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理想のヒモ生活  作者: 渡辺 恒彦
二年目
54/101

幕間2【王子と王女】

 幕間2


 カープァ王国は、ランドリオン大陸――通称南大陸の西岸部に覇を唱える、王国である。


 その立地条件から、大きく分けて王国西部は『海路』、東部は『陸路』が人・物の流通を担っている。


 無論、それは大ざっぱな分け方に過ぎず、西部地方にも十分な街道は敷かれているし、東部地方にも、河川を利用した水運は存在する。


 だが、全体的な傾向を比べれば、王国東部の街道は、王国西部のそれと比べて、より多くの金と手が掛けられていることは間違いない。


 そんな南大陸諸国の中でも上位に位置するレベルに整えられた、カープァ王国東部国境周辺の街道を、八頭引きの巨大な竜車を中心とした物々しい一行が、ゆっくりと東に向かって進んでいた。





  


 シャロワ=ジルベール双王国が誇る二人の若き王族。フランチェスコ王子とボナ王女を護衛する、シャロワ・ジルベール王国軍総勢三百は、街道脇の草原で、一時的にその足を止めていた。


 そこから少し離れた所に大きめの小川が流れていることから解るとおり、この辺りは意図的に作られた休憩場所である。


 多少遠回りをすることになっても、こうやって水場を確保しながら移動しなければ、走竜達の飲み水が足らなくなる。そのため、人里を離れた道は、意図的に蛇行させてでも、途中途中に水場と隣接するように引かれているのだ。


 竜車を引いていた走竜達も、今は竜車から解き放たれ、騎士達の騎竜と首を並べ、川縁で一心不乱に水を飲んでいる。


 その間騎士達は、周囲の警戒に当たる。川の中には、淡水性の水竜やワニ、肉食魚などが潜んでいる危険があるし、野生の肉食竜が狩猟場としてる可能性も高い。


 とはいえ、この辺りは見渡す限り草原が続いているため物影も少なく、小川の水も澄んでいるので水中の敵も発見が容易い。見張りに立つ騎士達も、それなりにリラックスした立ち姿で、水を飲む自らの騎竜の身体や首筋をなでさすり、道中の労苦を労っている。


 適度の緊張感を維持した、リラックスした空気。


 八頭引きの巨大竜車の扉が開き、一人の人影が姿を現したのはそんなときだった。


「ふう……皆、ご苦労様。あはは、すっかり肩が固まっているよ」


 竜車から降りてきた若い男は、その身分には少々不釣り合いな、軽い口調でそうこぼすと、その言葉が事実であると証明するかのように、コキコキと肩を回す。


「ご不自由をおかけします、フランチェスコ殿下。竜達に水を飲ませるため、しばしの間こちらに停泊いたしますので、今のうちに外で身体をほぐしておいて下さい」


「ああ、分かったよ。移動のスケジュールは君に一任している。適当にやってくれたまえ」


 護衛部隊の指揮官である中年の騎士の言葉に、その金髪碧眼の若い男――シャロワ王家第一王子が長男フランチェスコは、爽やかな笑顔でそう答える。


 その動きも、言葉も、王族としての気品を失ってはいないのだが、どこか『軽い』印象がぬぐえない。実際、次期国王の第一男子という、国でも指折りの高位王族を前にしても、周囲の騎士達に異常な緊張が走っていないのは、間違いなくフランチェスコ王子の人柄故だろう。


 端正な細面の顔に、いつも人なつっこい笑みを浮かべているため、実年齢以上に幼く見える。


 しかし、周囲を遠巻きにして護衛している騎士達の存在を、『当たり前』のこととして受け止めているあたりは、流石に生まれついての王族というべきか。


 数多くの騎士達に見守られながら、フランチェスコ王子は極めてリラックスした面持ちで軽く歩き回り、長時間の竜車移動で強張った身体をほぐす。


「フランチェスコ殿下」


 そんな王子の背中に突如かけられたのは、若い女の声だった。

 

 振り返ったフランチェスコ王子は、そこに見知った少女の姿を見つけ、笑みを深めて言葉を投げかける。


「やあ、ボナ。君も竜車から降りたんだね。うん、それが良いよ。大陸西部は、中央部に比べて湿度が高い分蒸し蒸しするけれど、水辺近くはやっぱり涼しいからね。ほら、良い風が吹いているよ」


「あ、はい、お気づかいありがとうございます、殿下」


 フランチェスコ王子の言葉に、若い女――ボナ王女は、少し虚を突かれたようにこくりと頷いた。


 ボナ王女。彼女もフランチェスコ王子と同じ、シャロワ王家の人間である。


 もっとも、現国王の嫡孫であるフランチェスコ王子と、隔世遺伝的に『付与魔法』に目覚めたせいで王族に組み込まれただけの下級貴族出身のボナ王女を、『同じ王族』というのは少々乱暴だ。


 げんに、ボナ王女のフランチェスコ王子に対する言動は、王族同士というより、貴族が王族にお伺いを立てるときのそれに近い。


 その権威の違いはあらゆるすべてに現れており、フランチェスコ王子の竜車が8頭引きの巨大な物であるのに対し、ボナ王女のそれは6頭引きの一回り小さな物である。


 とはいえ、明確な差があるとは言っても、王族であることに間違いはない。


 だからこの場合、「それ」を指摘するのは、ほかでもないボナ王女の役割だった。


「フランチェスコ殿下。失礼ですが、お召し物はご自分で着られたのですか?」


 ちょっと聞いただけでも分かる含みのあるボナ王女の言葉に、フランチェスコ王子は全く気付くそぶりもなく、朗らかに答える。


「ああ、よく分かったね。なにせ、ここは王宮と違って侍女たちの数も少ないからね。彼女たちに過剰な負担をかけないように、できることは自分でやるようにしているんだ」


「気が利くだろう、僕って。さあ、褒めてくれてもいいんだよ?」そんな言葉が聞こえてきそうなくらいに、王子は胸を張ってそう言い切る。


 その表情を見ていると、ボナ王女はなんだかすごい罪悪感を感じてしまう。だが、言わないわけにはいかない。この場にいる人間で、フランチェスコ王子への直言が問題とならない立場の人間は自分しかいないのだ。


 ボナ王女は、コホンと一つわざとらしい咳をすると、


「殿下。靴下が左右別々です」


 と、できるだけ端的に事実を告げた。


「えっ? あ、本当だ」


 驚いたフランチェスコ王子が自分の足下を見ると、確かにボナ王女の指摘の通りである。右足には赤い靴下、左足には蒼い靴下と互い違いの靴下をはいているではないか。


「あはは、これは参った。教えてくれてありがとう、ボナ。おかげで恥をさらさなくてすんだよ」


 フランチェスコ王子は、笑顔でそういった。


「恐縮です。差し出がましいことを言うようですが、竜車に戻って靴下を履き替えてきた方がよろしいかと」


 そう言葉を返しつつ、内心でボナ王女は安堵する。


(うん、やっぱりこの方は、こちらの言うことを『聞く耳』は持ってらっしゃるのよね)


 例え本人のことを思っての正しい指摘でも、「恥をかかされた」ととらえ、機嫌を悪くする人間もいる。フランチェスコ王子がそのような狭量さとは無縁な人間であることは、周囲の人間にとっては幸いであった。しかし、フランチェスコ王子の問題点は、もっと別なところになる。


「うん? しかし、僕が今赤い靴下と青い靴下を片方ずつはいていると言うことは、竜車にも片っ方ずつ残っているのだろう? 戻って履き替えたら今度は、右足が青い靴下、左足が赤い靴下になってしまうんじゃないかな?」


(問題は……こちらの言うことを『理解する頭』が少々足りていない事かしら)


 ボナ王女は、8歳ほど年上の王子様の発言に、こめかみのあたりに鈍痛を感じずにいられない。


 ボナ王女は王宮でフランチェスコ王子の父である現第一王子と、祖父に当たる現王に、言われた言葉を思い出す。


「息子(孫)を頼む」というその言葉の意味が、そのままずばり「子守」を意味するとは思わなかった。


 これは、シャロワ王家が行う数百年ぶりの国外訪問である。しかも、訪問先は大国『シャロワ・ジルベール双王国』といえども、正面から組み合うことは避けたい西の雄、カープァ王国だ。


 その大事な使者に、王族としては末席中の末席である自分と、この頭蓋骨の中身に不自由している王子様とは、シャロワ王家は何を考えているのだろうか?


(陛下も、第一王子殿下も聡明な方ですもの。フランチェスコ殿下でなければならない、なにか確たる理由があるのでしょうけれど……)


 できれば、その理由くらいは教えて欲しかった、というのは末端王族ごときには過ぎた望みだろうか。


 こうなることが分かっていたら、今回の派遣に立候補など……


(……いや、迷いに迷ったあげく、最後は立候補した、でしょうね)


 自分に嘘がつけないボナ王女は、そう結論づける。


 ジルベール法王家のイザベッラ王女が持ち帰った、金剛石の指輪。あれを目にしたときから、ボナ王女の運命は決まっていたのかもしれない。


 大きさから形まで完全にそろえられた三連の金剛石と、目がくらみそうなくらいに細かく精密な線が彫り込まれた台座。


 それは、宝飾人として人生を歩もうとしている人間を、魅了するに十分な代物であった。


 元々、王位継承権が下位のシャロワ王家の人間は、魔道具制作者として自立するため、宝飾や武具の作製に手を染める人間が多い。ボナ王女もその多分に漏れず、この若さですでに一人前と認められている宝飾職人である。


(結局、私はあの指輪の魔道具化には携わることができなかった。でも、カープァ王国に行ってアウラ陛下やその夫となられた方とお近づきになれれば……)


 そんな野心と言うには少々かわいげがありすぎる下心をもって、今回の派遣に立候補したボナ王女である。


 ともあれ、現国王と次期国王にそろって「くれぐれも頼む」と言われてしまった以上、下っ端王族であるボナ王女には、意に沿うよう全力を尽くす以外の選択肢が残されていない。


「殿下。両方を履き替える必要はございません。どちらか片方だけを履き替えれば、左右の色がそろいます」


「ああ、なるほど! 発想の転換という奴だね。すごいね、ボナ。頭が柔軟だ」


「……恐縮です」


 年若い王女は、頭部を襲う幻痛と戦いながら、早速自分の選択を後悔し始めていた。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆







 数日後。


 王宮の執務室で雑多な書類に目を通していたアウラの元に、東の国境砦から小飛竜便が届いたのは、日が少し陰りだした頃だった。


「……そうか。とうとう着いたか」




 シャロワ・ジルベール双王国使節団、東の国境砦に到着。使節団の代表はフランチェスコ王子と、ボナ王女。


 砦で数日の休養を取った後、出立の予定。なお砦からは護衛として騎兵千が同行。





 簡潔に書かれている内容に目を通したアウラは、一つため息をつく。


 随分前から分かっていたことだし、デメリットばかりの話ではないことも理解はしているのだが、事の重大さとそれにまつわる面倒ごとが予想できるアウラとしては、ため息の一つもつきたくなる。


 それでも、ため息ばかりついていられないのが、一国の指導者というものだ。


「ファビオ。受け入れの準備は?」


 椅子に腰掛け、視線は机の上の書類に落としたまま、アウラは自分の斜め後ろに控える秘書官に声をかける。


「はっ、すでに滞りなく。王宮南の三棟を空けて、人員もご指示通りにそろえてございます」


 細面の中年男――ファビオ秘書官は、相変わらず平坦な声で、そう答えた。


「三棟? それで足りるのか? 大国の王族が二人だぞ?」


 ピクリと片眉を跳ね上げ、首だけを斜め後ろに向けるアウラにファビオ秘書官は淡々と答える。


「はい。当初予定してたよりも、あちらの随伴人数は少ないようですので、それで十分かと。一の棟と二の棟は、三の棟を経由しなければ出入りすることができない構造になっておりますので、一の棟をフランチェスコ王子、二の棟をボナ王女、三の棟を護衛の騎士達の宿舎とすれば、先方からもそう大きな文句は出ないでしょう」


「ふむ……」


 少し、細部まで詰めて確認する必要性を感じたアウラは、手招きで自分の横に来るように指示すると、質問を投げかける。


「武装はどうする? 双王国、それもシャロワ王家直属の騎士となると、全員戦闘用の『魔道具』持ちの可能性があるぞ」


「まず間違いなく、そうでしょうな。さすがに王宮内で無制限の戦闘用魔道具の所持は認められません。しかし、彼らは少ない人員で二人の王族を護衛しなければならない。魔道具を渡せと言っても、納得はしないでしょうな」


「双王国施設に貸し与える南の三棟は『治外法権』として、すべての武装を許可する。そこから外に出るとき所持してよいのは、こちらが性能を確かめて許可を出した防御系の魔道具のみ、ということにするか」


 アウラの提案に、秘書官は確認するように声を上げる。


「魔道具ではない一般の武具は、王宮内でも制限をつけないということですかな?」


「全く無制限とはいかぬが、ある程度の武装は認めざるを得まい」


「国内の貴族が反発の声をあげると、予想されますが」


「仕方があるまい。直系王族の護衛を丸腰で務めよ、とは言えぬよ」


 答えたアウラは、もう一度深くため息をついた。


 武装した他国の人間を、限定的にでも王宮内に迎え入れる。全くもって歓迎できない事態ではあるが、将来のことを考えれば断ることも難しい。


 近い将来、善治郎は『瞬間移動』の魔法を覚えて、双王国の王宮に行きたいと言っているのだ。ここで、フランチェスコ王子とボナ王女の護衛に非武装を強要した場合、向こうに行った善治郎の護衛にも、同じ事を求められる危険性が生じる。


 とはいえ、向こうの都合でやってくる「まねかれざる客」に何から何までこちらが譲るのも、国のメンツが立たない。


「むう……」


 スリットの入った赤いロングドレスの下で足を組み、思案するアウラの表情から、つきあいの長い秘書官はその思考を読み取ったのか、


「ならば、武器、魔道具の持ち込みに対して、一点いくらの持ち込み料でも請求しましょうか? 金銭で解決できるのであれば、先方も否とは言わないでしょう」


 そう、提案してくる。


 だが、女王は秘書官の提案に眉間のしわを深めて首を横に振る。


「正直ちょっと惹かれるが、だめだ。王宮への武器の持ち込みが、金銭で解決するという前例を作るわけにはいかん」


「となりますと、やはり何らかの『魔道具』を都合してもらうことにしますか。それならば、双王国の王族以外には支払うことのできない対価ですので、悪しき『前例』にはなりづらいでしょう」


「……やはり、そのあたりか。となると、なんの魔道具の作製を要求するか、思案のしどころだな」


「分かっているでしょうか、時空魔法の魔道具は、益も大きいですが、今後の危険も大きいですぞ」


 本来カープァ王家の人間にしか使えない『時空魔法』を魔道具化するということは、その魔法をカープァ王家の人間以外でも再現できるようになると言うことである。現在、時空魔法の使い手が王であるアウラ本人しか存在していないカープァ王国にとって、時空魔法の魔道具は大きな力となるだろうが、魔道具という形にすれば、将来的にはそれが他国の手に渡る可能性が出てくることも意味する。


「『瞬間移動』は論外だし、それ以外の時空魔法も魔道具化するのであれば、『使い捨て』型にするのは、絶対条件だな……」


 いつの間にか、思考が捕らぬ狸の皮算用になりかけている事に気付いたアウラは、コホンと一つ咳払いをすると、話を元に戻す。


「まあ、いずれにせよ、細かな部分は先方がこちらについてからの話だ。では、住居と武装についてはそれでよいとして、人員は足りているのだろうな?」


 アウラの話の転換はかなり急激なものであったが、それに慣れている秘書官は全く言いよどむことなく、言葉を返す。


「はい。陛下のご指示通り、下級貴族や平民の富貴層出身の若い侍女達を中心に、他国の王族の前に出しても恥ずかしくないだけの能力と器量を持っている者をリストアップしてあります」


 あえて身分の低い侍女でそろえたのは、双王国に対する気遣いである。フランチェスコ王子も、ボナ王女もまず間違いなく双王国から最低限の人員を引き連れてくるはず。カープァ王国から貸し出す人員というのは、その補助に過ぎない。それなのに、補助の人員が連れてきた双王国の侍女達より、身分が高かったり、極端に年が上だったりしたら、仕事を命じづらくなってしまう。


「よし。それで、引き抜かれて業務が滞る部署はないだろうな?」


「大丈夫です。基本的に王宮の人員は、ある程度余裕を持った人数で回しておりますし、万が一のために引退した侍女達にも『一時復帰』の打診してありますので」


「よし、ならばよい」


 一通り、聞きたいことを聞き終えたのか。アウラは小さくうなずいた。


 事前準備に大きな問題はなさそうだ。いざ事が始まってみれば、あちこちに予想外の不備が見つかるのかもしれないが、これ以上細部について煮詰めるのは現場の仕事であり、一国の王が直接指示を出すスケールの問題ではない。


 秘書官の返答に満足した女王に、今度は秘書官が問いを投げかける。


「して、後宮のゼンジロウ様はいかがされておりますかな? 少なくとも、歓迎式典には、ゼンジロウ様にも出席していただかないわけにはいかないのですが」


 現在善治郎は、後宮で礼法の勉強の真っ最だ。


 この一年で国内貴族に対する物言いはある程度身につけた善治郎であるが、自分とほぼ同格な他国の王族と相対する礼法については、後回しになっていた。無論、双王国の外交官から、シャロワ王家の王族が来訪するという非公式情報を伝えられたときから、対王族用の礼法を学び始めていた善治郎であるが、まだまだ完全に身についたとは言いがたい状態である。


 またしても付け焼き刃の婿殿を、本番に叩き込まなければならないアウラは、胸の奥をチクリと刺す罪悪感を押さえ込み、似合わない平坦な声で言葉を返す。


「オクタビア夫人が言うのは、「不測の事態」が起こらない限りは、無難にくぐり抜けられるくらいには、身についているそうだ」


 いまいち歯切れの悪いアウラの返答に、中年の秘書官は案の定、小さく口元をゆがめた。


「ほう、なるほど。『不測の事態』が起こらない限りは、問題ない。ですか」


「……言うな、ファビオ」


 たしなめるアウラであったが、その言葉にも今一迫力がない。当然と言えば当然だ。


 数百年の沈黙を破り、他国を訪問するシャロワ王家の王族。


 その目的と見なされるのは、善治郎の私物であるビー玉か、善治郎の血筋そのもの。


 そして、やってくる王族というのは、現国王の嫡孫という最高の血統を持ちながら、二十歳を超えてもまだ王位継承権を与えられていないという、明らかになにか問題を抱えた人物。


 これだけ、条件がそろって『不測の事態』が何も起こらないなど、アウラ自身、全く考えてもいなかった。

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