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勇者が死んだ罪と罰  作者: 吉
第2章  勇者の鍛冶屋
53/116

52話 特異魔術

「これは…趣味が悪すぎじゃないか」

「いくらなんでもよぉ!」

激昂する騎士位3席隊長レンス


帝城 門前

到着したレスト達の眼前には

焼けた大地

えぐれた城壁

焦げた焼死体


その地獄を作った人物は考えるまでもなくそこに立っていた

レストは目を凝らしその名を呼ぶ

「はぁ……なんで……なんでこんなことするんだよぉ!」


「ヴィットウェイ!」


振り向くヴィットウェイ

「やっと来たか……遅かったなレスト」

「なんでだと……私は命令したはずだ」

賊を討てと



大声を出すレスト

「賊って……あんた…ここにいたのは」


……………


「お前の仲間だろうが!」


ブゥン

剣をレストに向ける



剣先のレスト

「な……どういうつもりだ……剣を向けるってあんた」

「やる気なのかよ……」



ふっ

笑うヴィットウェイ

「さぁな……どうだろうか」

「我は今、ひどい悪夢から覚めたように心地いい」

「皇帝の剣として生きていたが……どうだろうか」

「一振りで消える物に守る価値があるのか疑問にも思える」

「さぁ……」

「答えをくれ……レスト」


「臨戦体制!」


レストの言葉で武器を構えるグンダとユル

「隊長……やるんですか…本当に!」


「レスト……いいよ……命令して」


斧を構えるレスト

「帝国転覆の罪でこれより騎士位3席「ライゴウ」隊長レスト・ヴァロンの名において」

「アトロス帝国騎士団長ヴィットウェイ・ダリルダンカーをこの場で死刑に処す」

「いくぞ!」



通路の一角

アンスと研究員のタフノが立っている

「一ついいですかアンスさん」


「おっなんだ?」


「エリックさんていつもああなんですか」


「ああって……なんだよ」


「いやその……一方的というか自己完結みたいな」

「ほら……今の状況だって、ここで待って言われて何分経つんですか」

「時は一刻を争うのに」


頭の後ろで手をくむアンス

「まぁ俺も最近知り合ったばっかだけど」

「意味はわからねぇが意思はわかるって所だな」


はぁ

ため息をつくタフノ

「意思ってそんな曖昧な」


あ…………


エリックが戻ってくる

「悪い、待たせたな」


「で…何してたんだよ」


「なんだアンス……気になんのか」


「あったりまえだろうが」

「師匠に会えるって時に時間作ってやったんだからな」


「あぁ、さんきゅさんきゅ」

「端的にいうと定時連絡…今改革軍の全体の状況をシャンザのねぇさんから聞いてたんだ」


思いを返すアンス

「シャンザ……あぁあの強気なねぇちゃんか」


「そう……報告は良い知らせじゃなかったが」

「まぁなんとかなんだろ」


2人はエリックの顔を見る



……………じゃ行くか

「「いや待てい!」」


「なんだよ揃って気持ちわりぃな」


アンス

「今の文章に続きはねぇのか!貴様は!」


タフノ

「そうですよ!なんで10の内3くらいしか言わないんですかあなたは!」


熱量に押されるエリック

「えぇ……そこまで言われるとは」

「そんなに聞きたいのか?別に聞いても変わらんぞ」


じーーーー

眼力がエリックを突き刺す

「わかったよ……じゃあ」

「改革軍総数2千人の内半分が消えた、もしくは殺された」


え……

言葉を失うアンス

「それ……じゃあ作戦は失敗なのか」


ぐしゃぐしゃ

頭をくしゃるエリック

「だから……失敗じゃねぇ」

「俺がそう仕向けたんだよ」


「おま…………」

呆然とするアンス

「まさか…作戦考えた時点で死ぬやつを決めてたのか」


「違うそうじゃない……」


「じゃあどういう意味だよ」


「死ぬやつを選んだんじゃない」

「死なせないやつを選定したんだ」


「はっ……意味がわかんねぇ」

「てことは死なせない奴のために死んでもいいやつを決めたのか……お前は」


はぁ…

顔を手で覆うエリック

「お前の気持ちもわかる……俺だって皆が生きて終わる結末なら良かったって思う」


「じゃあなんで……」


「なんで……か……」

「それが勝つ道なんだ…こればかりは俺の知能がもっと優れてば…な」

「相手は国家を裏で操る研究機関とそれに与する反乱軍…」

「数だけで見れば戦力は圧倒的に相手の方が上」

「それに加えてやばい研究、それにヴィットウェイを凌ぐ力もあるって情報だ」


「じゃあ俺たちは何ができる……そう考えた時に思いついたのは」

「適した人材に適した戦場、そこから導き出される情報から…」

「敵をも味方につけ…黒幕を叩くのが最善手だった」


「だから国に散らばる反乱軍、研究機関の魔生物の相手は改革軍に任せるしかなかった」

「たとえ人知れず命尽きようともな」


下を向くエリック


口をひらくアンス

「じゃあ」

俺はどっちなんだ……


アンスはエリックを見る


「それは…………」

まだ言えない


無言の間が通路を覆う



「そうかよ……」

「でもよ……このままいけば国は……アトロスは救われるんだよな」

ドン

エリックの胸に拳をおく



エリックは顔を上げる

「あぁ…それだけは約束する」


ニコ

アンスは笑う

「最初からそれを言えってんだよお前は」

「頭がいいのに要領はからっきしだな」


ハハハ

エリックは苦笑い

「あぁ……よく言われる」


アンス

「じゃあ…この後はいよいよか」


エリック

「あぁ…勇者の鍛冶職人ガレンに会いに行こう」





黒い線と黒い線がぶつかる

衝撃波は付近の建物に被害が伝播する


火花が散る

風が吹く

「これは……どうだろう」

被験者66「デビル」と融合したルキ

「やっとお披露目できる」

額から生えるツノは紫色に輝く

「死んじゃってね」


ビカビカビカビカ

光り輝く紫は全身をおおう


ヒヨル

「なんか…魔力が分散されてますよ……」


ゼノ

「それは…………」


ビュン

――魔術 超加速――

ゼノの背後に回る

拳をため…放つ

(もらった)


ギィン!

「ち……小娘が!」

刀で受け流すヒヨル

「詰めが甘い!」

拳を弾いた刀を風の魔術で強引に戻す

ブン!


「がはぁ!」

ルキの顔面に刀の峰が殴打する



ダダダダダ…ダダ…ズサァ

川切石のように弾むルキ


「どうしたんですか戦闘中にボーとして」


ゼノは振り返る

「あぁ悪い……ただ今の魔術」

「数年前に死んだ同僚と同じだったもんでな」

「しかもそいつが使ってたのは特異魔術なんだ」


ヒヨル

「特異……」

(前エリックさんに教えてもらったやつですか)



―――――――――――――――――――

宿場町から王都への移動中

馬車内にて



リリア

「それにしてもヒヨルの魔術っていいよね」


「え?なんでですか」

「リリアの方がかっこいいじゃないですか」


「えぇ……そうかな?」

「だってヒヨルの魔術って元素魔術じゃん」

「やっぱそっちの方がかっこいいよ」



・・・


ヒヨルは首を傾げる

「元素魔術ってなんですか?」


え…………

「知らないの?基礎中の基礎だよ?」


エリックは後ろを向く

「そうせめてやんなよ……こいつはあれだ……バカだから」


リリアはゆっくりヒヨルを見る

ハハハ

愛想笑い


むぅ

ヒヨルは涙を堪え声を荒げる

「いいじゃないですか!知らないものは知らないんだからぁ!!」



途中馬を休憩させるついでに授業をする3人

切り株に座る2人

立っているエリック先生

「いいかバカ共…よぉくきいといてな」

先生口調で喋るエリック


ピシ

手が上がる

「はい、リリア君」


「先生「は」バカで根性なしで変態なんですけどこの場合はどうすればいいですか」


間髪入れずにエリックは反撃

「そうだな……では君は退学お疲れ様でした」


「先生こそ、そのキモ生命体みたいな髪型やめたらどうですか?」


「あのね君……」

「今俺の髪は関係ないと思うんだけど」


「そもそも最初から普通に授業してみたらどうですかキモ生命体の付属品先生」


「あぁなんだお前……やんのかぁ」


「えぇ上等よ!かかってきなさいよ」

睨み合う2人

「ちょっと!」

割り込むヒヨル

「私のための授業なのになんで2人が言い争いしてるんですか!」


ふん!

そっぽをむく2人

これは昼食で起きた事件が尾を引いているのだがそれはまた別の話


ヴヴン

咳払いをするエリック

「そうだな……では授業を始める」

「まず魔術とは人の魔力から発せられる事象を総称したものである」


「「へぇ〜」」


「その種類は多岐に渡り今まで一回しか確認されていない魔術もあれば複数回確認されている魔術などさまざまである」

「ここで一つ「血統種族」という生まれ持った魔力体質はあるがこれはややこしいので今は別だと思ってくれ」


ふむふむ

メモをとるヒヨル


「先ほどヒヨルが言っていた元素魔術とは何か」

「まぁ簡単に言えば魔術の種別の総称であり世界で1番出現率が高い魔術である」

「魔術の枠組みは「元素魔術」「事象魔術」「特異魔術」に分かれる」

「んで3つの特徴は…」


・元素魔術

火・水・風・大地・身体に干渉できる魔術

世界での発現率が1番であり、扱える範囲、用途は様々

臨界天は確認なし



・事象魔術

魔力が物体、現象を作り出し作用する

種類は一人一人違うが血筋により似たような魔術が発現する

全く別の人間からも同魔術の発現が確認されている

臨界天確認あり



・特異魔術

世界で同じ魔術は確認されておらず過去にも発現例はなし

世界魔術登録機構に発現時提出される時に認定される

歴史的にみても特異魔術は一点物であり認定された後に同じ魔術が発現した例はない

臨界天確認あり



「へぇ…知りませんでした」

感心するヒヨル

「では特異魔術って認定されたら自分以外はもう出現しないってことですか?」


指を立てるエリック

「そうだ…これは不思議なことでな…まだ解明されてないんだ」

「それに特異魔術ってのは当たりハズレがひどくてな」

「まぁ…説としては魔王討伐前後で世界の魔術は大幅に変革されたってのもある」



リリアを覗き見るヒヨル

「リリアも特異魔術ってことですか?」


はぁ

ため息を漏らすリリア

「だったらよかったけど……」

「私は事象魔術なの……本当にどこの誰が私の魔術をマネしたのやら」

お前だろマネしたのなら

ギロ

睨むリリア


ヒョイ

目をそらすエリック


「ふふ……」

「でもいいじゃないですかリリアの魔術」

「すごく頼りになりますし」


「そうね…もっと頼りになるから見てなさい!」


2人は笑い合う


――――――――――――――――


ヒヨルは飛ばしたルキを見る

「ではあの人は亡くなった……人ですか?」

違う!


「俺はこの眼で見たんだ」

「あいつが死んだ瞬間……弔ったのも俺らなんだ」


ルキが立ち上がる

「ふう……やっぱりだ」

「もっと使いこなさなきゃ」



刀を構える

「ではあの人は……一体何者なんですか」


ルキは不敵に微笑む


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