85話 道中につき水切り
「では今からアレスティア近郊の森へ飛ばします……一ついいですか?」
「その両手に持っている袋はなんですか?」
「お土産です」
土産屋5階で転移を待つリリア達
「そうですか……ははは」
「じゃ行きますよ」
運び屋は話をやめ作業に取り掛かる
バン
手を合わせる運び屋
ボワン
地面に魔法陣が浮かび上がる
「それでは皆様」
「またのご利用をお待ちしております」
ビュン
シュタ
「……おぉ」
頭を抑えるエリック
風景が変わり木組の壁
「懐かしいです!」
ヒヨルが駆け回る
「っ……ここから来たのかお前らは」
頭を抑えるアンス
「もっと酷い転移の仕方だったけどね」
「お前なんて叫びまくってたからな」
「うっさい」
ドン
エリックのけつを蹴るリリア
「っ……てかお前フード被っとけ」
「もうここからはアレスティアだからな」
「わかってるわよ」
フードを被る
コンコン
ガチャ
扉が開くと鎧を着た騎士
「なんだ!」
「落ち着けアンス…この人がアレスティア領内まで運んでくれる」
騎士は一礼し外へ手招きをする
森はすっかりと静まる
「行きみたく襲って来ないんですかね魔獣」
!
「ここ魔獣でんのかよ!」
急いでトンカチを持つ
・・・
「まぁ行きと違ってイルマがいるから大抵の魔獣はよってこねぇよ」
「そうだったのか」
トンカチをしまう
「僕?」
ピンとこないイルマ
「そう!お前は上位魔生物の核を保有している」
「それに伴い魔獣序列の頂点に位置するから溢れ出るオーラで魔獣は寄れないってわけ」
ヒヨルはイルマへと近づく
「さっすがイルマちゃん!」
うぅ……
「近い」
森を抜けると懐かしい面々
「久しぶりぃぃぃ!」
勢いよく飛び出したヒヨルは馬に抱きつく
「どーどー元気だったかハクバー、クロバー」
「そんな名前じゃねぇだろ」
懐かしむヒヨルを横目に荷台に乗るエリック
ドサ
荷台に座る
「これでエリック達は旅してたのか」
イルマは荷台を見渡す
「旅って程のもんじゃねぇがな」
「何言ってんの、あれは立派な冒険……」
「ドキドキワクワクの旅だったじゃない!」
「記憶を捏造するな」
ドド
「ではこれよりアレスティア領内へ移動します」
「内に入りましたら契約終了となりますので悪しからずに」
「あぁよろしく頼む」
「じゃあ戻るか…アレスティア王国に」
「はい」「うん」
カラカラカラ
馬車は進む
アンスとイルマは荷台後方から顔を出す
「にしても草原だな」
「ここ本当にあのアレスティアの領内かよ」
「だからここなんだろうが」
ぐーぐー
リリアとヒヨルは熟睡中
「アレスティア領外へ出るには各所にある関門を通らなきゃいけないが」
「ここファイラル草原は街はおろか建物もない、それもさっきの森がアウトポイントにしてされて年中魔獣の脅威にされされてるから人が住めねぇんだよ」
「だから国境警備兵を配置してるがその兵を買収すれば国外へは簡単、しかも国も動く気配がない事から国もこんな広大な範囲を警備するより要所の狭い範囲で危ないやつを見つける方針をとってる」
「そこでリリアがいればその狭い要所もスイスイだ」
「「おぉ」」
感心する2人
「人を便利道具みたいに言うのはやめて頂いても?」
おっ
「起きてたのか便利どうぅ…」
グリィン!
ぬぅぅぅ
エリックの顔に抉り込む右手
グルグルグルグルグルグルグルグル!!
回転する20代男性
「あぁ!何してんだよリリア」
がし
アンスとイルマは服を掴む
ダッ!
荷台の塀に顔をぶつける
「いでで……」
頭を抑えるエリック
「いやそこじゃねぇだろ」
快晴
空には雲が浮いている
風は草木を揺らし髪を靡かせる
「そろそろアレスティア領内です」
(いや草原だろ)
アンスはそう思いながら草原を見ていた
カラカラ
ガシャ
馬車が止まる
「では皆様私はこれで」
一礼するとどこかへ去っていく警備兵
エリックは操縦席へ移動する
パシィ!
カラカラ
馬車は動き出す
「こっから王都までどれくらいなんだ?」
エリックの肩に乗るイルマ
「そうだな……半日くらいだな」
「そろそろ子供サイズになっとけよイルマ」
えぇ
気だるそうなイルマ
「この格好の方が楽だ」
「ダメ、そんな小さい奴がいたら逆にバレる」
ビリビリ
雷が走り体が巨大化する
トン
「なんだお前ら」
まじまじと見る3人
「その服どうなってんの?」
ぐい
イルマは服を引っ張る
「これは僕の魔力に応じて布が生成される特殊な糸で縫ってある」
「素材一本に魔石の粒子が混ぜられている」
ドヤ顔で語るイルマ
「へぇかわいいですね」
「私イルマちゃんの髪を結いたいです」
「触るな変態」
「辛辣!」
笑うヒヨル
「お前の髪も同じ原理なのか?」
興味津々のアンス
「そうだな……どうなんだエリック」
「イルマの体の重要部位は魔道具で作られてるって言ったろ?」
「髪、皮膚も魔石で構成された元素「モジュル」が使われてる、核からの魔力量が大きすぎるから常に何かに魔力を消費しないと魔道具が核から供給される魔力に耐えきれず爆発しちまうんだ」
「それを起こさないため大きさを変えるための魔力をわざと発生させたり小さい時も常に浮遊魔術を使う術式を魔道具に組み込んだ」
「それに大小様々なサイズになれた方が何かと便利だしな」
アンス
「よくそんな素材あったな?準備してたのか?」
「いやあったんだよ、イルマがいた場所にな…」
エリックはイルマの方向を向く
「あぁ…そうだったな」
王都へ行く途中に馬を休ませるため池のほとりで休憩
ピシャっ
「こう投げるの!」
ぶん
ピッピッピッピッピッポシャン
「おぉすごいなリリア」
どうよ!
リリアは水切り5連続で得意げになる
「んじゃ俺も」
平たい石を持ち上げるアンス
「よっ」
ぽしゃん
「はずみもしねぇのか」
「アンスは雑ですね」
「浅瀬から勢いよく投げるのがコツなんですよっ!」
ジャキ
ヒヨルの石は水辺の砂利に埋まる
ふっはははは!!
大爆笑のアンス
「何が浅瀬だって、そこは砂利って言うんだぜ!」
くく……
笑いを堪えるリリア
「そうね……水の上に投げないと………ふっ!」
「もう一回勝負ですよぉぉぉぉおお!!」
もしゃもしゃ
「あいつらは何をしているんだ?」
馬に餌を与えるイルマ
「そうだな……まぁ……石を投げる遊びだ」
共に餌を与えるエリック
「まぁ元気で何よりだ」
カラカラ
「もう少しで王都に到着だ」
起き上がる面々
「これから俺とヒヨル、リリアはギルド本部に行くから2人は宿にいるなり王都へ行くなり好きにしてくれ」
「くれぐれもはみ出した行動は控えてくれよ」
「「「「了解!」」」」
時は夕刻を過ぎる
馬車を預け宿に荷物と2人を置いて行くはギルド「雄剛の英団」本部
「ちょい急ぎめで行くぞ」
「はい!行きましょう!リリアの従者として!」
「…………」
勢いよく従者2人
「やっぱ2人で行ってくれない?」
「はぁ!?」
「何言ってんだお前は」
モジモジするリリア
「えぇ……会いずらいし…わかるでしょ?」
はぁ
「いいかリリア、お前がいないと師匠さんに報告もできないし何か新たな情報をくれるかもしれないんだぞ」
「てかそもそも俺ら2人であってくれるかも怪しいしなんなら門すら通れない」
「そう……だけどさ」
ヒヨルはリリアと顔の位置を合わせる
「リリアは会いたくないんですか?あの2人に」
「いや……会いたくないじゃなくてさ」
「会っていいのかな……あんなこと言って別れたきりだし」
下を向く
むに
リリアのほっぺを持ち上げる
「なら心配ないです」
「リリアはあの2人が最後に行った言葉を憶えてますか」
え……
「また会いに来て……2人はそう言ってました」
「ならリリアがすることは一つです」
「会いに行きましょう」
ふふ
「ヒヨルは記憶力すごいね」
「はい!記憶力は誰にも負けません!」
………
リリアはエリックの顔を見る
「何その笑顔……気持ち悪い」
「えあ……すまん」
タッタッタ
軽快に歩き出すリリア
「行こう!2人とも」
「依頼は報告までが責務って師匠にも習ったし私が行かなかったら」
「怒られちゃうもんね」
リリアと2人の従者はギルド「雄剛の英団」本部へ依頼完遂の報告へと向かう




