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創造の女神と子供たち  作者: オクトパス
第1章 女神の天恵
14/23

第14話 ココの家


 ココが目覚める少し前。

 ソラとレントはココの家の前にいた。

 ココの天恵がどうなったのか気になっている様子だ。


 ――カチャ


 玄関のドアが開き、中からティアがでてきた。


「ふふ。ココならまだ寝てるわ。さぁ入って。一緒に中で待ってましょう」

「うん」


 先日の言い合いの事を気にしているのか、レントの返事はない。

 ソラは「仕方ないなぁ」という顔で無理やりレントを引っ張って玄関をくぐった。


 ココの家は、村の他の家が木を中心に作られているのに対し、土を中心に作られている。

 ココの父オートンの出身地であるグリードの建築方法だ。

 内装においても都会育ちのオートンの趣味を感じさせるアイテムがそこここに見られ、洗練された印象を与えてくる。


 そのオートンは家の中にいる様子がない。

 外出しているようだ。


 キッチンへ向かうティアが二人にソファを差して座るように促した。

 二人は言われるままに腰をおろす。


「二人ともココのこと心配して来てくれたのね。ありがとう。おばさんうれしいわ」


 お茶の用意をするティアが背中越しに話しかけた。

 ソラが応える。


「うん。昨日はぜんぜん寝られなかったよ」

「そう。ふふ。おばさんも確かミレイの時はそうだった気がするわ」

「そうなんだ。母さん喜んだでしょ?」

「えぇ。逆に私の時はミレイが付きっ切りだったそうよ」

「はは、ほんと仲良かったんだね」


 二人がそんな他愛のないやり取りをしていると、ずっと黙っていたレントがもじもじしながら口を開いた。


「おばさん……。ココは……ココは昨日どんな感じだったの?」


 ずっと気になって仕方なかったのだろう。

 その表情は不安気でありながら真剣そのものだ。


 それを見たティアは一度目を伏せ、――そうね。と言ってにっこりと微笑んだ。


「ココが夕飯の片づけをしようと立ち上がったときに――。」


 ティアはとても丁寧にその時の様子を話した。

 そして二人ともが、目を輝かせながらその話を聞いた。


 ココの昨日の様子が分かってからは、レントも安心したようで、3人は談笑しながらその時を待った。


 ――キィ


 それぞれのお茶が空になり、ティアが二杯目の用意に立ったとき、今日の主役が三人のいるリビングに入ってきた。


「おはよう……。レントもソラも来てくれてたのね……」


 ココはうつむいたままそう言って、自身もソファへ腰かけた。

 自分自身を抱きしめるような恰好で下を向いている。

 そして微かに震え出した。


 重たい空気が部屋を包む


 レントとソラは静かに顔を見合わせた。

 お互いの表情を見つめ合っている。

 この状況が意味するところを確認し合うように。


 ――うん。

 と、うなずく動きを見せたレントがココがいる方に向き直った。


「ココ、気分はどうだ? どこか痛いところはないか?」


 レントがそう尋ねると、ココはうつむいたまま――フルフルッと首を横に振った。


「そうか、それならよかった。女神様はどうだった? やっぱり見た目とかは覚えてないか」


 レントがさらに尋ねると、ココは同じ体勢で――コクリと首を振って返事をした。

 もう一度レントとソラはお互いを見つめうなずき合った。


 意を決したように、レントはココへの距離を少し詰めて問いかける。


「ココ……、女神はお前に……何をくれたんだ?」


 ココの震えが止まる。


 レントは息を飲んだ。


「……ットよ……」


 くぐもった声。

 うまく聞き取れない。


「なに? なんだって?」


 レントが聞き返した瞬間ココが、勢い良く立ち上がった。

 そして声を張り上げる。


「だから!! ブレスレット!!」


 その目から涙が溢れている。


 ――。


 束の間の無音を切り裂いてレントが叫んだ。


「それほんとか!? ココ!!」


 レントは興奮した表情で立ち上がり自身のポケットからしゃくしゃの紙を取り出して広げた。

 横からソラもそれをのぞき込む――。


 レントが手にしているのは天恵について書かれた本の内容を控えた紙。

 女神が手渡すアイテムと受けられる能力の関係が書かれてある。


「――あった。 まちがいない!! 載ってるぞ!!」


 レントの手に力が入り、大きく震えている。


「ブレスレットってことは――!」


レント、ソラ、ココの3人は笑顔で顔を見合わせた。


「――そう!! 私は今日から戦士よ!!」


 ココはさらに大きな声で叫び、レントとソラに抱き着いた。


「信じられない!!」

「夢みたいだ!!」

「やったなココ!!」


 3人はそんな事を言いながら飛び跳ねて喜びを分かち合う。

 心から求めたものが手に入った喜びを。 

 

 そのとき、


 ――ガタンッ!!!


 大きな音がした。

 一瞬で歓声が止む。

 キッチンの椅子が倒れている。


 傍らには倒れたティアの姿があった。


「ママ!!」


 ココはティアに駆け寄り状態を抱き起こした。


「ママ! ママ! どうしたの!? 大丈夫?!」


 すると、目を丸くしたティアがこう言った。





「こ、腰が抜けちゃった……」



ココちゃんやりました!!

そりゃママもびっくりです!!


次話は明日(2017/2/18)投稿予定です!

お楽しみに!!


ご意見ご感想ぜひお聞かせください(^^)/

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