狭間
更新が随分遅くなりました。申し訳ありません。葉月と優奈の関係はこれから少しずつ変わって行くだろうと思います。
匠の話を聞いた葉月は 暫く眠れ無い夜を過ごした。
何を考えていても、優奈のことを考えてしまう。唯一授業をしている時だけは、彼女のことが頭から離れていた。自分に向かってくる真剣な80もの瞳に 自分自身の悩みなどで応えないわけにはいけない。
「葛先生? 大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ? 」
優奈が 心配そうに葉月の顔を覗き込んだ。
あれから、一週間殆ど熟睡できていない。酒の力を借りても 神経が高ぶって熟睡できずに居た。
口元に力の無い笑みを浮かべ、「大丈夫ですよ。ちょっと風邪気味なんでしょうか? 心配掛けてすみません。」
そう言った葉月の言葉に被さるように、チャイムが鳴ってしまった。
各々の教師が、席を離れていく。葉月も机に手を置いて立ち上がった。
――今日の授業はこれで終わりだ――
不意に周りの景色がゆらゆらと歪んで見える。
「葉月さん!」
優奈の声が遠い所から聞こえてきた。
ガチャン
葉月は机の角に頭をぶつけて倒れてしまった。
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耳に心地好いアルトの声
葉月が目を覚ますと そこには涙を堪えた優奈の心配そうな顔があった。
周りの景色には見覚えはない。 白い壁に囲まれた無機質な部屋。
混濁していた意識がハッキリとしてきた葉月は、ベットの上で起き上がろうとした。
―くらっ―
急に頭を上げた為、目眩が襲う。頭に手をやると掌に布の感触があった。
包帯?
「駄目です。急に起き上がっちゃ! 頭を三針縫ったんですよ。今日一日は安静だと先生に言われていますから。」優奈が泣きそうな顔をして怒っていた。
「済みません。僕 どうしたんですか?どうして頭を傷つけたんでしょう?」いつもと違う優奈の剣幕に戸惑いながらも 涙を溜めた彼女の瞳に見いられていた。
「葉月さんは6限目の始まる直前に職員室で倒れたんですよ?その時、頭を打ったから結構出血してしまったんです。 頭を打っているから救急車を呼んだ方が良いと、保険医の櫻井先生がおっしゃって下さって。」
優奈の話では、葉月は机の角で頭を打ったため出血が酷く傷口が開いていたらしい・・・
「お医者様が、大事を取って今夜は入院してくださいって言っていました。明日もう一度CTを取るそうです。」
「ご迷惑をおかけして、すみません。僕はもう大丈夫ですから、先生は・・・」
(帰ってください)と言いそうになった。急かしていると取られるんじゃないだろうか?
でも、これ以上迷惑を掛けるのも・・・どうしよう・・・
「葉月さん?気分が悪いんじゃないですか?」黙ってしまった俺を彼女が心配してしまった。
「いいえ。大丈夫です。」
「そうですか?じゃあ、何か飲み物を買ってきますね?」
そう言って、優奈は自分の鞄をもって病室を出て行った。
白い無機質な部屋にとり残された葉月は、大きくため息を吐いて眼を閉じた。
優奈が
更新は、これからもマイペースで進めて行くつもりです。此れからも応援してくださいね。