71話 恩返し
「オラァ!」
ぶつかり合う拳
両者鍛え抜かれた肉体で殴り合う
「いいパンチではないか!」
にやける筋肉
ダッダッダ
拳の乱打
お互いに打ち合う
ドン!
「がぁ……」
ダッダダダダダダ!
後方へ飛ぶアンス
「さぁボーイ……まだやろうぜ!」
ビュン!
突進するアンス
ダン
ダッ!
ブゥン!
熱を帯びる右腕
ドッ
「ぐぅふ」
デイドンの腹に抉り込む
「わかるぞ……その熱い魂!」
ぎゅる
めり込んだ腕を筋肉で固定する
「どうなってんだお前の体は」
腕を固定され身動きが取れないアンス
ブワァ
腕を振り上げるデイドン
「鍛えれば筋肉、臓器、細胞の一つまで意のままに動かせる!」
振り下ろされる腕
ブゥン!
ドォォォォォォォォン!
煙が勢いよく舞い上がる
パラパラ
爆ぜた地面の破片が落ちる
「ぬぅ……」
前を向くデイドン
鉄槌の跡
「またあのガールか…」
「水を差しおっ………」
デイドンの顔面にめり込む右腕
(実に厄介)
ダァァァン!
吹き飛ぶデイドン
「はぁ……はぁ」
目が充血しているアンス
「どうだ筋肉……」
ムクッ
立ち上がるデイドン
「実力の差を策略で埋めるのは良い手段だが……」
「それでも男か?」
アンスを見つめるデイドン
グッ
両手を握りしめるアンス
「ウルセェ」
「お前にはわかんねぇだろうな……全てを使い守る」
「男の生き様ってヤツをよぉ」
「まぁいい」
グググ
筋肉が収縮する
「なら守って見せろ」
「私という超人から全てを!」
ダッ
地面を抉り進む
ビュ!
アンスの目の前に腕が出現する
笑うデイドン
(全速力に反応すらできてないではないかボーイ)
(さらばだ)
瞬間!
パン
音がしたと同時にアンスが消えかける
(甘い…転移魔術は身体、魔力、生気が消え去るまでその場に居続ける)
(完全に消える前に顔を殴れば確実に死ぬ!)
パッ!
(なんだと!)
デイドンの目に映る青髪
ベー
舌を出し挑発する女
「転移より転換の方が早いって知ってる?」
蝶仮面の胸に振り下ろされるデイドンの剛腕
グリィ
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!
轟音と共に吹き荒れる風
周囲は土埃で視界が不透明
シュゥ
煙が晴れる
「ごはぁ……はぁ」
吐血する蝶仮面
抉れる地面
その先に倒れるデイドン
「大丈夫か蝶」
近寄るアンス
「あ……だいじょ………ぶ」
「けど……少し……やす…………む」
フラ
ガシ
倒れる蝶仮面を受け止めるアンス
タタタ
隠れている2人へ走る
「タフノ、頼んでいいか」
「はい……もちろんです」
涙を浮かべるタフノ
「ずびまぜん………ぼく……なにも………役にたでなぐで!」
ぽん
タフノの肩に傷だらけの手を置く
「何言ってんだ……役割なんて人それぞれだろ」
「お前はお前にしかできないことをやってくれ」
「俺ができない分もな」
「はい…」
戦場へ戻るアンス
「アンス!」
呼びかけに止まる
「なんですか……師匠」
ニッ
「どれだけ強大な相手だろうとお前ならできる……なぜなら」
「私の自慢の息子だからな」
笑うガレン
ドッカァァァァァァァァァァァァン
前方から轟音
見えるは上半身裸の筋肉
顔と体の一部は皮膚が削れて赤い
ニッ
「師匠………絶対帰ってきます!」
アンスは歩き出す
それを見送るガレンとタフノ
「ガレンさん…………」
ガレンの目は前を向く
「大丈夫だタフノ君……もしもの時は私があの子を守ればいい」
「ただそれだけの話さ」
対峙する2人
ムキッ
剥き出しの筋肉は人知を越える強度を誇る
「雑用任務かと思ってきたが……これほどに燃える戦場だったとは」
「もっと筋肉が映える戦闘スーツでくればよかったと後悔後悔」
筋肉についた土を払うデイドン
グッ
「さぁボーイ、ガールがいなくて戦えるのかな?」
アンス
「何言ってんだよ脳筋が」
「攻撃はわざと受けたんだよ」
「蝶の作戦を確実にするためにな」
「それが虚勢じゃなければいいがな!」
ダッ
ビュン
速度が上がる
拳速は空気のまくを破る
ドッ
合わさる拳
ダァァァァァァァァァァァン
2人を中心に全方位に剛風が吹き荒れる
グググ
拳で語らう両者
「虚勢じゃなくて安心したよボーイ」
「当たり前だろ……嘘が嫌いなんでね」
ビュ
両者後ろへ下がり距離をとる
「さぁ今度は私からだ!」
ガボォ!
デイドンは地面に手をねじ込み大きな岩石を持ち上げる
「どっ」
「こいしょぉぉぉおおおおおお!」
投石
岩石を見上げるアンス
グッ
右腕を振り絞る
アンスを見るデイドン
(さぁ……見せてくれるかボーイ)
ダッ
ひと蹴りで空中へ飛躍する
「ふぅ………」
落下する岩石
「ふん!」
アンスの右腕は巨大な岩石に直撃する
バキバキバキバキバキバキ!
岩石に亀裂が入る
見上げるデイドン
「ほお………合格だ」
シュタ
降り立つアンス
周囲には岩石の破片が落ちる
「もっと壊しごたえのある岩はなかったのか筋肉」
腰を低くするデイドン
「すまない……壊しごたえのある岩はないが」
「筋肉ならあるぞ」
ドッ
両者距離をつめる
ダン
ドン
ダダダダダ
激しい攻防
互いに譲らぬ拳のぶつかり合い
「うっ……」
風に煽られるタフノ
「すごい……速度もパワーも段違いに強化されてる」
「………ガレンさん?」
ガレンの表情は晴れない
「あいつの魔術{鍛練}で発生する超強化は一過性のもの」
「それにあいつ自身の体はとっくに限界を超えて活動している」
「プラスして魔術による強制強化だ…残り時間は少ない」
タフノ
「ってことは………もうアンスさんは……」
ダッ
デイドンの攻撃を受け流すアンス
「どうした!……もっと上げてこい!」
ダダダ
加速する拳
ビッ!
アンスの皮膚に切り傷
ドッ!
アンスの腹に右フックが決まる
「がはぁ!」
血を吐くアンス
ガシ
デイドンの右腕を掴む
「まだ……いけるよな」
かがんだ姿勢からデイドンを睨みつける
ニッ
「あぁもちろんだぜボーイ」
ドン!
ダァン
右腕の衝撃波で吹き飛ぶアンス
吹き飛ばされても立ち上がるアンス
「なぁ鍛冶ボーイ……一つ提案がある」
「はぁ……」
ダッ
足踏み込みデイドンへ立ち向かう
ブン!
アンスの乱撃をかわす
「まぁ…そのままでいいから聞いてくれ」
ビュン!
「私の部下にならないかボーイ」
攻撃をよける
「君の熱い心に打たれたよ」
「ボーイが加われば「カリノバ」でもトップのチームになる」
「まずは班員からはじめ後々副長の座も狙ってみないか」
ガシ
アンスの手を掴む
「で、答えは聞けるかな?」
ボタボタ
アンスの顔から血が落ちる
「はぁ……はぁ」
顔を上げる
「俺が鍛えたいのはそんな筋肉じゃねぇ」
「悪りぃな」
・・・・
「残念だ」
ブォン!
デイドンの右腕がアンスの顔面めがけ放たれる
ドォォォォオオオオン
アンスは倒れる
「どういうつもりだ………三下」
「恩人に恩を返す……それこそ」
真のブライトだろ
「理解できんな」
デイドンの腕はブライトの腕に掴まれる




