◆◇



 しばらく、3人でじゃれ合ったあと、ソラはソラの母さんにきちんと天恵の報告をしていた。

 祝福の言葉を告げながらも少し顔をしかめるおばさんの表情が印象的だった。

 ソラは作業場にいるソラの父さんのところへ行って、天恵の報告をするとの事だったので、俺とココは一度家に帰ってから待ち合わせをして学校に向かうことにした。

 

 ◆◇


「俺はいつでも心の準備できてるんだぜ」

「なによ急に。」


 学校への道中、前置きもなくココに話しかけてみた。 


「訊けよ。どんな心境? とか、何になりたい? とかあるだろいろいろ」

「そりゃあ無くは無いけど、あんたやっぱちょっと変わってるわね」

「なにが?」

「いやさ。もうちょっとナーバスになってもいいんじゃないの?」 

「あぁ。そんなもんは気合だ。気合」


 思い悩むにはもう遅い気がする。

 明後日にはどうやっても答えが出るからだ。

 天恵の前のふたりの様子が変に落ち着いていたのを思い出した。

 今初めて共感しているところだ。


「あぁそうですか。気合足んなくて悪かったですね」

「まぁでも、成れたんだからいいじゃねーか戦士に。で、どうなんだよ?」

「何が?」

「なんかこう、天恵前と後とじゃ何か感じ方が違う事とかあんのか?」

「結局あんたが訊くんじゃない。そりゃ全然違うわよ。体に魔力が蓄えられてるのが感覚的にわかるの」

「へー。やっぱ聞いてたとおりなんだな。なんか魔術使ってみた?」

「ううん。まだ。ホルダーは魔術の使い方が特殊だから生活魔法みたいに念じるだけじゃだめらしいのよ」

「知ってるよ。でも試してもないのか。やってみろよ、――えいって」

「きっと魔力がすこし放出されるだけよ? ――えいっ!」


 ――バシャン



 ……。



「え? 今なんか水の玉飛んでいかなかったか?」

「……と、飛んでったかしら? そ、そんなはずないわ。――えいっ……」


 ――バシャン


 ココの手の先から拳くらいの大きさの水の玉が出て、飛んで、落ちた。

 当の本人は唖然とした表情で自分の両手を交互に見ている。


「コ、ココ……。これたぶん大事件だぜ……」

 


投稿遅れてしまってすみませんでした!

次話は明日(2017/2/24)にアップできるように頑張ります。

ご愛読に感謝します(^^)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ