60話 臨界天
ヴィットウェイの死体が飛来した頃
帝城 門前
レスタ
「今...何が起きたんだ」
状況を見るゼノ
「そうですね...殺したはずの騎士団長らしき奴が」
「血がでないな〜と思ったら急に動き出し帝城に向かって飛んで行った」
「ですかね」
辺りを見るレスト
「まぁその通りなんだけど......何が何だか」
「なぁ改革軍の君」
副隊長グンダがヒヨルにはなしかける
...............
「君だよ!君」
指を刺されるヒヨル
「え!私ですか?」
「そうだろ、君以外は騎士なんだから」
「あっ......確かに私だけ違いますね」
はぁ
グンダは頭を抱える
「君の所のリーダーはどう言った指示を出してるんだ」
「聞かせてくれないか」
う〜ん
考えるヒヨル
「確か、私は 8 番通りで戦っている騎士を帝城に送り届けて......」
「その後帝城内地下でべネスと合流だったと思います」
「ちょっと待って」
ゼノが割り込む
「さっきラジェナって人を倒すとか言ってなかった?」
ポン
「あぁそうです、よく気づきましたねゼノ!」
「私は帝城地下でべネスと合流後地下空間にある転移門を調べるんでした」
「転移門って......」
レストは皆に視線を送る
「なぁあんた...早く地下行かなくていいのか」
「さっきの黒マント......今も地下で待ってるぞ」
「あっそうでした」
びし
敬礼をするヒヨル
「では皆さん悪い人に負けちゃダメですよ」
「さよなら〜」
ヒヨルは門を飛び越え帝城内へと走る
置いてかれる騎士一行
ゼノ
「あの......僕の話聞いてましたかあの人?」
「聞いてないな」
ユル
「ねぇレスト......1ついい?」
「なんだ」
「有事の際だけど...」
「部外者を帝城に招いて大丈夫なの?」
............あ
「大丈夫ですよ隊長......罰なら我々も受けます」
「僕はパスで」
即拒否のゼノ
「おいゼノ!ここは仲間をだな......」
「はいはいうるさいうるさい」
じゃれる 2 人
がさ
草陰から人影
驚く様子はなくその方を見る
「ごめんね〜遅くなって」
白い服装に金の線
背中にはアトロスの紋章
レスト
「遅いなんてもんじゃねぇぞ」
「最高位騎士団の団員が国の危機を放っておくなんて罪に値するぞ...」
「メイガウス」
最高位騎士団「ガイア」団員 メイガウス 2m はある身長の細男
「まぁそんなかっかしないで」
「同期のよしみで許してよレスト」
「こっちもこっちで色々あんだよ...」
ゼノ
「でも終わったから来たんですよね?メイガウスさん」
「うん...そゆこと」
「ゼノは本当に状況整理が優れてるね誰かと違って」
ちら
「ちっ」
舌打ちをするレスト
「いいから用件をいえ、今も騎士が身命をとして戦ってんだ」
両手を広げるメイガウス
「なぁに大丈夫さ」
「アトロスの 1 から 4 番通りの帝民は全て避難完了してる」
「え......」
「どうしたのゼノ君?」
思い返すゼノ
(あの時 3 番通りは...避難済みだったのか)
「事前に反乱軍の動きがリークできていても...」
「こんなに避難がスムーズに行くもんですか?」
ふふ
笑みをこぼすメイガウス
「それも含めて来てくれないかライゴウの皆」
「そこに隠れてるインファちゃんも出ておいで」
ササッ
木の幹から降りる
遠距離用の魔法銃を構える女の子
手を振るメイガウス
「やっ!久しぶり」
コクン 頷くインファ
レスト
「で...何を隠してんだお前らは」
草陰に入るメイガウス
「隠してはないよ...ただアトロスに潜む闇を一掃するために一芝居打っただけだよ」
「我々は皇帝陛下のために心身を捧げた臣下だろ」
「それに騎士団長は大変お怒りだ」
「ここでは邪魔してしまう」
メイガウスの後を追うようにライゴウは歩き出す
帝城内 皇帝の間
マジュラは魔法陣を展開し竜の尾を召喚する
「どれ、よけてみな」
4つの魔法陣から 4 本の青い尾が飛び出る
ビュン ビュン ダッ!
矢を 2 本放ち走るニナ ヒュゥゥ
4 本の尾が襲う
ヒュン
ザク
ザシュ
フゥン
弓で切り放った矢で尾を射抜き尾を飛び越える曲芸
それを見るマジュラ
「はは!さすが近距離射手だな」
ニナの顔はひどく冷たい
(うるさい......)
ビュンビュン
距離を詰めながら矢を放ち続ける
「さぁ...これはどうだ!」
8つの魔法陣が浮かび上がる
頭1、爪4、尾3の青い竜の体が顕現する
グッ
ニナは弓を両手で持つ
目の前には悍ましい竜の巨躯
ザシュザシュ
弓で頭と尾をめったぎり
ヒュン
4つの爪が遅いかかる
タッ
ガシ!
その場から飛び矢を掴む
「おいおい矢を掴んで空中移動とかどんな魔術なんだよ!」
矢につかまるニナ
パッ
手をはなす
グググ
弓を絞り狙いを定める
「俺に空中戦は分が悪いんじゃねぇの!」
地面から爪が襲いかかる
ビシャ! ニナが構える弓が変形する 魔力による武器拡張
矢が 10 本になりそれぞれ連結する (これで...)
ビュン!
ヒュゥゥゥゥ
ヴィヴィヴィヴィ
放たれた矢は広がり円を形作る
それぞれが連結し大きな網に変形する
がし
爪を巻き込みマジュラに降り注ぐ
――包囲網――
ダン!
ダダダダダダダダダダ!
マジュラの周りに 10 本の矢が突き刺さる
シュタ
着地する
「ふぅ......複製でも伊達に「竜喚」なだけはあるわね」
「だけど封じればどうということはない」
魔力の網を見るマジュラ
ビビビ
触ろうとすると電気が走る
「へぇ......魔力も練りづらい」
「さすが伊達に騎士名乗ってるだけはあるな」
「だがこの状況で何もしないのか?」
ニナを見るマジュラ
弓を構えているが矢はない
「あんただって何もできないでしょ」
檻の中で余裕のマジュラ
「まぁ...そうだな」
「ただ今までの俺ならな」
手を檻に当てる
ビビビ
電気が走る
「何してんのあんた」
「魔術じゃ解けないわよ」
ふっ
「お前は勘違いしているな」
「俺がそこら辺の人間と同格とでも思っているのか」
グッ
網を掴む
「こんな檻...俺を捕らえるには少し脆いな」
バキィ!
マジュラが力を入れると檻がたちまち消えていく
「私は究極の存在と言っただろう」
グッ 矢を装填するニナ
マジュラは手を広げる
「わかるぞお前の気持ちが」
「今にも逃げ出したいのだろう...だが騎士のお前がそれを許さない」
「悲しいな...弱いくせに責任がある立場は」
「あの皇帝の座を投げ出した小僧みたいにお前も楽になれ」
ビュン
バン!
矢がマジュラに直撃する
「陛下の事を知ったふうに言わないで」
「あの方は生まれながらに運命を背負ってきた御方」
「あんたみたいな野蛮人に理解が及ぶはずがない」
シュゥゥゥゥゥ
煙から出てくるマジュラ
「そうか...ならもう何もいうまい」
「一思いに殺してやろう」
ボォゥ
マジュラの手が青い炎で包まれる
「この技はお前も知ってるだろ」
手は青い竜の鱗で包まれ剣を握っている
――竜剣大牙――
ブォン
剣を振るうと空に青い炎が巻き起こる
「ではこの業火でお前の正義を焼き尽くそう」
ジュ!
マジュラの突進は炎を纏う
ニナは弓を引く
(大丈夫ここには最強の騎士ヴィットウェイ騎士団長がいる...私が死んでも残る...炎は消 えない!)
「くっ...」
マジュラが近づくにつれ温度が上がり呼吸がしづらくなる
はぁ......はぁ......
それを見るマジュラ
「おいおい...後ろに下がらないと焼死してしまうぞ!」
ニナは炎風の中必死に弓を絞る
はぁ......はぁ
(うるさいな......集中ができな.........)
ブォン!
ニナの前に炎を振りかざすマジュラ
「死んでくれ......紛物よ」
ボォォォォォ
マジュラの剣は熱を上げ炎が吹き荒れる
――炎断頭ーー
見上げるニナ
「すみません......ヴィットさん」
ボォッ!
ダァァァァァァン!
皇帝の間は炎で埋め尽くされる
部屋中を包む青い炎.........
と赤い炎
「え.........」 尻餅をついたニナは前に立つ男を見上げる
マジュラの剣を悠々と受け止める大男
「すまないニナ、先ほどの少女の治癒に少し手間取ってしまってな」
「団長!」
ニナを守りマジュラを止めたのは
アトロス帝国最高位騎士団「ガイア」団長
ヴィットウェイ・ダリルダンカー
マジュラ
「なっ......なぜ貴様がここに!」
「お前は研究所で始末されるはずじゃ......」
ふっ
笑みをこぼすヴィットウェイ
「何を言う賊め.........」
ガシっ!
止めている左手に力が入る
「我は帝国の剣であるぞ」
「帝国で最も大切なのは帝民や騎士でありそこに住む人々だ」
「その者たちを放っておいて知らん研究の護衛など守る価値などない」
ボゥ!
ヴィットウェイの右手が竜化する
――竜拳――
「消え失せろ」
ボォォォォォォ!
猛々しく腕を振り上げる
ゴフ!
ブォン!
「がふぁ!」
マジュラの腹に右手が抉り込む
赤い炎と共に吹き飛ぶマジュラ
ヴィットウェイは屈みニナを見る
「すまなかったなニナ」
「よくぞ持ち堪えてくれた」
うぅ
涙目になるニナ
「信じてましたよ団長」
「来てくれるって」
ヴィットウェイはニナの頭に手を置く
ポワァ
手から緑色の光が溢れる
慌てるニナ
「団長!私は大丈夫ですからここで魔力を消費しては」
「何を言う」
「大事な仲間の傷を癒すことに躊躇いはない」
「団長......今まで何してたんですか...」
「最初の任務命令以降連絡が途絶えて......」
「すまないな......この国にある組織が介入していると情報を得て」
「皇帝陛下と数人の騎士達のみでうごいていた」
「それって......」
「私は戦力外ってこと......でしょうか」
首を振るヴィットウェイ
「逆だ」
「お前なら帝城への賊に十分に対応できると確信していたからここを任せていたんだ」
「結果、期待以上の戦果をあげて団長として誉であるぞ」
「あとは我が引き継いでいいか?」
「はい...お願いします」
「では通路に先ほどの少女も寝ている」
「合流後議長を捕らえよ」
グシュグシュ
袖で目を擦るニナ
「はい!...健闘を祈っています団長!」
「あぁ」
ニナは立ち上がり通路へと走る
ボォ!
「.........!」
ニナに青い炎が飛来する
バァン!
それを止める赤い炎
「頼んだぞニナ」
「はい!」
「あまり我を怒らせるなよ」
ギロ
「おぉ怖いねぇ」
「老兵は引っ込んどけよ」
青い炎で身を包むマジュラ
「全てが偽物の貴様にはこの鍛え抜かれた力が見えないかね」
ボォン!
赤い炎を身に纏うヴィットウェイ
お互いの炎がぶつかり合う
部屋は青い炎で焼けている
「あんたも準備できてんだろ」
「臨界天のよぉ」
「そうだな...本当に魔術の極意とみなが言うが」
「魔術で体を慣らさないと使えぬとは極意が聞いて呆れる」
..................
「羨ましいぜヴィットウェイ」
「そんな愚痴は強者の特権だもんな」
ヴィットウェイは右手を天に突き出す
「もう終盤だ......出し惜しみはなしで行く」
マジュラは左手を突き出す
「そうだな......お互い思い思いにやろうぜ!」
2 人の頭上に魔法陣が5重に出現する
バシュ!
手から炎が魔法陣めがけて放たれる 魔法陣を通ると炎は龍と化し降り注ぐ
「臨界天」
【テンリュウコウジョ】




