表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
3章 勇者の宛名
83/116

82話 次の舞台

温泉を満喫した男湯組は一足早く部屋へと戻っていた


窓から見えるヴィヴォーラの街並み

「うん!少し背伸びした甲斐があるな」

満足げなエリック


バリ

んぅ……ごくん

「でもどうやってこんな高い宿取れたんだよ…金はどうした?」

土産物のせんべいを食べるアンス


「どうもこうも我々の金から捻出しただけだ」

「我々?」

「俺そんな金あるってしらねぇぞ」

ぽん

「あぁ……まぁ実際はリリアの貯金なんだけどな」


ポト

煎餅を落とす

「おま……それって……どれくらい使ったんだ」

指を折るエリック

「まぁ……一泊10万エトラくらいかな」(1エトラ=1円)


ダッ!

立ち上がりエリックに近づく

「お前……」

「牢屋に入っても仲間だぞ」

顔に手を当てるアンス

「誰が罪人だ!」

「これはリリアが今回の旅のために貯めた金なんだよ」

「それにいくら使っていいって許諾は得ている…つまり俺は無罪だ!」

疑いの目を向けるアンス

「でも10万は使いすぎだろ」

「あと貯金はいくらあんだよ」

また指を折るエリック

「まぁ……ざっと1800万エトラくらいかな」

──────!!??

「はぁぁぁぁ!!!」

驚き転げるアンス


ふふふ

不敵に笑う

「あぁそうなるよな、俺もそうだった」


「まぁ……なんだ…すごいなあの子は」


ガチャ

「すごい音したけど」

「大丈夫?」

ピカーーーン

「うぅ……眩しい!」

燦然さんぜんと輝くリリアを前に目を細めるアンス

「何してんのあんた」


ドサ

椅子に座るリリアとヒヨル

「……落ち着かないわねこの椅子」

「座ってんのに下半身が地面についてるし…まぁクッションは柔らかいけど」

足がない椅子に違和感


「いやはぁ…気持ちよかったですねぇ温泉」

先ほどまでの泣きっ面が嘘のようにほぐれているヒヨル

「落ち着いたところで」

「えぇー今後の予定を話します」


「どうしたの急に」


ゔゔん

咳払いをするエリック

「まぁひとまず皆がここに集まれて一安心って所が素直な感想だ」

「でもこれからの事、勇者の死についてわかった事を今から話す」


「そういえば……ちょっといいか?」


「どうしたアンス」


「帝国の内乱が終結してここに来るまでの時間お前ら師匠に聞きに来なかったよな?」

「俺がいない5日間に話したのか?」

エリックを指差すリリア

「このもっさりが「アンスがいない所でガレンに聞くのはよそう、聞きたい事は聞けたから次の場所まで待ってくれ」って駄々こねたのよ」

「そんで軽い挨拶をして今に至るってわけ」


「駄々はこねてないけどな」

「アンスがいない所で聞くのはなんかな……」

「ガレンを守ったのは紛れもないお前だし……その張本人を差し置いてってのはなんか違うと思ってな」

「話は聞けたし、ならガレンにも勇者の鍛冶屋としてじゃなくてアンスの師匠として最後まで話して欲しかったんだよ……まぁガレンならそんな事気にしねぇだろうがな」


「そういうところ好きだぜ!エリック!」

満面の笑みを浮かべるアンス

はぁ……

「じゃあ早速本題行っていいか?」

頷く4人

「まずガレンに聞いてわかった事は3つ」

「1つ目は俺たちが入手した「勇者の手記」は勇者が書いたものではない可能性だ」

えぇ!

立ち上がるリリア

「なんだ勇者の手記って?」

首を傾げるアンス

「まぁ今は聞いててくれ…質問は1つ目が終わったらで頼む」

驚いた顔で座るリリア

「これは可能性の範疇はんちゅうに過ぎない」

「ガレンが言うには勇者は最後の旅で「手記はアレスティアで無くした」と言っていたらしい」

「この言葉を信じるなら恐らく王国出立まで勇者が書きその後は何者かによって付け加えられた……」

「てのが一つ目の情報……というか推察だな」

「質問は?」

バッ

手をあげるリリア

「じゃ……じゃあ…あの最後の文章はなんだったの?」

「最後の文章……あの黒く塗りつぶされた所か?」

「そう……それに前後の文章も付け加えるにしては……おかしいでしょ」


「そうなんだよな………」

「そこが変なんだよ、書き足すなら適当な理由で旅を終わらせばいい」

「突然黒塗りで終れば逆に読み手に疑問を植え付けるなんて考えなくてもわかる……」

「まぁこれは今議論しても結論は出ないからひとまず保留でいいか」


「その前に…勇者の手記について理解できないのは俺だけか?」

「大丈夫ですよアンス私もさっぱりですので」


「僕は理解できてるぞバカども」

エリックの肩から高みの見物


「じゃあなんだよイルマ」


「なぁにその手記って物がエリックとリリアの最初の手がかりだったってだけの話だろ?」

「そんなの俺でもわかるってんだ!その手記の内容とか……こう……中身って事だよ聞きたいのは!」

「だそうだエリック」

…………

エリックを見る

「まぁ……中身的にはリリアの子育て日記みたいなもんだったな前半は」

「だよな?」

リリアを見る

「うん……そんな感じ」


「子育て日記……見てみたいです!」

好奇心旺盛なヒヨル

「その手記はどこにあるんですか…ぜひ一読したいです」

「鑑定に出してる」

がーーーーん

「そんな顔すんなよ」

悲壮感ダダ漏れの顔

「で2つ目は次の目的地についてだ」

バッ

手をあげるヒヨル

「次って…明日アレスティアに戻るってあの男の人が言ってたと思います!」

「エリックさんは人が言った事をすぐ忘れるんですか!」


…………………………

「な…なんですかその目は!」

エリックの目は過去見た事がないくらい目が細くなっている

「そんなの知ってるんだよこのおバカさん」

「えぇ!みんな知ってたんですか!」

頷くヒヨル以外の皆

ショボーン

ぽん

ヒヨルの肩をさするリリア

「落ち込まないで…そのままのヒヨルで大丈夫だよ」

ピカーン

燦然さんぜんと輝くリリアを前に目を細めるヒヨル

「うぅ……眩しい!」

アンスは激しく同意する

パンパン

手を叩く

「いいかアホども話の続き行きますよぉ」

「次の目的地は「ミカノツカイ皇国」です」


「「「「ミカノツカイ皇国?」」」」

4人の声が合わさる


「その国へ行き勇者が手紙を送っていた人物いわば勇者の宛名あてなである「輾転回帰てんてんかいき」に会いに行きます」


「「「「輾転回帰てんてんかいき?」」」」

またしても合わさる4人の声

「その輾転回帰てんてんかいきってやつがどうやら勇者が密に関わっていた人物らしい」

「そいつに会って手紙なり話聞くなりして勇者についてより深く情報をもらう」

「これが次の目的である!」

おぉ

パチパチ

拍手が起きる

「どうやって聞くのよ」

水を刺すリリア

「どうもこうもどんな奴かもしらねぇんだ」

「そんなの会ってリリア紹介してなんとかするしかねぇだろ」

はぁ

呆れるリリア

「あんた情報がないからって躍起になってない?」


がた

机に両肘をつく

「そうなんだ……情報がないんだよ」

「この数日ミカノツカイ皇国の情報を探してもなんもない!なんだこれ初めてだ!!」

「知れてる情報としては「保護国家」「永世中立」「現人うつしおみ」だけなんだよ」

バリ

「ほあん、ひっへふああいえうか」

せんべいを食いながらしゃべるヒヨル

「お前マジで殴るぞ」

ごくん

「仲間も加わった事ですし」

「恐れる事無かれです!リリア探検隊は恐怖を照らし明日を掴むのです!」

バシャァ

ヒヨルには大海原が見えていた


「はいどうもね」

軽く流すエリック

ぽんぽん

エリックの頭を叩くイルマ

「でもヒヨルの言うことも一理ある」

「一理ぃ?なんもないだろ」

「確かにエリックが懸念する事前情報の欠如は危険を伴うがそもそもこの旅自体が危険と隣り合わせなのだから多少のリスクで立ち止まるより現地へ行き情報を揃えながら目的を達する方が結果的に安全だと言えるではないか?」

ガシガシ

「ちょ……やめろ!」

イルマの頭をガシガシするエリック

「さすがだなイルマ!その通りだ行こう!明日にでも行こう!」

「あのー」

「私も同じような事言ったんですけどこの差はなんですか?」

ギロ

ヒヨルを見る

「いいか、言葉とは意味ではなく誰が言うかが重要なんだ」

「じゃあ私が言ってもいいじゃないですか!」

「まぁまぁ」

さとすエリック


リリア

「そのミカノツカイ皇国ってどこにあるの?聞いたことないんだけど」

「俺もだ」

同調するアンス

カバンから地図を出すエリック

「聞いた事がないのも無理はない」

「ミカノツカイ皇国は保護国家と言って公的な事業がない限り入国ができないようになってる」

「前使った転移魔術も国に貼られている巨大な防魔結界術で遮られている」

「それに島国だから正規海路で行こうとしても諸々の事情で半年かかる」

半年!!

「まだ早まるな…それは安全に行く時の場合だ」

ピッ

地図に指をさす

「ミカノツカイ皇国は海…しかも魔海域で覆われてる絶海の孤島」

「ただ国の周りには魔獣を寄せ付けない結界があるから外からは入れないが中は安全」

「このアレスティアから南下すると港に着く、そこから大幅に魔海域を遠回りして半年かかる」


地図を見るリリア

「じゃあ………半年海の上ってこと?」

チッチッチ

「俺は言ったよな?」

「物事には必ず裏があるってよ」


「私おぼえてますよ!」

元気なヒヨル

「はいはいありがとう」

むぅ

むくれるヒヨル


アンス

「じゃあその裏ってなんだ……転移魔術は使えないんだろ?」

ピッ

港とミカノツカイ皇国を一直線でなぞる

「ここを通れば1週間ちょっとで着ける」

え…………

「でも魔海域で船通ってないんでしょ……?」

ニッ

にやけるエリック

「あぁ…正規(・・)の船はな……」

青ざめるリリア

「また…法を破るの?」

「まぁギリギリって所だな」

「それ………ってなに?」

バン!

地図を叩くエリック


「       海賊船に乗り最短ルートでミカノツカイ皇国に乗り込む!     」


「これが俺たちの航路だ!」

「おぉぉぉ!!」

「いえぇぇい!!」

テンションが上がるアンスとヒヨル


ヒュゥゥ

流れるように倒れ込むリリア

「はう……」

「だからお前ら魔獣を倒してくれ!」

・・・

「まぁ……そうだなエリック戦えないもんな」

「……そうですね」

「……かっこ悪いなエリック」

エリックに対し三者三様の対応をする





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ