72話 生きれば嬉しい
走る2人のおぶられる1人
「イルマ〜もっとゆっくり走ってくれ〜」
「酔う」
ビュン!
速度が上がる
真顔で走るイルマ
「これからどうするんだエリック」
「戦況はどうも拮抗していると思うのだが」
う〜
うなだれるエリック
「そうだな……リリアはこのまま帝城から地下空間に行ってくれ」
「俺たちは帝域にシャンザさんのところに戻る」
リリア
「地下空間ってヒヨルがいる所?」
「違うな…カリノバがきて戻った魔力を感じない」
「ってことはまだ任務は達せられていない」
「つまり議長はまだこっちサイドにいるってことだが敵は外側だけじゃない」
「多分交戦を考えると……べネスの魔力を追ってくれ」
「……裏切り者がいるの?」
「そんな所だな……だが誰か割れてない」
「わかってるのは最高位騎士団と3席は裏切ってないって事だけ残りの奴らは………俺は知らん」
じー
エリックの見るリリア
「なんですかその呆れた目は」
「いや……あんたってわかってるようでわかってないなぁと思って」
前を向くエリック
「言われなくても嫌って程知ってるよ」
「そんなこと………」
・・・・・
微妙な間が流れる
口を開くリリア
「べっ別に……悪気はないの………ごめんなさい」
顔をイルマの背に埋めるエリック
「おいリリア」
イルマが口を挟む
「………何よ」
「エリックが少し笑っているのはなぜだ」
「は?」
よく見るのエリックの口角が上がっている
な…………
「なに笑ってんのよ!」
「せっかく心配してあげたのに!」
「ふははは」
笑うエリック
「悪口言って自分で謝るって」
ふふふ
腹を抱える
「本当に素直なやつだなお前は」
…………
「ふん!」
顔を赤らめるリリア
ふぃ
笑い終えるエリック
「頼むぜリリア」
「これから先どんな困難があろうと素直な心だけは失うなよ」
リリア
「大丈夫…あんたよりは素直でいられる自信があるから」
タッ
横に進路を変え帝城へ向かう
イルマ
「素直なやつだな」
「まぁ…まだガキだからな」
「あと………」
「吐いていい?」
我慢しろ
エリックとイルマはデモニッション跡へと向かう
アトロス城 地下空間 水路
パキィ
「はぁ………なんだ……お前は」
フィンネルの氷装に亀裂が入る
壁には無数の傷
壁に持たれるゼノ
刺された腹には医療魔術の一つ「防疫術」が施されている
「はぁ……ヒヨル……そんな強かったのか」
「違いますよゼノ」
ゼノの目の前に刀を持ったヒヨル
「これ……本当は使いたくないんですよ」
「これは私であって私じゃない……ということです」
バキバキバキ!
フィンネルを全身を覆う高密度の氷塊
バキィン!
氷は鋭利に変形し武器となる
「死死死死死死死死死死!」
驚嘆を叫びながら襲いかかる
ガシャ
バシャン!
水飛沫をあげ襲いかかる
ヒヨル
「でも……私の身勝手で死んでほしくない人が死んじゃったら」
ヒヨルは笑う
「ほんとうに悲しいんですよ」
パサァ
フィンネルは粉になり消える
ヒヨルの目と刀には紋様が刻まれている
「早く地表へ出て応急処置をしましょう」
「よい…しょっと」
ゼノをおんぶする
「足引っ張って……ごめん」
ふふふ
笑うヒヨル
「何言ってんですか、生き残る……それ以上に嬉しいことはないですよ」
パシャ
パシャ
「私のほうこそすみません」
「なんで謝るの?」
ヒヨルは遠方に横たわる女を見る
「お仲間さん……無力化できたはずなのに」
「ゼノをみたら……許せなくて」
「やめてヒヨル」
「反逆は死罪……」
「ユイラは早いか遅いかの違いだから…気にやまないで」
「はい……」
「それとゼノ治療後べネスと議長を追わないと」
走り出すヒヨル
ゼノ
「一ついいかな?」
「ん?なんですか?」
指をある方向に向けるゼノ
その先を見るヒヨル
「ヒヨルさん……言いたいことわかる?」
・・・
あぁ!
「べネスに議長の届け先言うの忘れて……」
「違う、そうじゃない」
?
首を傾げるヒヨル
ゼノが口を開く
「転移門………」
「転移門が凍結されて……どうやって帰ろうか」
「ここは通路が入り組んでるし、時間で配置も変わる……」
・・・
はは
乾いた笑い声
「でっでもゼノが来た道を辿れば……ねぇ?」
はぁ
ため息を漏らすゼノ
「多分、ヒヨルさんと一緒で通路から魔力を追って来たんだ」
「ヒヨルさんとニナさんを頼りにね」
考えるヒヨル
「わ……私も……べネスに持たせたビーコンの魔石を頼りに……」
「もしかして私達………」
迷子?
「べネスさんとニナさんの魔力もさっきの戦闘による魔力残穢で探れないし」
「迷子です」
「えへへ」
苦渋の笑い声




