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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
3章 勇者の宛名
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87話 師弟

「私の魔術って……どういうことですか師匠」

「そうだね…その前に従者の皆さんには魔術についてどういう説明をしているか聴かせてくれるか?」

えぇと……

少し考える

「私の魔術は……て、説明したっけ?」

リリアは両脇の従者を見る

片方は縦に首を振り片方は横に首を振る

ふっ

その光景を見て笑うクロス

従者2

「私が聞いたのは「存在感の序列を変えれる」と聞きました」

頷くリリア

「……何見てんの」

リリアを凝視する従者

「あぁいや……なんでもない」

(序列を変える……マジかこいつ)

「そのことで一つ言いたい……と言いますかリリアが魔術を使いこなせたら言おうと思っていた事を話します」

ゴクリ

息を呑むリリア

「おそらくですがリリアの魔術は一つによる効果ではないと私は思います」

「それは……どう言う事ですか師匠?」

「まず初めに、魔術の複数所持は珍しいことではありません」

「ですが戦闘という場面において魔術の切り替える瞬間に魔力が乱れ命を失う事例は多々あります」

「それ故に複数所持者でも戦闘に使う魔術は一つに絞られるのです、例外を除いて」

「魔術複数所持者の理想系は戦闘魔術+医療魔術もしくは結界魔術の2通りになります」

「それは憶えていますか?」

頷くリリア

「ですがリリアは戦闘中無意識に複数魔術の効果を発動させてると私は思います」

!!

「ちょ……待ってくれ」

「どうしたのそんな慌てて」

エリックを見るリリア

「だ……それって」

「魔術ってのは脳に刻まれた魔術を発動させる信号から魔力神経を通って外に魔力が出て初めて完成するもの」

「つまり脳は一つの魔術を使う時に膨大な活動量で……えぇとだな……」

………

「すみません、少し考えてもよろしいですか」

微笑むクロス

「えぇ構いませんよ、私もこの考えに行き着いた時放心状態で3日寝込みましたから」


……………

今までにない反応のエリックに驚くリリアとヒヨル

「ねぇ師匠」

「魔術を同時に使うってそんなに大変なの?」

考えるクロス

「まぁそうだね、大変すぎてどこがどう大変なのかを説明出来ないくらい果てしない事かな?」

「それにリリアが魔術登録した時は存在感を薄くする{幻無}として登録していたが今の存在感の序列を変える魔術は別物になっている可能性が高い」

え……

「でも師匠が幻無の進化過程で少し変化しただけだから再登録はいらないって……」

「あの時は私も半信半疑だったし、それに変に意識させて使えなくなるよりかは黙ってたほうがいいかとね」

「そうだったん…」

ガバ!

顔を上げる従者

「どうかな…考えはまとまりましたか?」

「えぇ…まぁ」

「リリア様一ついいですか?」

「両手を出してください」

「うん」

両手を出すリリアとヒヨル

「右手の小指と薬指を立ててその他は折ってください」

グググ

「難しいわねこれ」

「はい」

震える右手を出す

「ダメです、薬指をピンと立てて他は完全に折ってください」

プルプルプルプル

「うぅ………むり!!」

「それをやりながら389120÷48901523解いて左手の指を6本ににしてください」

…………

「いやできるかぁぁぁぁぁああああああ!!!!」

はぁ……はぁ

「誰ができるのよそんなの!」

「つまりそういう事です」

「………それって………本当?」

こくり

頷く従者1とクロス

「恐らく存在感を薄くする{幻無}とリリアが持っている魔術が合わさったのが今の形になっていると思います」

「そこで私からの報酬という名の助言ですが」

「アレスティア王国とメイハーム王国の間に存在するアウトポイント」

「ケリアヌ山の頂きにいる【ジュケディ・アルカラス】という魔術仙人に会い魔術の元を見つめ直す」

「そうすればリリアはもう1段階……いや今とは一線を画す強さを手に入れられる」

「これが私からの報酬です」

……………

ふとエリックに顔を向けるリリア

「ありがたく活用させて頂きます」

頭を下げる従者

「それはよかった……では最後に私とリリアで喋ってもよろしいかな?」

「えぇもちろんです」

立ち上がる従者

「行くぞ」

「はい!」

出口へ進む

「外で待っていますので」

「ゆっくりご歓談くださいリリア様」

「うん……ありがと」

ガチャ



……

「はぁ…かしこまる話は疲れるな」

ふふ

「師匠が大人っぽく見えましたよ」

「大人だよ俺は」


……………


「どうだった外の景色は」

「今までは誰かにとやかく言われてきたが…自分の目で見た景色は」


………

「すごかった……思ったより世界は広くて知らないことばっかでした」

「別に私が最強……なんて思ってはなかったけどここまで何も出来ないってショックだった…」

「人の命が終わる瞬間、それは一瞬なんだけどその終わった命に対してさ、残された人は一生苦しむ……悲しいの一言じゃ表せられないけど今まで来た道にはそんな人が大勢いるともうと少しでも私が何かできればって思うし」

「もっと知らなきゃいけないことがあるって……思いました」


「そっか……そこまで思うところがあるなら言う事なしだな」

「師匠としての何よりのほまれは騎士団やらの肩書きにはない」

「弟子の成長こそ誉であり宝だ」

「行っておいでリリア」

「君なら進めるはずだ世界の果てまで」

ニッ

笑うクロス


立ち上がるリリア

「師匠……今までお世話になりました」

「師匠からご教授頂いた全てを使い必ず」

「戻ってきます」


「あぁ……これでリリアとの師弟関係も無事終了だな」

立ち上がり頭を下げるクロス

「これからの旅路は予見せぬ危機が数多襲いかかると思われます」

「どうか気をつけてくださいリリア様」


「行ってきます」

ガチャ


ギィィ

門が開き金髪の少女が歩き出す

「お待たせ…行きましょ」

リリアを先頭に歩き出す3人

「別れは済んだかリリア」

「うん……これで進める」

「ここに戻るために必ずお父様の死について解き明かして」

「証明する…私の覚悟を」



3人はアンス、イルマが待つ宿屋に向け進む




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