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第四話「すみません風邪ひきました」

「佐藤さんがお休みですって?」

「え、そうなん!?」

「うん。だからできるだけ名前呼びあってね。あと基奈、シュガーが休みってメールしたはずだけど」

「朝はケータイ見らんねん」

「そこは見ようよ」


「何で名前呼ばなきゃいけないの、アオちゃん!」

「記録のため。この機械、あいつしか地の文操作できないもん。何が何やら」

「それ、さいたまでは新田さんが操作していませんでしたか?」

「そうだけど、ここ来たときに交代したの。メーカー違うから操作わかんない」


「今までの会話記録してたんだ」

「そうだよ。一応、形だけでも活動記録を報告しなきゃだから」

「へえ」

「今喋ってんのが葉月と私ね」

「私と葵ね」

「やっぱ地の文使わないとわかりにくいかな?」

「無理に動かすと壊すよ」

「葉月がそう言うならやめとこ」


「鏡子も何か喋らへん?」

「私……何も話題ない……」

「いや、何か喋らないと今日の分の尺足りないんだけど。これでも芸能人とテレビクルーだからね、私たち」

「ところで私と葵の喋り方同じだから文字にしたらわかりにくいよね」

「じゃ、話す前に名乗ろう」


「こちら燈梨! バッグに今朝買ったロールケーキ発見!」

「こちら葉月。食べる気満々」

「あんたらトランシーバーか!」

「ちゃんと名乗りましょう、基奈」

「ノリ悪いよ……」

「鏡子には言われたぁないわ!」

「いいよー尺伸びてるよー。早く終わらせてスイッチ切ろー」


「つかぬ事を聞きますが、葉月は誰か好きな人とかいますか?」

「葵、袖にクリーム付いとるで」

「いるよ」

「えっどこ?」

「あら。ずいぶんさらっとカミングアウトしましたね」

「拭いてあげるよ!」

「意外と大胆……」

「燈梨ありがと。今更だけどさ、これ編集もあいつがやってんだよね。同時に別の会話すんのやめようか。あと葉月は後で詳しく聞かせて」


「ロールケーキ完売!」

「美味やった」

「ところで、鏡子は来週誕生日なんだっけ?」

「はい……。26になります……」

「おっと公表していくスタイル。私の2つ年下なんだ」

「鏡子もだけどさ、moonの平均年齢高めだよね」

「ですね。結成してもう5年でしたっけ?」

「6年……」

「うちが入ったんは3年くらい前やったっけ?」


「ってか基奈だけ歳離れてるよね」

「まだ21やからね。7月に22になるで」

「うわー。羨ましい」

「最高齢は今年28歳になる私と葉月ですね」

「燈梨は25だよ!」

「ところでこの会話、佐藤さんが後で聞かれるんですよね」


「なかったことにしよう!」

「無理でしょ……」

「これいつまで録音すんの?」

「もうそろそろいいかな。あ、そうだ。最後に発表しなきゃいけないことがあるんだ」

「何ですか?」

「再来週、テレビ出るよ」


「それ最初に言うてよ!」

「え、本当なの!?」

「うん。シュガーから『言え』ってメール来た。ユナイテッドテレビの『経済最前線』って番組でアイドル特集やるんだって」

「へえ……」

「わかりました」


「さて、この辺でスイッチ切ろうか」

「葉月は例の話聞かせてね……」

「ナンノハナシダッタッケ?」

「白々しすぎやろ」

「録音消さないようにね!」

「大丈夫大丈夫。ボタン押すだけだから。えいっ」

「止まりました?」

「違った。こっちだ」

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