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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
第2章  勇者の鍛冶屋
54/116

53話 マジュラ・ディグノー

危険因子収監所 通路


「ここから収監されている人たちがいるエリアになります」

「その前に看守室に行き鍵を取ってこないと入れません」


エリックはカバンから取り出す

「なぁタフノここはどんな魔術式で施錠してるんだ」


「えぇ……と」

「確かエルディッチ魔術式をベースにトルイト錠形式で暗号化しています」

「それに3代認証で扉と牢屋の鍵は別扱いになっています」


???

アンスの頭はハテナで埋め尽くされた


エリックは座り込みカバンをあさる

「なるほど……腐っても研究機関ってわけか」

「なぁタフノ看守室にはどれくらいかかる」


「そうですねぇ…収監所と看守室は鍵のこともあり逆方向なので」

「ここから10分収監所までは15分ってとこでしょうか」


「ならこっからは5分ってとこだな」

「よし収監所まで行こう」


え!

「あのだから鍵がないとですね…」


カチ

エリックは魔道具を取り出す

「これが鍵だ」


脱帽するタフノ

「はぁ……………」



タフノ案内の元収監所へと歩く

その間もエリックへの連絡は尽きない


「ふぅ……どうにかどうにかだな」

「べネスも帝城前で解散したか……」


「大丈夫かエリック」

アンスが声をかける


「え、あぁ…心配すんな作戦は進んでるよ」


「そうじゃなくて」


……………?


「お前自身のことだよ」

「さっきから色んなやりとりで脳みそフル回転だろ」

「作戦途中なのはわかるがメリハリもしっかりつけろよ」


ハハハ

「何言ってんだよ、俺の代わりに戦ってる奴らの方がよほどきついだろ」

「だから俺はそいつらの信頼を裏切らないために脳が焼き切れるまで思考を回転させるまでだよ」


「そうか…ありがとな」


「いえいえ」


「着きましたよ」

「ここが収監所です」


アンスがつぶやく

「思ったより…綺麗だな」


3人の前には白い壁に扉

上には四角い装置が取り付けられ下に「材料室」という名札

言われなければ人が捕らえられているのは気づかない清潔さがある


「よしやるか」

扉の前に座りカバンを漁るエリック

四角い魔道具と管、画面の下にボタンが大量に付いている魔道具を取り出す


アンス

「それはなんだ?」


「あぁ……これは開錠するための魔道具だ」

「この丸い装置に魔力を打ち込む」



アンスは四角い魔道具を指差す

「それでか?」


「あぁそうとも」

「施錠してある魔術式は魔力出力、順番、効果範囲、元素魔術」

「この要素を正確に打ち込まないと開錠できないようにされてんだ」


タフノが付け加える

「その4つの要素の組み合わせは無限大です」

「これを解き明かせるのは鍵にかかっている微量の魔力残穢まりょくざんえから魔術式と知っていれば暗号化されている種類から解きます」


アンスはわかったふりをする

「へぇ……タフノはできるのか」


手を大振りする

「いえいえ!できないですよこんなの」

「魔術開錠は本当に憶えるのが難しいんですから」

「普通の部屋でも面倒なのにこんな研究所の重要な場所なら特に……」



カタカタ


エリックは無言でボタンをはじく


タフノが見つめる

「魔術開錠なんて一般の魔術みたいな生まれ持った才能ではなく」

「知見と勉学の賜物ですから魔術と言っても性質は正反対ですよ」


アンス

「じゃあ…エリックはその勉強をしたってことか」


「ただの勉強ではないですよ」

「開錠ができるってことは施錠にも精通しています」

「これができるなら……王族、騎士団に重宝されます」

「……気になってたんですがエリックさんはどっからきたんですか」


「あぁ……しらねぇな」


「はは…………そうですか」


ボタンの音が鳴り止まず待つこと数分


カチッ!

ふぅ

額の汗を拭くエリック

「よし……なか入るぞ」


「もう……解いたんですか?」


道具をしまうエリック

「まぁな……こっちの方が速かったろ?」


「えぇ……行きましょうか先に」

タフノは考えることをやめる


3人は部屋の中に足を踏み入れる




ササササササ

帝城内部を忍足で徘徊する怪しい影

「ねぇここどこなの」


「しーー、いいから付いてきなさい」

「フードかぶって私の後ろにいなさい!」


影から現れた灰色の縦ロール最高位騎士団 ニナ

黒のローブをかぶる2人 リリアとディッツ

小声

「リリアさん…いざとなったら守ってくださいよ!」


「はぁ…だから帰っていいよって言ったじゃない!デンツ」


「あそこから帰るって……すごい怖いじゃないですか!」

「それに俺はディッツです」


「うるさいあんた達!」

一喝される2人

「いい?皇帝の所まで戦闘は避けたいの」

「ここであんたらがバレたら私も賊になっちゃうのわかる!」


「「はい……」」



帝城内通路を歩く

石レンガ作りの外壁

足元は赤い布に金色の線が入っているカーペット

横には大きなガラス帝城外が見える


カツカツ

ニナは帝城外を見る

門の前から轟音が聞こえてくる

「もうそこまで…………アトロス騎士団が聞いて呆れるわね」


奥から騎士が歩いてくる


歩き始めるニナと2人




通路をすれ違う



「ちょっといいかしら」


ピタ

騎士は止まる

「なんでしょうか」


「皇帝陛下は今どこにいるのかしら」



「……申し訳ありません」

「私はこれより司令部へと向かうので」


「あっそ……ごめんなさい急いでいるのに」


「いえ……」

騎士は歩く


ニナは少し歩くスピードを上げる

「どうなってんの……ヴィットさん」


ピカ


!!


ガラスから眩い閃光が溢れる


「走るよ2人とも!」

走るニナ

行くさきは皇帝がいると思われる……皇帝の間


走る3人

リリア

「ねぇさっきの騎士はどうするの」


「どうもこうも…今構ってられないから放置」


ディッツ

「あの騎士がどうかしたんですか?」


ニナ

「あの騎士はおそらく帝国騎士じゃない……」


「えぇ!そうなんですか!」


「だってこの有事の際、帝城でうろついてる時点で怪しい」

「皇帝に危険が迫っているのに司令部にいくなんて……ディフォンで連絡すればいいし」

「それに帝城配置じゃない私を見て素通りなんて明らかに作戦を知らないもしくは…」


「あっちも関わりたくなかった」

リリアが割って話す


「そういうこと」

「私たちもここでのいざこざはマイナスしかない」

「あっちも気づいているけど本来の任務のためなら少しの違和感を許容せざるおえない」


「そうなるとやばいってことですよね……」


「やばいなんてもんじゃない」

「帝城内に賊が入ってきてる」



「……たく、他の奴らは何してんのか」


3人は走る

他には目もくれずに皇帝がいるであろう場所を目指して

階段を登り右へ左へ

外から聞こえる戦争の音を聞き流し



「ついた……」

3人の前に大扉

豪華な金色の装飾は異質を放っていた

扉の上には竜の頭が飾られている

場内に光はなく差し込む月光が辺りを薄く照らす


扉に手をかけるニナ

「いい二人とも、まず私が説明するから黙っておいて」

頷く二人

「もしものことがあったら……あなた達だけでも逃げなさい」


リリア

「それはできない」


「なんで……あなた達の目的は国を救うことでしょ…」

「なら私を盾にして状況を一刻も早くヴィットウェイ騎士団長に届けるのが最善でしょ」

違う

リリアは反論する

「私たちは国を助けるんじゃない」

「あなた達……帝国騎士団と協力して困ってる人達を救うことが今回の作戦なの」


ふっ

微笑するニナ

「じゃあ、困ってる人を救えるなら国は滅んでもいいってわけ?」



リリアは頷く

「大切なのは外見じゃない、そこに生きて人生を歩む人達」

「国なんていくらでもやり直せるけど人は死んだらそこまでなの」

「死んじゃったら……新しい思い出も作れない」


「思い出ってあんたね……」

「まぁいいわ……じゃあ作戦変更ね」


ニナは二人を見つめる

「何がなんでも見た情報を……」

「3人で持ち帰りましょう!」


「うん!」「はい!」



ギィィィィィィ

大扉が開く



開けた空間

豪華な部屋にある一つの玉座

装飾は全てその玉座を引き立たせるための道具…皇帝への敬意の表れ



……のはずだった


「あんた…………誰」

ニナは目を震わせる


リリアは武器を構える



目の前の玉座に座っていたのは皇帝……ではなく

見知らぬ男

腰に魔道具らしき剣を2本携え前屈みで座っている

「誰って悲しいねぇ……じゃあ自己紹介するから忘れるなよ」

「俺は反乱軍の元頭目にしてアトロス帝国現皇帝の…」


マジュラ・ディグノーである



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