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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
3章 勇者の宛名
94/116

93話 劣弱の女帝

「作戦と言っても……まぁ今回の航路は一直線」

ピー

ジェルダンは地図を一直線になぞる

「ここジェス港からでて南西の島国「ミカノツカイ皇国」へと進む」

「距離から見て遅くとも3日で魔海域に突入しそこから2日で皇国へと行き着く」

「ただそれだけだ」

…………

静まる一同

リリアが口を開く

「他にはないんですか?」

ジェルダンはリリアを見る

ゴゴゴゴゴ

妙な間が空く

ゴクリ


「ない」

「ない?」

あまりにも素朴な回答に呆気取られる

「本来なら他国の海軍船との航路をずらしたり、海域の天候や食糧の中継地点、まぁ色々あるんだが」

「今回は「魔海域」でしかも誰も寄り付かない未開の海域」

「ということは船もいないし鉢合ったとしても海獣がいるから交戦の危険もない」

「食料は1週間分なら余分を含めても船に余裕で入る」

「進行方向も障害物がないからズレることもないし……後の不安要素は行ってみないとなんともだな」

「つまり……私達にも今回の冒険は初体験ってわけだ」

「いいねぇ……わくわくするよなお前ら」

船員達には笑顔が溢れる

ドドド

ガチャ!

「ジェルダン!」

扉を勢いよく開けるマスター

「どうしたマスター」

はぁ…はぁ

マスターは息を荒くする

「さ……さっきのバカ共の頭がジェルダンと決闘を申し込むって……来やがった」

「あぁ!!」

ディクスが大声を出す

「いきなり船長に決闘だ!?」

「ふざけてんのかよそのクソ野郎はよぉ!」

バサ

ジェルダンは手でディクスを静止する

「まぁ待ちなよディクス」

「いい機会じゃないか…エリック達に私の戦い方を見せてあげよう」

ジェルダンは出口へ歩き出す

「さぁついておいで」

「私を知れば今回の旅……少しは楽しめるだろ?」


ガタ

酒場のドアを開ける

「へへへ……さっきは子分を可愛がってもらってありがとなジェルダン」

にやける髭ズラ

片手にサーベルを持つ

身長は2mを優に超える大男

「まぁ…そのお礼に死んでくれよジェルダン」

ニヤ

笑うジェルダン

「言ったね……あんた」

「はぁ?何がだよこのクソビッチ」

かちゃ

腰の銃を向ける

「死んでくれってことは……命をかけるってことでいいね?この決闘」

ぶっ

ふはっはははああああ

腹を抱え大笑いする海賊

「あぁ!その通りだぜ」

「ようやくお前の首を取れる時が来たってことだなジェルダン」

ほぉ

「私の首を取れる気なのかな?」

「あぁそうさ一対一ならお前なんて怖くねぇ」

「知ってるか?お前の通り名をよ」

「さぁね……私の事は誰になんと言われようが気にしないんでね」


劣弱れつじゃく女帝じょてい

「そう呼ばれてんだよお前は」


「へぇ……女帝とは良い名を頂き光栄だね」

笑うジェルダン

「強がんなよ」

「この名前はお前が強い奴に囲まれただけの弱者っていう意味なんだよ」

「海戦ではいつも最後列で指示してるだけの海賊も名乗れねぇビビりが」

クスクス

周りの群衆は嘲笑する

見守る一同

「ねぇエリック…大丈夫なの?ジェルダンさん」

不安そうなリリア

「まぁ世界をしらねぇザコ海賊ならその真の意味を分からねぇだろうな」

「真の意味?」

エリックは横を見る

「それに仲間達の顔を見てみろよ」

リリアは船員の顔を見る

「誰も表情を変えず決闘を見守ってる…つまり心配いらねぇってことだ」

「それにあの女わざと喋らせてんだよ、本当はすぐにでも殺したいだろうに」

「わざと?」

「お前達に自分を知ってもらうためにあのザコに……いわば他己紹介させてんだよ」

「みろよあの顔」

ジェルダンは少し満足げに話を聞いている

「本当に性格最悪だよあいつは」


サーベルをジェルダンに向ける

「魔銃なんて今の時代はやらねぇんだよ」

「弾の軌道が見えりゃ避けるのも易い俺のサーべ……」

「もういいかな」

ジェルダンは言葉を遮る

「もう紹介も飽きたし、決闘しよう」

「私たちはこれからまだ見ぬ冒険(たのしみ)が待っているんでね」

「そのにやけずらズタズタにしてやるよザコ海賊もどき」

上から見下ろすジェルダン

「墓場は中央平場でいいかな?」



場所はエピックダウン中央広場

「じゃゴイツ頼めるか?」

ジェルダンの呼び声に応じゴイツが結界魔術を展開する

「さぁさぁ……この中ではなんでもあり」

「開始はマスターがビンを投げて落ちた瞬間」

「勝利条件は相手の死、それ以外認めない……例え降参しても殺す」

「いいかな?」

ブン!

「上等だぁ……後悔するなよ」

ジェルダンは手を挙げる

「じゃマスター頼むわ」


「では行きます」

ブゥン!

マスターはビンを上へと投げる



グルン

ビンは空中で回転する



ビンは地に向けて降下する



グルングルン




パキィン

開戦

ダッ!

海賊は距離を詰める

(先手で殺してや………)

目の前に銃

!!

ガキィン!

投げられた銃をサーベルではじく

(なぜ……銃を投げる)

(銃を手放しては撃てまい…あと2丁)

カチャ

銃を構える

「一直線でくるって…バカか」

バァン!

ビュン

弾を避ける海賊

「死ねぇ!」

サーベルを振り上げる

ブゥン!


ブシャ!

血が吹き飛ぶ

「あぁぁぁぁあああ!」

ガサ

地面に落ちるサーベル

「な……なぜだ!」

海賊の持ち手から流れる大量の血

ゴン!

「ぐふぁ!」

顔面を蹴られ後方へと吹き飛ぶ

海賊は目を開ける

「これは……」

倒れた先に落ちていた魔銃

!!

銃口から煙が出ている

(これは魔術による時間差………いや魔術発動時に起こる魔力は感じられなかった)

「どうしたよ海賊もどき……立てよ」

「じゃないと撃っちゃうぞ♡」

バァン!

「ヒィ!」

体を起こし逃げる

バァン!

バァン!

「ほーらどうした、逃げてばっかじゃ私を殺せないよ」

円を回る海賊

(どうにかしてサーベルを……)

グサ

とんできた飛来物は地面に刺さる

「それ欲しんだろ?」

海賊は地面に突き刺さるサーベルを抜く

「舐めやがって……」

ジュゥゥゥゥ

「何を……している」

ジェルダンの手に回転する熱を帯びた塊

「あぁこれか……あんたがあまりにも退屈なんで作ってたんだよ」

「弾丸を」

カチャ

3丁目の銃を取り出し光る弾丸を装填する

銃口は海賊の脳天

「さぁ避けるも弾くもあんた次第」

「まぁ…どっち道殺すけど」

バァン!


ビュン!

弾丸は空気を破り加速する

は…………

ぶちゃ

結界に撒き散らす脳みそ

バタ

スゥ

銃口の煙を吸うジェルダン

「いいねこの匂い」

「たまらん」


ヒュゥゥゥゥウウウウ

巻き起こる大歓声

ジェルダンは周囲に手を振り帰還する

「さぁ知っていただけたかな私の事?」

唖然とするリリア

「えぇ……」

「あの銃はどうやってやったんですか」

「最初に投げた銃が……後方で発砲されたように見えました」

「あぁそうだね…どうしてだと思う?リリア」

「魔力を感じなかったので……魔術じゃないと思いますが魔術じゃなければ……わかりません」

ふっははは

笑うジェルダン

「いいねその顔、私の曲芸を見た奴らの中でも上位に来るいい顔だ」

「曲芸?」

「そうさ……あれは魔力も使わない…ただ後方に落ちてきた銃のトリガーめがけて撃った」

「ただそれだけだよ」

「だけどもっと面白い事もできるから楽しみにしときなよ」

「はぁ………」

そう言い残すと酒場に戻って行く


「あれがジェルダン・サーカスだ」

エリックはため息まじりに紹介する

「3丁の魔銃を使い敵を殺す」

「世界を見てもあんな闘い方ができるのはあいつしかいねぇ」

「最初に投げた魔銃に消音の魔石が組み込まれてんだろう」

「あいつは当時の海戦で魔術を使わずに辺りを殺しまくった結果…」

「能力に頼らず戦いを制する「劣弱れつじゃく女帝じょてい」の忌み名が生まれた」

「魔術=能力っていう前時代的思考からきた名前だな」


ヒヨルは海賊の死体を見る

「何ボーとしてんだよヒヨルもう戻るってよ」

「アンスはさっきの決闘を見てどう思いました?」

「どうって………すごいなとしか」

「そうですよね…私も同じです」

「戻りましょうか」

ヒヨルは酒場へ向かう

「おう……」



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