1話 詰んだ
2023/10/08
初投稿、初連載開始しました
拙い話で読みにくいかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします
※初日から3日間は、朝夕6時で2話ずつアップの予定です※
正直に言おう
『詰んだ』
しかも初手で…
転生or転移モノで『風水士〈Geomancer〉』の職業に就く人が殆どいないのか?
きちんと考えれば思いつく事だったのだ
それは…
「風水士とはパーティ組みたくない、かぁ…」
そう、そうなのである
『風水士〈Geomancer〉』は『所謂冒険者』にとってパーティを一番組みたくない職業だったのだ
よくよく考えれば当たり前である
『風水士と言えば?』のスキルである【ちけい〈Geomancy〉】はMP…この世界でもMPはそのままMPで良いそうだが、そのMPを消費する事は無い
尚且つ、無駄に長い詠唱なども一切必要は無い
その為に所謂『魔法〈Magic〉』よりも素早く使うことが出来る利点はある
あるのではあるが…その効果に至っては場所の特性はあるものの、全てにおいて『ランダム』なのである
『ランダム』と言えばほんの少しカッコよくも聞こえるが、有り体に言えば『なにが起こるかわからない』スキルな訳で…
燃やすかもしれないし
斬るかもしれないし
撃ち抜くかもしれないし
拘束するかもしれないし
眠らせるかもしれないし
惑わせるかもしれないし…etc.
そんな状況に付き合いたいなんて変わり者は、学者や研究者かマニアみたいな物好きだけであろう
つまり…
「これは終わったなぁ…」
という訳である
「はぁ…どうするかなぁ…」
やはり当然のように美人であったギルドのお姉さんの話しによれば…っと
その前にそこで知り得たこの世界のギルドについて先に説明しておこう
先程、『所謂冒険者』という含みのある言い回しをしたが、これには訳がある
この世界では『所謂冒険者』を『チェラー〈Cheller〉』と言うらしい
これを聞いて大抵の人間は、なんだそれは?と思うだろう
当然ながらこう書いている自分自身でも思ったが、内状はとても簡単な話だった
『Collect(採取)』
『Hunt(狩猟)』
『Explorer(探索者)』
『Laborer(肉体労働者)』
この頭文字を取って『C・h・e・l』そこに『ler』を最後につけて『チェラー〈Cheller〉』
『所謂冒険者』なのだろうが、個人的には派遣会社を思い出すのは転生者だからであろうか?
探索者も『Seeker』ではなく『Explorer』なのかとも思ったが、単純に語呂合わせの為かもしれないし、この世界ではそう言うのだと思って納得した
それと『チェラー〈Cheller〉』という名称に関してなのだが…
これが与えられた『言語翻訳能力』のお陰か
はたまたこの世界でも英語に似た公用語があるからか
この辺りは深く調べられなかったので、定かではないのは許していただきたい
ちなみに『言語翻訳能力』は【Translate〈翻訳置換〉】というスキルだった
お決まりのごとく読むことも書くことも問題ないらしい
勿論【Translate〈翻訳置換〉】以外にも所謂『異世界転移転生パック』的なスキルは与えて貰った
【Index〈索引目録〉】という鑑定能力
RPG的なタグがでてきて内容が表示されるタイプ
【Prevention〈疾患予防〉】という健康を維持しつつ病気になるのを予防してくれるスキル
疲労回復力の増加や対毒効果などもあるらしい
【Storage〈次元格納〉】という異空間倉庫能力
時間も止まっているタイプらしいのだが、生きたまま自分や生き物が入れるかは試していないし調べてない
とりあえず転生時から着ている一張羅のベルトに付属していたウエストポーチから、同じく受け渡された『当面の生活費』は取り出す振りはできた
容量がどのくらいなのかは調べてないので不明ではあるが、差し当たって問題はないだろう
できれば『所謂生活魔法』にあたるスキルも欲しかったのだが…特に『クリーン』にあたるヤツが…
然しながら、『風水士〈Geomancer〉』として大成するのであれば『魔法〈Magic〉』は使わない方が良いとの事だったので泣く泣く諦めた
諦めたんだけど…こう詰んでしまうと、貰っておけばよかったなぁと思ってしまうのは人の性だろうか?
あとは…あぁ、お決まりのごとく肉体は若返っていた
『肉体年齢は18歳相当』らしい
ここでらしいというのも勿体ぶった言い方ではあるのだが…
年齢表記自体は『インデックスさん』によると37歳のままだと書かれていたからである
まぁ転移なのだからそういうものなのかもしれないが、ギルド登録時等に支障は出ないかは些か不安である
ちなみに、どうして転移したかは一切の記憶が無い
前世ではもう亡くなったのか
次元の狭間に落ちたのか
怪しげなサイトにログインして呼び出されたのか
全く定かでは無い
定かではないのだが、正直それについてはどうでもいいと思っている
いつの間にか怪し気な真っ白い空間で目が覚め
AI的なモノに事務的に処理され
異世界に降り立ったという記憶しか無い
だがそれで良いと思っている
なんにしても、もう異世界にいるのだから考えるべきはこれからの生活である
自ら選んだ『風水士〈Geomancer〉』としては詰んだとしても、生きる為には稼がねばならないのだ
まずはそれが先決である
そんな訳で、当然のように美人であったギルドのお姉さんの話に戻る
お姉さんが言う方法は二つあった
1つは当たり前だがソロ
そしてもう1つは農業である
ソロはともかくもう一方は生産者になるのだが、これを奨める理由が『風水士〈Geomancer〉』のスキルにはあるらしい
まだレベル帯は1ではあるのだが、『風水士〈Geomancer〉』には【ちけい〈Geomancy〉】以外にもう一つスキルがある
それが【地形効果〈geo effect〉】というスキル
このスキル、内情は二つのスキルの複合モノって話だ
片方は【地形適応〈geo adaptation〉】
使い手が得意な地形において運動能力が全体的に上昇し、それに伴って攻撃力や防御力も上がる訳だけど、逆に苦手な地形の場合は下降するってスキル
要はスパRボのまんまだな、って思ったのは言うまでもない
そしてもう片方が【地形状態認識〈geo condition recognition〉】
【Index〈索引目録〉】とは別で感覚的で、自分にとって良い地形が分かるらしい
そしてそれを頼りに農業でもすればって事らしいのだが…
「感覚、ねぇ…?」
という訳で、実は今ギルドに登録もせずに街を飛び出して外に出して来たのであるが…
「全くわからん!」
さっぱりである
「はぁ…これまた詰んだのかなぁ?」
本当に散々な出だしになった気がする
最後までお読みいただきありがとうございました
夕方18時投稿予定の次話もお読みいただけると幸いです