54話 目的
「何言ってんの皇帝陛下はあんたじゃない」
睨むニナ
「い〜や今の皇帝は俺だよ」
「さっき前皇帝君から任命されたし……ほらこれ」
マジュラは紙を取り出しニナの前に投げ捨てる
「これは…」
紙を拾い読む
「…グラディス皇帝の魔力印」
はっはっは
笑うマジュラ
「そうさ!魔力印は複製不可能」
「ってことはだなぁ」
「俺が皇帝になっちまったんだよ」
大笑いするマジュラ
「最初からそういうことだったんだよ」
「反乱軍もこの戦争も後継が皇帝と帝国議会の指名制であるこの国を乗っ取る」
「捨て駒だったってなぁ!」
ビリ
紙を破り捨てるニナ
「そんな事誰が認めるの」
「皇帝が指名制なのは血筋による代替えをするための儀式みたいなもの」
「あんたみたいなまがい物に誰がつかえると思うの?」
「空虚の国は国といえるのかしら?」
「だから言ってんだろ」
「俺が皇帝ってことは……」
「俺もアトロスの血を引いてんだよ」
「それに軍事力も前とは比較ならない……ていう理由で議会の皆様には納得してもらったわけ」
「ちょっといいかな」
割り込むリリア
「そういうことだったのか……」
剣を突き出す
「どうでもいいけど私」
「皇帝と議長殺せって言われてんの……だからさ」
殺されてくれる?
ふっふぁっふぁ
「俺を殺すってことは帝国反逆罪で世界から指名手配されるんだぜ」
ふふふ
笑うリリア
「何言ってんの……覚悟はとうに決まってる」
「あんたは下がってて」
ニナに指図する
「あんた……本当にやる気なの?」
「血筋が本当ならやつは本物の皇帝になってしまう」
「戦ったら理由はどうあれ勇者秩序に狙われる可能性もある」
前へ出るリリア
「だから何度も言わせないで」
覚悟はできてる
「それに前皇帝が戻ればこいつはただの賊に戻る……違う?」
「それは……そうだけど」
「どこかに監禁されてる前皇帝を見つけて」
「これを殺せば万事解決…でしょ」
イヒヒ
笑うマジュラ
「まぁ準備運動にはいいかな」
「言っておくけど手加減しないよ」
生意気な女は嫌いなんでね
ふふふ
笑うリリア
「私は手加減してあげる」
「すぐに殺しちゃ可哀想だし…私」
あんたみたいな男は大嫌いなんでね
ちっ
「口のヘラねぇ女だなぁ!おい!」
マジュラは二振りの剣を構える
「んじゃ始めるか」
「ディッツ、ニナ!」
「あんたらは早くみんなに知らせて」
ディッツ
「はっはい!」
急いで部屋を出るディッツ
…………
ニナは返事を返さない
リリア
「ここは私がやるから早く…」
ガチャガチャ
ニナは瑠璃色の弓を展開させる
「何言ってんの……」
「騎士じゃないあなたにあそこまで言われて黙ってるようじゃ」
「帝国最高位騎士団の名が聞いて呆れるわ」
「いいの…本当に」
「どっち道負ければ死ぬ……死ぬわけにはいかないなら残された道は」
「協力して勝つだけでしょ」
マジュラの剣が光り出す
「いいね…じゃ新皇帝がどれだけ強いか見せよう」
ピカピカピカ
部屋に斑点模様が浮かび上がる
丸い紋様から出るリリア
「気をつけて今一瞬で部屋全体に微量の魔力が充満した」
弓を絞るニナ
「どうも……言われなくてもわかってる」
ビュイ
光の矢はマジュラめがけて飛ぶ
ふっ
バーーン!
マジュラにあたり爆発した
「手応えがなさすぎ」
弓を再び構える
「危ない!」
え……
リリアの呼び声に反応し上体を逸らす
グサグサ!
「がはっ………」
ニナの腹部に2本の矢が刺さる
う………
腹を抑えるニナ
(なんだ今の……)
「ふぅ……ふぅ」
息が荒くなるニナ
さぁ終幕だ
ニナの目の前に剣をあげるマジュラ
ブン!
…………
「なかなかじゃないの君も」
間にリリアが割り込む
「どうだかね」
ブン!
剣でマジュラを跳ね除ける
間合いをつめ近接に持っていくリリア
両者二振りの剣で応戦する
絶え間ない斬撃
決定打に欠けるリリア
(こいつ……魔道具だけでこんなになるはずがない)
ギィン!
リリアの剣がマジュラの剣を飛ばす
ニヤ
リリアの剣がマジュラに届く瞬間…
マジュラは笑う
ピタ
剣を止める
…………ふっ!
ドゴォ!
リリアは柄の部分でマジュラの横腹を殴る
タラー
リリアの口から血滴る
フラッ
リリアの意識が一瞬飛ぶ
…………は!
目の前に拳が襲う
ドッ
ダァァァァン!
後方へ飛ばされる
ビュン
矢が飛ぶ
剣ではじく
「あら…今度は受けてくれないの?」
「寂しいな」
お腹に血が滲むニナ
「あれ受けてもう一回とか……イカれてんのかお前」
両者笑う
弓を絞る
「そうね……多分イカれてると思う」
グイ
上を向く
ビュン
ヒュゥゥ
ドォン!
矢が屋根に当たる
ダッ!
と同時にマジュラがニナに切り掛かる
ブン!
キーン
剣が弾け合う
「助かったわ…どうも」
ニナが軽口を叩く
「どういたしまして」
ふっ
マジュラは逆の剣で切り掛かる
ニナは後ろに飛ぶ
リリアは静止
剣がリリアの首を捉える
(こいつ…なぜ避けない)
ザシュ!
な!
マジュラの目の前からリリアは消えていた
「どうなって………」
グル
マジュラの視界は上を向く
………は?
ビュン
ドォォォ!
「ナイス背負い投げ」
ニナが笑う
「今のでわかったね…あいつの魔術は」
「部屋に仕掛けがある」
「そうね……もっと暴れましょうか」
3番通り 郊外
鎌が異形の速度を捉えてくる
(こいつ私の超加速に追いついてる)
鎌を巧みに使う
刃、持ち手と状況に応じて使い分ける
究極生命体「メディスノヴァ」へと変貌したルキは髪を無数のムチにして攻撃する
「死ねぇ!」
バチバチバチバチ
一本一本が地面をえぐる
ゼノは後ろへ下がり黒髪へと変わる
シュン
シュン
シュン
網をかい潜りルキの元へと到達する
(この黒髪さっきの速度の比じゃない!)
ヒヨルの目は研ぎ澄まされ全てを捉える
(やけに周りが穏やかです……あぁいいなこういうの)
刀を構えルキの全身に斬撃を加える
ふん!
ザシュザシュザシュ!
ルキの右腕は切り落とされる
「舐めんなぁぁぁああ!」
足が刃になり振り上げられる
………キィィィ
(なんだ!)
足は途中で動きを止める
「もらった…」
ザァン!
胴体両断
ルキの足には黒い糸が巻き付けられていた
(あぁそうか……あの前髪のガキが遠隔で魔術を……)
(なぜ……せっかく適応したのに……)
………ボト
シュゥゥゥゥゥゥ
死骸は煙となり消えていった
「ありがとな黒髪さん」
ゼノは鎌をしまう
「いえいえ私こそ助けてもらってありがとうございます」
「あぁそうだ…自己紹介がまだでしたね」
「私ヒヨルって言います…よろしくお願いします」
……
ゼノは一呼吸おいて
「あぁよろしく」
「僕はゼノ、よろしくねヒヨルさん」
「……でこの後どうしよっか」
ふふふ
得意げに胸を張るヒヨル
「まっかせてください!」
「ここから帝城へ行きラジェナって人を討つそうです」
「ラジェナ……まぁ帝城いくのは決まりだな」
「行こうか」
「気になることもあるし、早いとこ隊長に伝えないと」
(ディファンも繋がんないし)
エリックからの伝言を何一つ覚えていないヒヨル
2人は帝城へ急ぐ




