64話 現れる
城内 皇帝の間
炎は消える 部屋は少し焦げ臭く所どこを焦げている 中央に立つ男は下を向く
「先程、あそこで待てと言ったのは聞こえてなかったのかな」
ヴィットウェイは部屋の角を見る
「君に魔術が当たらないようにするのは少し手間だったんだがね」
コツ
コツ
角から現れる黒マント
「さっきはありがとう...」
「助かりました」
「あぁ...無事で何より」
「我の魔術も届くかどうかだったのでな」
「それに......顔を見れば助けて良かったと深く思うよ」
「リリア・グレイブ」
月光に照らされる金色の髪
赤い瞳
「なぜ君が......というよりどうやってここにと聞いたほうがいいのかな」
...... 黙るリリア
はぁ...
「別に君を咎めるつもりはない」
「ここにいる事もニナを助けてくれたお礼として黙秘しておこう」
ぺこ
一礼するリリア
「ありがとう...助かるわ」
「それで......お願いがある......あります」
「ほお...何だね」
リリアはヴィットウェイを見つめる
「私に臨界天を教えてください」
「それは何故の渇望なのかな?」
......
「あなたを超えるため」
ふっ
「はっはっは......そうかそうなのか」
「実にあの人の血を受け継いでいると感じざる負えないな」
「そうだな恩を返すと思って教えることはできるが」
「我から言えるのは実体験からの推測だけだがそれでもよければ教えよう」
「お願いします」
「我が臨界天を使えるようになったのは」
「魔王軍の魔人「デビックラーク」と対峙した時に「竜喚」を使っていた時...」
「魔力で練り上げた竜と我が一瞬だけ同化したのだ」
「同化......ですか」
「あぁそうだ、戦いの最中同化したと思ったら自然と臨界天への魔力の練り方が頭に入り 込んでな」
「それからは自身の手足のように臨界天も使えるようになったという話だ」
「参考には......ならないだろう」
「まぁ......はい」
ヴィットウェイは歩き出す
「まぁ気に病むことはない」
「君も勇者の娘なのだから鍛え方次第で臨界天を超える奥義を習得できるかもしれない」
「今は地盤を固めたまえ」
「.........はい」
ピカ
「.........!」
城内に光が差し込む
ドォドォォォオオオオオオオオオ!!
地鳴りが止まらない
「えっ......何これ」
ヴィットウェイは外を見る
「正念場......だな」
ビィィィィィィィィイイイイ!!
「何!」
リリアは帝城の外に目を向ける
宵闇の空に浮かぶ球体
表面に凹凸はなく完全な球体
ビキビキビキ!
パァカァァ!
ひび割れ割れる
ヒュ
ドォォォォォォオオオオオ!
帝城からでもわかる巨体が帝域に降り立ち建物を粉砕する
距離から 4 番通りから 5 番通りの境目あたりに着地
「なるほど......あれが上位生物か」
隣につくリリア
「あんなものが......どうやって」
「これで見るといい」
ヴィットウェイから双眼鏡を渡される
「あぁ...ありがとうございます」
巨大生物は目が4つ、
手が 4 本、足が 8 本生えている 身体中に魔石が埋め込まれておりとんでもない魔力量を帯びている
バチ
電気が走るあたりの建物を壊す
双眼鏡から見ているリリア
「あんなの......どうやって倒すの」
ビキ!
「今度は何!」
空間にヒビがはいる
ドパァ!
空間が裂ける
中から男が走り出てくる
ダダダ
ヒュ
ゲートから出た男は足場がないことに出てから気づく
男の顔は表現不可能な表情
ヒュゥゥゥゥ
落下
「エリック!」
双眼鏡から見える見覚えのあるキモ生命体みたいな髪型
ビキビキビキ
エリックの後に続くイナズマ
エリックをお姫様抱っこする
何やら口喧嘩をしている
.........
ドパァ!
地上で別のゲートが開く
ビカ
そこへ降り立つ 2 人
「何......あの人達」
双眼鏡を覗くリリア
地上に降り立ちお姉さんから拳骨をくらうエリック
双眼鏡を外す
「では我も行くとしよう」
「待って!」
「何だ」
「私も......行きたい」
「好きにしろ」
城内から飛び降りるヴィットウェイ
タタタ
ダッ
城内から飛び降りるリリア
帝城 通路
はぁ......はぁ
ニナは走る
帝国議会議長ティゲルスを捉えるために奴の自室がある反対の西エリアへ
――数分前――
リリアを探すニナは皇帝の間近くの通路まで戻っていた
「.........なっ」
そこで目にしたのは柱の影に瓦礫に挟まっていた紙
以下内容
治ったから別に行く
ありがとう
その紙を拾うニナ
............イラっ
ビリビリビリ
ポイ
無言のポイ捨て
そこから議長がいる西エリアへとひた走る
(あいつもし出くわしたらタダじゃおかない......)
タッタッタ
タッ......
スピードが落ちる
廊下には夥しい血痕
曲がり角からただならぬ気配を感じる
ガチャ
弓を展開させる
ぴょこ
「やっほ、ニナちゃん!」
三つ編みの女の子
ニナは弓を下ろす
「ユイラ!」
走り出すニナ
ニナよりも少し背が高く
背丈ほどの血塗られたトライデントを持っている女の子
暗い髪色で雰囲気も少し大人びている
騎士位2席「クウレツ」隊員 ユイラ
ニナ
「どうしてここに!」
ユイラは通路の向こうに顔を向ける
「まぁ......あれをね始末しろって言われてね」
うっ......
ニナは通路の先を見ると倒れている魔生物
「あれね......」
「で、ニナちゃんはどうしてここに?」
「あぁ...議長のティゲルスを捕えろって団長がね」
グルングルン
トライデントを回すユイラ
「へぇ......私もついてっていい?」
「もちろんだよ!」
2 人は走るティゲルスがいるであろう一階の議長室へ
ユイラ
「でもさ......もう議長逃げちゃったんじゃない?」
「城内こんな大騒ぎなんだし」
「まぁそうなんだけど......」
「ぶっちゃけそれ以外当てがないんだよね」
へへ......
苦笑いのニナ
ふぅぅん 考えるユイラ
「まぁ行ってから考えよ」
「うん、そうだね」
2 人は議長室の前に着く
「じゃ開けるよ」
ギィィィ
部屋はもぬけの殻
はぁ
ため息をつくニナ
「まぁ......そうだよね」
う〜ん
考えるユイラ
「確か......ティゲルスは直前まで帝城にいたんだよね?」
「多分......」
「じゃあさ...帝城の外回りにいた誰かが気づいてるはずだよね?」
「それに議長が避難するなら騎士位3席以上......つまり帝城配置の私かニナちゃん、ベリィ、ランスールの誰かを護衛につけなきゃいけない......その4人は議長の護衛はしていない」
「となると」
ニナ
「ちょっといい?」
「ん?」
「騎士位4位のベリィとランスールと連絡取れたの?」
あぁ
ユイラは少し間をおく
「大丈夫今あの 2 人は......ちゃんと戦ってるから」
「そんなことよりさ...議長は外に出てないのにここにはいない」
「てころはこの部屋にまだいるんじゃないかな」
...............
ゾクゾク
「うぅ...」
背筋が凍るニナ
「じゃあやってみる」
ガチャ
ビュン
矢を放つ
ピタ
部屋中央で静止する
「サーチ」
パチン
矢は弾ける
............?
ニナはクローゼットの中に微量な魔力を感じ取る
ガチャ
ゴソゴソ
「............あぁ!」
ゴソゴソ
ニナはクローゼットから何かを取り出す
「よいっしょっと」
どん
ユイラ 「それって......」
おかれたのは 30cm 四方の額縁
「多分転移門だね......しかも小型の」
唖然とするユイラ
「うっそ......初めてみた」
はぁ
ため息をこぼすニナ
「私も......これ一つ買うのにいくらかかんのよ」
転移門の魔道具は相場が推し量れない程に高価な代物である
がさ
額縁を触るニナ
「しかもこのふち、魔石を加工してあるから魔力流せば大きさ変えられるっぽい」
「どうする......入る?」
がた
ブワァン
転移門をおき巨大化させる
「もちろんでしょ......それが私の仕事だし」
カツカツ
隣に並ぶユイラ
「私達の.........でしょ?」
ニコ
うぅぅぅ
「ユイラあんたは本当に......」
「よし!じゃあ行こうか」
ビュンビュン
矢を後方の壁に 2 本打ち込む
クイッ
「ロープ」
バシ! 矢尻から白い糸がニナの手先に伸びる
「これで......」
ぐるぐる
その2本をニナとユイラの腰に巻き付ける
「もし出たところが危なかったら戻れるようにね」
ぐっ
ユイラ
「さすが万能配慮完璧女子力高め系騎士様!」
ははぁ
苦笑い
「長い長い...」
グッ
踏み込むニナ
「じゃあ、いい?」
「オッケーだよ」
「行こう!」
ダダダダダ
転移門は通過する前では向こうの景色は認識できない
潜る際に魔力を前方向に流すと門は開く
認識可能になるのは通り過ぎな直後
ニナ
(さぁ...どこへ繋がる)
ブワァ
白い光が視界を包む
うぅ
目を細める
ダダダ
バシャバシャ (水音?)
ふっ!
辺りを見渡す
「はっ!ここは」
ユイラ
「ニナ!構えて!」
呼び声に呼応し弓を構える
「ヒィィ!」
目の前に怯える男......
......武器を構える黒髪と壁に押し付けられている議長ティゲルス
ニナ 「何者だ!」
ユイラ 「何者!」
ヒヨル
「転移門使えるじゃないですか!」
「べネスの嘘つきぃぃぃぃぃいいいいい」
地下水路に響く声
3 者はそれぞれの目的で合流する




