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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
第2章  勇者の鍛冶屋
58/116

57話 デスギフト

帝城前 城壁

爆発と閃光が鳴り止まない

剣と斧が混じり合う


ヴィットウェイの魔術「竜喚」は世界でもトップの攻撃力を誇る

空に魔法陣が出現すると爪、頭、尾が攻撃を仕掛けてくる

上限はなく四方八方から斬撃と炎が辺りを焼き尽くす

対峙した者はその圧倒的攻撃力になす術がない



……だがレストは違った

長年見てきた経験をもとに魔術の要所に最善手をうち応戦する


ヴィットウェイ

「はは……なかなかやるではないか」

だが

ヴィットウェイの周りに魔法陣が出現する

「時間稼ぎ程度だがな」


「グンダ!頭頼む!」


「はい!」

グンダは前に手をかざす


ジャリジャリジャリ


ガシ!

無数の鎖が竜の頭に絡みつく


タタタ

走るレスト

魔法陣から爪と尾が襲いくる



――速度上昇ヴェローチェ――

ユルが魔術を唱える


パパパパ

レストの速さが増す


ジャキジャキジャキ

尾を切り刻み爪の軌道を逸らす

道が開く

見えるは術者のみ


グッ

足に力を加え


一直線に進む

「試させてくれよ……ヴィットウェイ!」

間合いは詰まる

レストは斧を振り上げる


「甘いな」

ビキビキビキ

地面から尾が飛び出る


「危ない!隊長!」

(見えない地中に魔法陣を張っていたのか!)


レストの前に尾が現れ襲う

1秒にも満たない速度

「やっぱな……」

ビュン!


グサ

レストの心臓部分に尾が突き刺さる



……………!

ヴィットウェイが意表をつかれる


突き刺したレストの体の左部分が白い光となり消えていく



――光鎧ルーチェ・デル・アルマトゥーラ――



「やっぱあんた言ってたもんな……心臓を狙うのは流儀だってなぁ!」


ジャラララ


ガキン!

ヴィットウェイの体が鎖で繋がれる

「く……こざかしい」


「こざかしいのはあんただろ!」


尾の影から光を纏ったレストが現れる


「そうはさせん!」

ビキ!

ヴィットウェイの体に竜の鱗が現れる


光が集約しレストの斧は光沢を増す

うぉぉぉぉぉぉおおお!

振り上げる斧は軌道に光を残す


ザシュザシュ!


「な………んだと」


ボト……ボト

落ちていたのは右腕と右足


「あんた関節は守りが甘くなるって言ってたよな」

「身内は……相手にしないほうがいい」



ボロボロ

竜の鱗は剥がれ落ち、魔法陣は消える

ドサ

膝をつき崩れ落ちるヴィットウェイ

……………甘いなレスト


「隊長!」


ビュ!

振り返るとヴィットウェイの背中から突起物がレストに襲いかかる


レストの眼前に尖った物

(これ………は)





…………助かったよ

ゼノ


突起物は鎌で止められていた

「油断しないでくださいよレストさん」


シュパ


突起物は切断される

「あなたもですよゼノ」

刀を振り終えるヒヨル


鎌をしまう

「別に油断してないし」


「グンダこいつを拘束してくれ」


はい!

グンダは拘束魔術を使う


倒れているヴィットウェイを見るレスト


グンダが近づく

「隊長これは一体……」


「あぁ…こいつ……なんで血がでねぇんだ」





帝城 皇帝の間

部屋を壊そうとするニナ

「どうなってんのかしら」

部屋を攻撃するが傷がつかない


マジュラとリリアはお互いに二振りの剣を打ち合う

攻防の中、マジュラの剣は空を切る

(こいつ…当たらねぇ時があるな)

ザシュ

リリアをかすめる


険しい表情のリリア

笑うマジュラ

「どうした…俺を切ってこいよ!」


隙はあるがリリアは踏み込まず一定の距離を保つ

(魔術の種がわからないと………)

(下手に殺して道連れになったりでもしたら…)


一瞬の思考で動きが鈍る


バッ!

マジュラの剣がリリアに振り下ろされる


「やばっ…」


ジャキン!


ポタポタ

血が垂れているのはマジュラの腕だった


マジュラは回避しようとした剣にわざと当たりに行き手を切らせた

ふん!


スカ

マジュラに剣を振るうが後ろに飛び回避される


「ちょっと……」

リリアは後ろを振り向く


「はぁ……もっと考えてやんなさい」

ニナの腕から大量の血が垂れていた


タタタ

ニナに近寄るリリア

「ごめん……応急処置でも」


バサ

腕を振り払うニナ

「大丈夫、まだ戦えるから……」

「それにおかしいの…」


「何が」


「この部屋壊れないし、魔力量も落ちてない」


「……てことは」


「あいつを殺すルールを見つけれないと……勝ち目がない」

「それにあいつ見て」


玉座に悠々と座るマジュラ


「疲れてる様子ないんだけど」



……!

「私閃いちゃったかも」

リリアは目を輝かせる


「どうすんの」


「この部屋から出ればいいじゃん」


「あんたね…」


「よし、そうと決まれば」

タタタ

ドアに向かい走るリリア


タタタタタ

(そもそもあいつのステージで戦わなきゃいいんだ)

トン

ドアに手を置き開こうとする

(まだ勝機はあ……)

バァン!!


……ふがぁっ

リリアは勢いよくドアに顔面を激突させる


ハハハハハ

座りながら笑うマジュラ


「いっつ〜」

鼻を抑えるリリア


弓を構えてるニナ

「ふざけてないでしっかり考えてよ」


「考えてるって!」




…………

一瞬の静寂





ニッ

ニヤつくニナ

「ねぇ……マジュラって言ったっけ?」


「いや違う…新皇帝のマジュラ様……だろ」


「なんで今攻撃しなかったの?」

「この子がど天然かましたのに…まさか笑ってて忘れてたなんて言わないわよね」

「それに攻撃対象の変更が魔術なら自傷すればいいし」

「てことは、発動条件は相手の攻撃…でも攻撃を受けない時間はどうして?」

ビュン

矢を放つニナ


ヒュゥゥゥ


キン!

矢を弾くマジュラ

「何がいいてぇの……お前」


「別に何も……」

「ど天然…私が言うまで攻撃を当てないで私の指示に従ってくれる?」


立ち上がるリリア

「天然じゃないけどわかった」


「じゃあ作戦を伝える……」

「全力で逃げなさい!」


「えぇ!……あぁわかった!」


ドン

立ち上がるマジュラ

「ふざけてんのか、テメェら」


弓をマジュラに向けるニナ

「それはこっちのセリフ」

「そんな小ざかしい魔術……皇帝が聞いて呆れるわ」


「舐めんな!」

ダッ!

マジュラは勢いよく飛び出す


ビュン

矢を放つニナ


ビタ

マジュラは動きを止め矢を受けようとする

「はは、やっぱり撃つんじゃねぇかよ!」


ニナは腕を前に出す

「フールトリック」

ぎゅ

手を握る

パァン

矢は弾け部屋中に散乱する

「ごふっ……ごふ」

マジュラは目をつむり咳き込む

「なんだこの小細工は」

あたりは白い光で不透明


あんたの魔術は看破した


「なんだこの声は!」

頭に流れるニナの声


皇帝陛下には少し皇帝の座は荷が重いのではありませんか


白い光の幕の中に影が現れる

「そこか!」

スカ


まぁまぁ落ち着いてくださいな

正直この技がこんな効果覿面こうかてきめんだとは思いませんでした

強者つわものなら自身の魔力感知で突破されるのにあなたは………ふふ


でもあなたの魔術もたいした物ですね

大人数であればあのヴィットウェイ騎士団長も倒せる………わけないですね


はぁ…はぁ

辺りを見渡すマジュラ

「くそ…」


やっぱあの虚勢は魔術に誘き寄せるためでしたか


「オラ!……出てこい!」

無闇に剣を振り回すマジュラ




かすりもしない



時間は過ぎる

辺りの光は落ちることなくマジュラを惑わす



時間と共に表情が荒くなるマジュラ



床の印にあなたの戦闘スタイルから

1人5分ってところかしら



マジュラの表情が曇る



当たりならもうそろそろ



マジュラは全方位を警戒する


あ………もう時間ね

いいよやっちゃって



剣を構えるマジュラ

「ふざけ……」


ザシュ



コロン


サァァ

光ははける

部屋にはリリアとニナと転がる生首



「あの風貌に肩書きにまんまと踊らされて釈然としないわね」

弓をしまい布で腕を縛る


「そんなことない……ニナがいなかったら私死んでたよ」

「ありがとう」


口で布を縛りながらリリアを見る

「ふん、まだあんたが言ってたヴィットさんを殺すやつが見当たらないから」

「協力してよね」


「うん」





…………!

「離れて!早く!」

ニナの呼び声が響く


は!

呼応しリリアはニナの元まで下がる


2人の目の前にはマジュラの死体


ギュルルル


死体が踊り出す


「何あれ」


ブシャ

切断面から黒い液体が吹き出る


「デスギフト」

ニナがつぶやく


「え?デスギフト?」


「えぇ、私も聞いただけなんだけど」

「死んだ瞬間に魔力を一斉に集約させて上位魔術を発動させる禁術」


……は!

リリアはアモグア村で起きたあの人狼を思い出す


「それって生き返るってこと?」


首を振るニナ

「いいえ、デスギフトは発動するかは様々な条件がそろう時のみ確率は50%もいかない、しかも発動しても生きてられるのは1時間だけ」


マジュラはグチャグチャの液体になる


「じゃあ1時間待てば消えるってこと?」


「何言ってんの!」

「1時間も暴れられたらどれだけの被害が生まれると思ってんの」

「これは1秒でも早く殺すのがいいってこと」


ダァン!


「なっ!」

2人の背後、大扉が何者かの衝撃に弾け飛ぶ


「あれは!」

ニナの上空には腕と足がない物体が飛来する

「ヴィット……さん?」



ヒュゥゥ


ぽちゃん


その飛来物はマジュラの池へと落ちていく

ヌプヌプ



プクプクプク

池から気泡が溢れる


バシャァ

池から突如として現れた男


「ふぅ……」

長髪をかきあげる


スゥ

2人をみる

「あぁ……またせたね」


武器を構える2人

ニナ

「あんた……誰?」


う〜ん

顎に手をあて考える

「そうだな……悩む」

「我は皇帝であり騎士団長でもある」

「ヴィットウェイでありマジュラでもある……まぁいいか」

「我はヴィットウェイでありマジュラでもある者」

「異論は認めない」




グググ

弓を絞る

「そう……じゃ言うけど」

「あんたはヴィットウェイ騎士団長でも皇帝でもない」

「ただのクズ野郎だよ!」

ビュン


ジュン

マジュラは消え、跡が焦げる




反抗するか小娘め

スゥ

手をニナに向ける

「死ね」

……ガバ!

ニナを抱きながら横に全力で飛ぶリリア


目でおうマジュラ

「ほう……我の目を欺くとはいい度胸だ」


「え……」

リリア越しにニナが顔を覗かせる

マジュラの前にあった壁は全て灰燼かいじんとなっていた


「あれって………ヴィットさんの魔術」


「あなたは下がってて」

リリアがマジュラに体を向ける

「あんたが誰であろうと殺す」

「反乱軍も議長も全員私が殺してあげる」


ハハハハ

笑うマジュラ

「虚勢もここまでいくとすごいな」

「我を見て殺せるというか貴様は」

「このみなぎる魔力と洗練された魔術」

「あやつは魔術しか使えぬ複製と言っておったが……今となってはわかる」

「私は使えるのだな」


臨界天を……


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