81話 温泉
ヴヴヴ
ヒヨルのポケットが振動する
「はいこちらヒヨルです」
「あぁヒヨルか」
「俺ら「湯本ノ旗」っていう旅館に行ってるから3人集まったらきてくれ部屋も取ったから俺の名前言えば通してくれるぞ……じゃな」
ぶち
通信が切れる
「だそうです」
「そうか……」
「まぁ行くか」
3人はお土産を両手に持ち宿へと向かう
温泉宿「湯本ノ旗」
「はぁ……ここが」
「よくそんなお金ありましたね」
3人の目の前にそびえ立つ木組の建物
高さは4階とそこまで高くはないが敷地面積がヴィヴォーラ上位の広さを誇る
温泉もさることながら建物や遊戯施設も完備している高級旅館
受付を済ませた3人は従業員の案内で宿泊部屋へと招かれる
「部屋へ行く前に……」
従業員は3人の手元に目線を向ける
「そのお土産はお預かりしましょうか?」
「それとも…持ち運びますか?」
「「「お願いします」」」
3人の返答により大量の土産物の一部が引き取られる
「はぁ……」
口をあんぐりと開けるアンス
「なぁなぁ」
リリアの服を引っ張る
「何よ……てか引っ張んないで」
「この建物…大きすぎじゃあねぇか」
周りを見るリリア
「……そう?だいたいこんなもんじゃない?」
ぐい
リリアの逆の服を引っ張るヒヨル
「いやいや今までの宿で1番広いですよ」
「だから服引っ張んないで」
「ではこちら日の部屋でございます」
階段を登り3階の部屋の前で案内は終了する
「ごゆっくりどうぞ」
従業員はその場を後にする
ガチャ
部屋に入ると外を見るもじゃと肩に乗るイルマ
「あぁきたか……」
3人を見るエリック
「迷子連れてる親子みてぇだぞお前ら」
身長180cmと170cmに挟まれ服を掴まれる150cm
バサ!
「うるっさいわぁ!」
掴まれた手を解く
ドサ
それぞれ荷物を置く
「あぁそうだアンス」
エリックは肩にかけているバッグとは他に背負っているバッグをアンスに渡す
「なんだこれ?」
「まぁ開いてみな」
言われるがままバッグを開く
ふっ
笑うアンス
バッグの中には着替えとトンカチなどの道具が詰まっていた
「師匠の使ってた道具だな」
「一目でわかるのか…すごいな」
「あぁ忘れもしねぇよ、俺はこの道具を毎日毎秒目に刻んで憧れてきたからな」
「見なくたってわかるさ」
「温泉行きぃまぁしょぉー」
椅子にもたれ2人を見るヒヨル
冷たい視線
「満喫しすぎ」
「楽しみだなぁ私温泉初めてなんですよ!」
ウキウキのヒヨル
「俺もだ!」
ウキウキのアンス
「確かにどんななのか楽しみではある」
表情に出さないがウキウキのイルマ
「………」
「どうしたリリア」
「なんか嫌なことでもあったのかな?」
「何よその聞き方!」
イライラするリリア
「えぇ!今のは別に普通……だよな?」
…………
意見を求めるくせっ毛は無言の回答に恐怖する
「悪かったって、ほら機嫌を直してくれよ」
ヒョイ
カバンからぐるぐるキャンディを出す
がし!
ぺろぺろ
舐め始めるリリア
「どうしてそんな機嫌が悪いんだよ……なぁ」
「別にあなたに関係ないでしょ」
ぽん
「そういうことですか」
ヒヨルは何かを閃く
さささ
ヒヨルはリリアをつれ移動する
「おいどこ……」
バッ!
手を突き出す
「ここからは女の領域です!」
「男子禁制……意味は言わない……いいですね?」
「はい……」
ヒヨルは小さい声で話し始める
「リリアわかりますよ…私も同じこと思う時期がありましたので」
「同じ?」
「はい…私も大浴場に行く際に少し胸に傷を負って湯に浸かってます」
「……なんの話?」
「何ってリリアの不機嫌の正体ですよ」
「………?」
「それはズバリ巨乳に対する畏怖の念からくる精神的なストレス」
「ですよね」
ウィンク
「…………違う」
はい?
「別にその理由じゃないけど」
「では…なぜ?」
……
「ただエリック無しじゃ旅すらできない自分の……こう……無力感にムカついてんの」
「ではなぜエリックにあんな返事を」
「ただムカついただけ」
「あぁ………そうでしたかぁ」
がし
ヒヨルに抱きつくリリア
「大丈夫……ヒヨルの胸はしっかり成長してる」
「私より大きいんだから元気出して」
・・・
(逆に励まされている!)
「あ、戻ってきたぞ」
「遅いぞ小娘共!」
怒るイルマ
「あぁすみません…こちらは解決したので行きましょうか」
「……で結局リリアはどうして不機嫌なんだよ」
ひそひそ声のエリック
「あぁそれですか」
「エリックさんがむかつくだけだそうです」
「よかったですねさしたる問題じゃなくて」
笑顔のヒヨル
「あぁそう……」
(俺……むかつくんだ)
エリックは少し傷ついた
温泉の入り口には男女で入り口が違う
その分岐点に彼らは立っていた
「ねぇイルマはどっちに入るの?」
リリアの一言で男女間の言い争いが始まる
イルマ
「僕は……エリックと入ろうかと思っていたけど……ダメなのか?」
エリック
「いいんじゃないか?別にお前性別ないし」
ダダダ
接近するヒヨル
「ダメですよ!」
「なぜだ」
「そんな可愛い子を男湯に入れれば性欲の権化たる男共に醜悪の目線を向けられイルマちゃんが汚れます」
「やめてくだい絶対に!」
「そういうがな別にこんなガキの体なんて誰が見んだよ」
「見る人は見るんですよ、可愛さの前に年齢や姿は変わりありません!」
2人が言い争う様子を見る3人
地面に降りるイルマ
「僕は温泉に入れればどっちでもいいんだが……」
「そういう問題じゃないのよ」
澄んだ目のリリア
「これはヒヨルがイルマの体を男の目に入れたくないという願望からきている話なの」
ふぃ
腕を組むアンス
「じゃあどうする…あの2人を放っておいて先入ってくるか?」
2人が歩いてくる
「……終わったようだな」
「イルマ女湯に入れ」
「まぁ……いいけど……!!」
「じゃあイルマちゃん」
「一緒に入ろっか!」
ヒヨルは満面の笑みでイルマを迎え入れる
カポン
「いやぁ、気持ちぃなぁ」
「人もいなく景色も良し……ったく最高だなおい!」
「なぁ!」
「はぁ……全くだ、たまにはこういうのも悪くねぇ」
湯に浸かるアンス、エリックとイルマ
「どうだイルマ、これが温泉ってやつだ」
・・・
目を閉じ愉悦に浸る
「あぁ……最高だぁ」
笑うエリックとアンス
「あぁみんなで入ればましましで気持ちいいだろ」
「アンス……いいこと言うじゃねぇか」
「本当に気持ちがいいな」
「うぅぅう」
女湯に響くすすり泣く声
チャぽん
泣くヒヨルの隣にリリアが座る
「まぁ……気にしないで」
苦笑いをするリリア
バシャ!
勢いよく振り向くヒヨル
「私……そんなに怖いですかねぇ!」
イルマが男湯を選んだ理由「ヒヨルの顔が怖すぎる」以上
裸の付き合いは人と人の距離を大幅に近づけるというが見せる相手は選んだ方が良い
どれだけ相手が厚意を持っていようが……




