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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
3章 勇者の宛名
92/116

91話 ジェルダン・サーカス

「吹いてきたな」

海風に揺られるくせっ毛

「お前らもう少しだから用意しとけよ」

それぞれ用意を始める

カシャ

リリアはフードをかぶる

「あぁリリア」

「今回はかぶらなくていいぞ」

リリアはフードを外す

「いいの?」

「今回は船の奴らも事前に知らせてるし王国内でもお前の顔知ってるやつも港には少数だしまさかきてるとも思わないだろ」

「前回のアトロスの一件でまぁ大丈夫かなってな」

「そう……」

ドドド

ガサ

エリックの隣に立つアンス

「海いつ見えるんだ」

「もう少しだと思うけど……そんな楽しみなのか?」

「あぁ……なんかこれぞ冒険の始まりっっていう感じ」

「つまり楽しみって事さ」

「そうか……それは良かった」

「僕も楽しみだぞエリック」

「あぁ……俺もだ」


カラカラ

「見えてきたぁぁぁああ!!」

風に揺られるつなぎ

「おい落ちるなよ」

アンスは馬車から乗り出す

「海だぁぁぁぁああああ!」

「おおおお!!」

リリアとヒヨルも操縦席から外を見る

「きつい……離れろお前ら」


白い鳥が海面を旋回する

朝日が照り付け海に反射する

崖の下にある港にはさまざまな船が停泊し船員がせっせと積荷をおろし作業を進める

各所に泊まる魔道船

魔石を原動力として進む魔王征伐以降最大の発明として名高い代物

カラカラカラ

ジェス港関門前

崖前に建つ一棟の建物

数人が並びジェス港への手続きを行なっている

ガッ!

関門横のスペースに馬車を止める

「俺が手続きしてくるからお前らは降りる準備しとけよ」

「手続き後に馬車預けて下の港に移動するからな」

「「「「了解!」」」」

エリックは金と手続き書など必要な物を持ち門兵へと歩み寄る

「じゃまとめるか」

ガタ

荷台に梯子をかけ上の荷物の運搬作業に移る

ビュゥゥ

「おぉ!」

風に煽られるイルマ

どん

「大丈夫?」

リリアはイルマを受け止める

「あぁすまん」

「3人とも!こっちきてください!」

ヒヨルは上から顔をだす

言われるがままに3人は荷台の上へと移動する

「どうですか!この景色」

風が吹く

「すごい……綺麗」

「あぁ…胸が高鳴るぜ!」

「これは…」

「いいですねこういうの」

「こうやって綺麗な景色を共有できる人がいるって」

「こんなにも幸せなんですね!新たな発見しちゃいました」

ぎゅ

リリアは手を握る

「そうだね、これからも一緒に見ようね綺麗な景色をさ」

「はい!」

4人は作業を忘れ眼下に広がる景色に目を奪われる




「どうしたんだ?」

下からエリックの声が聞こえる

「エリックさんもきてくださいよ!綺麗ですよ」

「そうよきてみなさい、あんたの腐った性根でも綺麗と思えるから安心しなさい」

「失礼だな君は」

渋々梯子を登るエリック

「お前らなあまり荷台に登るなよ」

「抜けたら余計な出費になるんだぞ」

ズルッ

ガン!

足を踏み外し頭をぶつける

「………」

「ほら手を出せ」

イルマとアンスが手を差し出す

「悪りぃな」

ガシ

トコトコトコ

「風すごいなここは」

「まぁみてください」

「あっ…………」

ブワァァァ

海風に乗りほのかに香る潮の匂い

「確かにこれは………綺麗だな」

眼下に限りなく広がる青く鮮明な海

果てしなく続く地平線は弧を描いている

照りつける太陽が暖かく全てを包み込む

「確かに海はロマンがあるな……」

ガシ!

肩を組むアンス

「だろ!俺が言った通りだぜ!」

「おいあんたら!」

下から男の声が聞こえる

リリアが上から覗くと普通の男が立っていた

「悪いが早く馬車移動させてくれねぇか」

「この後にも来るんでな」

「あぁ!すみません今どかします」

「行くよ!みんな」

ダッ!

荷物を持ち荷台から飛び降りるリリア、ヒヨル、アンス

「元気だねぇ」

梯子をおりるエリック



「あぁぁお別れだよぉハクバークロバー!!」

ヒヨルは泣きながら馬に抱きつく

それを見る4人

「言わなかったけど、その名前片方ロバ混ざってるぞお前」

どん

「なぜ!」

エリックの腹部に鈍痛が走る

「言わないであげて彼女が悲しんでしまう」

「お前……わざと言ってないだろ」

「だって可愛いじゃん」

「なんかお前ヒヨルに似てきたな」

ふふ

笑うリリア

馬車を預け一行は港へ降りる

「おい!この荷物倉庫に運んでくれ!」

船から積荷を運ぶ行商人の声

港には人で溢れている

その間を歩くエリック達

ガヤガヤ

「今日どこ泊まるんですか?」

「泊まらねぇよ」

「えぇ!じゃあどこに泊まればいいんですか」

「ここでは泊まらないって話」

「??」

「俺たちは今日着いたから今から船長のジェルダンに会う」

「そこでいつ出発かを聞いて……泊まる場所はまぁ船の上だろ」

子供モードのイルマ

「そのジェルダンはどこにいるんだ?」

「ここジェス港は海賊専用の停泊場がある、そこに停まってるらしいから今から向かう」

リリアの表情は曇る

「なんか私達、いつも裏の場所に行くのはなぜなのかしら」

「そりゃ裏を探るには裏に沿って進むしかねぇからだろ諦めな」

「まぁ……そうね」


群衆をかき分け道を進む

港の端に円状に穴が空いている大岩の前に立つ

「はぁ……大きいですね」

「俺は昨日から見上げたり見下ろしたり首がもげそうだ」

アンスとヒヨルはアーチ状の岩を見上げる

「見上げてないで行くぞ」

アーチのふもとには鉄製の檻が広がり警備兵が常駐している

「それにしてもここら辺めっきり人が減ったわね」

「まぁこの先は荒くれ者達の巣窟だしな」

「近寄らないのが1番だ」

「まぁそこに近づくんだがな僕らは」

「言ったらダメだぞイルマ」

歩き出す

「今日は何用だお前ら」

警備兵はエリック達に近づく

ぺら

「今日この停泊船に用がある」

警備兵は差し出された紙を見る

「ふむ……お前らジェルダンに用があるのか」

「あぁそうだ」

「そうか……まぁ頑張れよ」

そう言い残し鉄製の檻を開ける

一行は岩穴を通りジェス港の反対側へと進む

「ていうかあの檻必要だったんですかね?」

「上なんてガラ空きですし」

ヒヨルが指摘する檻の構造

高さ20mはある大穴に対し4mの檻

「まぁ…別に両方から来るやつもいないし格好だけなんだろ」

「そうなの?」

リリアは檻を見る

「海賊の方から来そうな気がするけど」

「海賊は無駄に世間体を気にするからな」

「ここジェス港で海賊行為を行うことは同業者から弱者のレッテルをつけられるんだとか」

「へぇ〜」

空返事

歩くにつれて上に岩石が伸びていることに気づく

「おいおい上の岩落ちてこねぇよな」

アンスはまたも上を見る

「んなわけあるか」

「見ろあそこ」

アンスはエリックの指差す方向へ顔を向ける

そこには天井から伸びる一本の柱

「あれで支えてる、それに壁の中に建てられた店から伸びてるやつもある」

「そうなのか……」

周りを見ながら歩く一行

「ここだ」

エリックは壁に開いている穴を指差す

「ここから海賊達の停泊場「エピックダウン」に繋がってる」

「そこでジェルダン率いる海賊団と合流する」

「中に入るの?」

嫌そうな顔のリリア

「もちろん」

当然の顔のエリック

とん

「行きましょ!リリア」

「楽しい場所かもしれませんよ?」

ヒヨルはリリアの背中を押す

「そう……なのかな」

渋々歩くリリア

壁に開いた穴から階段を降りる

「おぉ……これは」

太陽の光が薄くなっていくとそれに呼応するように碧い光が辺りを包む

「綺麗だな…魔石か」

イルマは壁にかかる石を見る

「光石の中でも大気中に一定の魔力濃度が滞留すると半永久的に辺りを照らす「ピカライト」だな」

階段を下ると少し開けた場所へと繋がる

「ここからまた登るの?」

リリアの前に上がる階段が現れる

「あぁエピックダウンはジェス港の反対側にあるから岩石の中を経由してからじゃないと行けない」

「ここまで来たら後少しだ…いくぞ」

階段を登る一行

ヒヨルは階段中腹で異変に気づく

「なんか……声が聞こえませんか?」

アンスは耳を澄ます

ーーーーーーー

うぉ〜〜ーーーー

「確かに何か………雄叫び?」

「「「「雄叫び?」」」

タッタッタ

階段上の出口へ向かう

パァァァ

出口から差し込むエピックダウンの景色

ガサ

地面は砂で覆われU字に開けたその場の中央で取り囲む群衆

「オラァ!」

「どうした!それでも金玉付いてんのかぁ!」

ドン

殴られた男は後方に飛ばされエリックの足元に流れつく

「うぅ……がふ」

男は血を吐き気絶する

「ヒューさすが!痺れるぜ!」

群衆の歓声を一手に受ける女海賊

かしらに言っときな小僧」

「私達に次喧嘩売ったら」

「お前の玉の中にいる小僧ごとぶち殺すってな」

絢爛豪華な装飾のローブに身を包む美女

片目に眼帯

腰に銃を三丁携えた紺色の髪

口調に少し品性が感じられないが容姿、立ち姿、歩く所作共に一級品

パッ

紺色の美女は顔を上げると顔を明るくする

「あぁ!エリックぅ〜」

「「「「「えぇ!!!」」」」

リリア、ヒヨル、アンス、イルマは驚嘆の声を上げる

「おま……あの人と知り合いなのかよ」

アンスはエリックを見る

ドドド

ぎゅ

「うぅ」

美女がエリックに抱きつく

「久しいな!来ないかとドキドキしたぞ」

「また一緒に旅ができるなんて夢みたいだ」

エリックの顔は晴れない

「あぁははは」

「俺も嬉しいよ協力感謝するよジェルダン」

「「「「えぇ!!」」」」

またしても驚く

「こ……この人が……」

「ジェルダン・サーカス!!!」


バサ

なびく端麗たんれいな髪

「なんだ小僧ども……あぁエリックが言っていた奴らか」

バサァ!

ローブをはためかせる

「私達の船に乗るなら覚悟しときな!中途半端な奴らは海に捨てるからね!」

ドッ

「死ねぇぇぇぇぇえ!」

転がっていた男がリリアに向かい襲いかかる

ダッ

グルン

刃物を持った腕を掴み大回しする

バキィ

「あぁぁぁぁああああ!!!!」

響く骨の音

ダラー

「な……何なんだよお前ら」

男は半泣きで問いかける

「何言ってんのあんた」

リリアは金髪を靡かせる

「襲ってきたのはあんたなんだから………今度は骨じゃ済まないわよ」

ギロ

「ヒィィィィ!」

泣きながら逃げる男

ヒュー

ヒューー

「いいね嬢ちゃん!」

群衆から喝采を受ける


「やはりエリックの仲間……面白い」

ジェルダンは歩き出す

「ついてきな」

「案内するよ、私の仲間達と最高の相棒をね」

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