94話 出航
ガチャガチャ
デ・エトラーデ船団個室に戻った一同
「私達は何もしなくていいのでしょうか?」
不安そうなヒヨル
目の前ではジェルダンが荷物を詰めている
「あぁそこで待っていてくれ」
「今準備するから」
「よし行こうか」
ジェルダンは大きなバッグを背負っている
他の船員は丸腰
「ジェルダンさんは何持っているんですか?」
ヒヨルの疑問
「あぁこれか」
ドサ中央のテーブルにバッグを置き開く
ヒヨルとリリアは中を覗く
ピカァ
「おぉ!」
中には煌めく金銀財宝の山
「すごい……きれい」
「これは私のお気に入りの戦果達だよ」
「へぇ……何に使うんですか?」
ふふふ
笑うジェルダン
「船上で眺めるためさ」
「はぁ………」
「じゃあ行こうか!!」
ジェルダンは意気揚々と先頭を歩く
「どこにですか?」
「そりゃ」
「私達の相棒にだよ!」
酒場を出て停泊場へ進む
大きく入り組む建物の向こうに見える大穴
そこからは外がむき出しになっており空と海とそこにとまる海賊船が停泊している
停泊場0番地
人混み溢れる停泊場
ジェス港と違い人相の悪い奴らが笑みを浮かべ跋扈している
「なんか怖いですねここ」
ヒヨルは周りをキョロキョロしながら歩く
「心配すんなよ」
悠々と歩く船医ディクス
「ここエピックダウンでは海賊行為禁止……というか同業者から一生はぐれものの烙印を押されるし俺たちもそう認識する」
「だからここでは理由なき戦闘は起きないから安心しな」
「はぁ……」
「お前らは荷物担がないのか?」
イルマは丸腰の船員を見る
「イルマ……私に興味あるの?」
意味ありげに近寄る航海士メグリ
「……お前に聞いてない」
「私達の荷物はもう船に乗せてあるからいいんだよ」
イルマの言葉を無視するメグリ
(僕こいつ苦手だな……)
先頭で喋るエリックとジェルダン
「情報が少ないとは珍しいねエリック」
はぁ
エリックは頭をかく
「そうなんだよ悪りぃな無理言って」
「何言ってんだよ」
「未知こそ吉、知らないことは喜ぶべき」
「そう言ったのじゃお前だろ?エリック」
「よく覚えてんな」
「あぁ…」
「忘れもしないさあの日々は今に繋がってる私の大事な記憶さ」
…………
「さぁ見えてきたよみんな」
「あれが……」
人混みが開けた先に見える巨大な海上船
船の先頭に羽が生えた女の彫刻が大きく彫られている
帆はたたまれているが軸の大きさから全体の巨大さが伝わる
船中腹部から伸びた階段には荷物を運ぶ作業員が働いている
ジェルダンは船の前で大きく手を広げる
「これが!私達の相棒」
「ピーチアスライカ号だ!」
おぉ〜
感心する一同
「でか……」
「うんうん」
満足げなジェルダン
「さぁさぁ行こう!行こう!」
ジェルダンは手足を大振りして進む
「お疲れ〜」
階段で作業員とすれ違う
「あの人たちは船員さんじゃないんですか?」
ヒヨルは階段を降りていく作業員を目で追う
「あの方々は行商人です」
優しい目で説明をする料理人ゴイツ
「行商人?」
「はい、我らデ・エトラーデ船団と契約を結んでいる海上商会の行商人です」
「こうやって港については近くの支部から人材と旅に必要な物を揃えてくれるんです」
「へぇ、すごいですね」
がば
「うわぁ!」
ヒヨルの肩にしがみつくケモ耳
「それにそれに!個人の注文も受けてくれるからすっごい助かるにゃ!」
笑みを浮かべる戦闘員ニネット
「ちなみにニネットは好物の干物を注文してるにゃ!」
「干物……ですかそれは美味しいのですか?」
じー
顔を近づけるニネット
「なんでしょうか?」
「船長の知り合いなら少し分けてやってもいいにゃ…」
ははは……
「ありがたくいただきます……」
「遠くからと実際乗るとではなんかこう……大きさのスケールが違うわね」
リリアは船上で口をあんぐりと開ける
「外に出れば上は空、周りは海になるからもっと気持ちがいいぞ」
外からの風になびくジェルダン
「ジェルダンさ〜ん」
階段から船上へ上がっきた作業員
「もう終わったのか?ギィス」
ギィスと呼ばれたバンダナの上に帽子をかぶる青年
「はい!ご注文いただいだ物は全て所定の位置に…」
「あとは船の状態、寝室…浴場等の施設整備も行いました」
「最終点検も先ほど終えたので、今回の準備につきましては完遂しました」
バシィ!
「いで!、ちょっなんすかジェルダンさん!」
「いやいや毎度丁寧かつ迅速な作業で感心するよ」
ははは
苦笑いのギィス
「あの……最後に一つ」
「近頃漁獲量が低下しているので……その…契約金が上がるかもと会長が」
「ニネットさんの干し魚が…入手しづらくなっていますのでと…我々もできるだけ抑えますので」
「よろしいでしょうかジェルダンさん」
はっは
笑うジェルダン
「そんなかしこまることはないさ」
「この仕事ぶりを見れば少し高くなろうが契約は破棄しないって」
ギィスは一礼をする
「ありがとうございます!」
「それでは健闘を祈っていますデ・エトラーデ船団と同行者の方々」
「あぁマルッチさんによろしく言っておいてくれ!」
「はい!ではまたのご利用お待ちしてます!」
ギィスは階段を使い下船する
ビュン!
ジェルダンは船上前方の舵輪前に飛ぶ
さぁ!
ジェルダンの掛け声が船に轟く
「これより行くは未開の海路、何が出てくるかしらねぇが退屈しねぇならこっちのもんだ!」
「どんな海獣だろうと船は止まらない」
「私達の進む道を閉ざす奴らは殺してでも進む、仲間を信じろ私を信じろ」
「戦う準備はいいかお前らぁ!!」
「おぉぉ!!!」
船上の一同が拳を上げる
「錨を上げろぉ!」
ドン!
船が揺れる
ガシ
グルグルルルルルル!!
ジャルダンは思い切り舵を切る
「さぁ行くぞ!ヨウソロォ!」
「「「「ヨウソロォ!!」」」」
バシャァァァァ!!
船は海を切り裂き進む




