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創造の女神と子供たち  作者: オクトパス
第1章 女神の天恵
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第1話 浅い眠り


 初連載です!

 どうぞ暖かい気持ちでお読みくださいませ!



 どちらを向いても深い群青色の空間に、小さな光がたくさん散りばめられている。

 そのひとつひとつは、赤や黄色の様々な色で輝いていてとても綺麗だ。

 

 でも他には何も無い。

 僕はそんな夜空にも似た空間に――ふわりと浮かんでいる。


 頬を撫でるのは、冷たくて不思議な感触。

 流れる水のようでありながら、そよぐ風のようにも感じる。

 

 ふと自分が移動し始めたことに気付く。

 どこかを目指すように、ゆっくりと、まっすぐに。

 意図的ではない分「移動」と言うよりは「運ばれている」に近いが。

 

 この状況に僕は恐怖も不安も感じていない。

 それはこれが初めての経験ではないからだ。

 もうすぐ終わることもなんとなく知っている。


「見えてきた……」


 進む先に光が見えた。

 何度も見たこの夢の終わりはいつもこうだ。

 近づくにつれて大きく膨らんでいく暖かい光に僕は吸い込まれていった……。



「……」



「……たの?」

「う……ん?」

「ねぇ、何が見えてきたの? ソラ」


 薄く目を開けると誰かがこちらを覗き込んでいるのが見える。

 鼻筋のスッと通った大人っぽい顔の女の子が悪戯な笑みを浮かべている。


 ココだ。


「あのさーココ。寝言に話しかけると夢から戻って来れなくなるらしいからやめてくんない?」

「だって起こしても全然起きないんだもん。いいでしょ戻ってこれたんだから。」

「まーそうだけど……」


 軽口を叩きながら上体を起こし辺りを見渡すと、だだっ広い見慣れた景色の向こうに見える地平線に夕日が沈みかけていた。


「もう夕方かぁ……」

 

 今日は昼に学校が終わってすぐにココとレントと僕の幼馴染3人で魚釣りに出かけた。

 場所は村の西側にあるカエル池。

 到着したときは、まだ太陽が高い位置にあったので、ずいぶん長くここにいたことになる。

 

 釣果はゼロ。

 全く釣れる様子はなかった。

 ふてくされて、釣竿を適当に立てかけて横になったところまでは覚えているのだが、どうやらそのまま眠ってしまったらしい。


「そうだよ。やっぱり全然釣れなかったね。こっちの池だとやっぱ難しいね」


 ココはそう言って池の方に振り返った。

 村の東側、離れたところにあるミドリ池なら魚がたくさんいて、釣りにはもってこいなのだが、位置が悪い。

 森の近くは凶暴な魔物が出ることがあるので子供たちだけで行くことは禁止されている。


 今日はどうしても釣りがしたいと言うレントに付き合ったのだが、やはり失敗だった。

 幼い頃にはまだある程度アタリのある釣り場だったが最近は――。


「さ! もうすぐ暗くなるから早く帰ろ!」


 ココはそう言いながら僕の腕をつかむとグイッと引き上げた。


「うわっ!」


 僕はその場に立たされる。

 ココは線の細い体なのにも関わらず腕っ節が強い。


「相変わらずの怪力だね」


と、皮肉を口にすると、


「ぶっ殺すよソラ♪」


 と、物騒なことを言いながら僕に向かって微笑んだ。

 目は笑っていない。

 僕はおずおずと目を逸らしながら立てかけた釣竿に手を伸ばした。


「あ!!」


 エサが針ごと持っていかれていた。





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