49話 究極体
「出口は…ありそうだな」
辺りを見るエリック
「速いとこ出ようぜ…なんか出てきそうだ」
身をすくませるアンス
「まぁ出るだろうさ、ここは廃棄場だと思うしな」
「なら出よう…すぐに出よう」
2人は歩を進める
全体はドーム状になっており天井にはうっすらと穴がいくつか見える
各部屋のダストボックスがここに通じていると推察される
周囲の山の中には廃棄された機材などが散らばっているが中には人間と思わしきパーツが転がっている
歩くエリック
「このドームの大きさから考えて…かなり大規模な実験もしくは複数の部屋が必要な展開される実験があったと推察される」
「どうした急に説明口調になって」
「あぁ…気にすんないつも状況整理する時脳を言葉にしてスッキリさせてんだよ」
「バカにされるからリリアとヒヨルにはいうなよ」
「あぁ…わかったよ」
(バカにしないと思うけどな)
「襲ってきた魔生物は魔獣「デロッダラ」の合成種か魔獣の因子を人間に無理やり注入したディスライフ……もしくは新た合成生物か」
「ただ帝国を裏で操って、こんな研究所も作って、内戦なんて大掛かりな舞台も用意して……それに見合う実験ってなんだ」
「仮に世界を襲う魔王級の魔生物が作られるなら…いやまだ世界に進むには時期が早すぎる」
喋りが止まらないエリック
それを見ているアンス
(なんかめっちゃ喋ってるけど……一言もわからん)
タッ
エリックが立ち止まる
「それなら………ありだな」
「ようやくおさまったか……でこれからどうする」
「作戦変更だ」
「まぁ…こんな状況じゃ仕方ないな」
「……で何の作戦にするんだ」
エリックはアンスを見つめる
……………
お前の師匠に会いに行こう
…………おう?
アンスには作戦が変更されているとは思えなかった
3番通り ヒヨル&ゼノVS反乱軍ルキ 首なし
はぁはぁ……
「どんだけいるんですか、この首なし達は」
襲いかかる集団を斬り続けるヒヨル
「そんなの僕に聞かないでよ」
ヒヨルのカバーをするゼノ
「ただ……確実に増える頻度は遅くなってる」
2人は時間経過と共にお互いの呼吸があってきていた
ザクザシュザクザシュ
次々と首なしが切られていく
背中合わせになる2人
「まぁ、このままいけば勝つのは僕らだ」
「そうですね、あのムチの人までもうすぐです」
戦う隙間からルキは苛立つ
「なんかすごい良い雰囲気だな……むかつく」
「そのキモい友情ごっこ…壊したいな」
バチバチ!
ムチが地面に弾む
「出ておいで、被験者66「デビル」」
魔法陣が浮かび上がる
ゴォォォォォ
その上に異形
全身に魔石が埋め込まれ
顔がからツノが2本生えている
全身黒く魔石の黄土色が鈍く光る
背中に羽、両手に鋭利な爪を持つ全長3mはある生物
ヴァァァァァァアアアア
デビルの咆哮が町中に響き渡る
ピタッ
首なし達の行動が静止する
グニョ
ビュン!
首なし達液状になりデビルにまとわりつく
ゼノ
「なるほど……ムチが魔道具ってわけか」
「はい…しかもこの音で周辺が騒動になっていないとなると」
ギュウ
ゼノは鎌を強く握る
「絶対に殺さないと」
バッ
ゼノの前に手をだすヒヨル
「わかってます……でも今は感情に身を任せるのは危険です」
手をどかすゼノ
「大丈夫だよ、心はいつも冷静に」
「嫌って程教わった事だし」
ヒヨルは微笑む
「良い師匠さんに教わったんですね」
「あぁ…頼りになって……兄貴みたいな人だよ」
バチンバチン
「そろそろいいかなぁ」
「てかさっきからお仲間ごっこしてて気持ち悪いんだけど」
「いいよねぇ、あんたらみたいな恵まれた奴らは」
「さぞ人生が楽しいんだろうなぁ」
「人に恵まれ、環境に恵まれ、仲間に恵まれ……そんでみんなから好かれてさぁ」
ヒヨルは一歩踏み出す
「何言ってるんですかあなたは…」
「そんなに恵まれてたなら…こんな戦場にいませんよ」
ゼノ
「同感だね…僕も恵まれてたらこんなとこにいないし………他の人に比べたら恵まれてないかもしれないけどさ」
「あんたみたいに不幸でもねぇわ」
ヒヨル
「いいこと言いますねあなた」
「そうですよ、恵まれてなくても気持ち次第で何とでもなる」
「あなたが恵まれてないって感じるのは」
「性格が下向いてるからじゃないですか?」
ルキは体を小刻みに振るわす
「そうだった……恵まれてるやつは無自覚に人を傷つける」
「そうだよ、そういう奴らを殺すために不幸を受け入れたんだった」
バチンバチン
「破れ……デビル」
ディアァァァァァァ!!
襲いかかるデビル
武器を構える2人
「僕が合わせるから好きに戦って!」
「はい、ありがとうございます!」
デビルは右腕を振り下ろす
ダァン!
地面をえぐるほど腕力
だがヒヨルは受け流す
「とろい!」
ザクザクザク
ふところから右手に乱斬撃を繰り出す
グゥアアアア
グッ
ヒヨルは刀を構え直す
横から左手が襲いかかる
ジャキン
「ダメだよ」
ゼノの一太刀で左手は撃墜
「はぁ!」
ブシュ!
ヒヨルが刀を切り上げ胴体を一線
ゴロォ
デビルがよろめき
ドガァ!
地面に倒れる
「弱すぎ……ですね」
「あぁ…いくら何でも弱すぎだな」
ヒヨルは刀をルキに向ける
「さぁここまでです、大人しく降参してください」
ルキは独り言を呟く
「いや…あの女はここで殺す」
ピク
!
タッタッタ
ゼノは後退する
「今……動いたぞこの化け物」
ハハハ
笑うルキ
「そんなに怖がらないでよ…こんなにも可愛い子なのに」
ゼノ
「はは…これを可愛いってすごいな」
「構えてください…何かきます」
「わかってる」
2人は異形と女から目を離さず一定の距離を保つ
ルキは異形のそばまで近寄る
「ねぇなんであの2人は近寄ってこないのかな」
ルキは座り異形の顔に手を置き横たわる
「あぁ…気持ちいい」
「やっぱ私達似た者同士だね」
「何やってんだあいつは」
異様な光景に困惑するゼノ
ヒヨルは刀を向ける
「どうします…今なら叩けますかね」
「いや、範囲に入ったらなんか作動する……と思う」
「地面から魔力を感じる」
ふふ
ルキはゼノを見つめる
「やっぱりあの前髪は気付いてんだね」
「もういっか……一緒に逝こ」
バァク!!
ルキは言葉を終わらすと同時に異形に食われた
「あ……今あの人食べられちゃいましたよ」
「どうなって……」
グチュグチュ
デビルは原型から液状になり…
ギュルン!
人型になった
「パァ………んじゃ」
戦おっか
ビュン
……はっ
ギィィィン!
ヒヨルの前には異形の拳……を止める鎌
ギュル
目玉が動く
「よく止めたね……チビの癖に」
ヒュ
拳を戻す
「今度はどう!」
異形が構え拳を突き出す
「来るぞ!」
ゼノの一喝でヒヨルは魔力を練り上げる
ふぅ
全身の隅から隅まで魔力を行き渡らせ魔術をかける
上昇した身体能力
研ぎ澄まされる五感
異形から繰り出される乱撃を捌く
ギン
キン
キン
キィン!
「今です!」
乱撃をはじく
と同時にゼノが異形に向け攻撃に転ずる
ボ!
鎌に黒い炎が灯る
グッ
地面を踏み締める
ジャキジャキジャキ
ザァン!
―――黒炎の輪―――
あぁぁぁぁあぁ!!
異形が悶え苦しむ
至る所から炎が湧き出る
ガク
ヒヨルは膝をつく
近づくゼノ
「大丈夫か?」
「はい…さばいたつもりでしたが」
「少しくらっちゃったみたいです」
ゼノ
「うまく防御はしたみたいだな」
「でも、痛いですねこれは」
ゾワゾワゾワ
………!!
振り向くゼノ
目の前には笑う人型異形
「ははは……いいね気持ちいいぃよ」
「おいおい化け物かよ」
かはっ
「何言ってんのさ君は…ルキちゃんが化け物?違う違う」
「ルキちゃんは究極体「メディスノヴァ」になったんだよぉ!」
「これがマジュラ様が言ってた反乱軍の希望かぁ!」
「さいっこぉーーーーだぁ!!」
ドォォォ
ルキから出る魔力が跳ね上がり風を巻き起こす
ブンブン
鎌を回す
「訳わかんねぇこと言ってるけど」
「要は殺せば同じ死体でしょ?」
グッ
体を落とす異形
「そうだね……………お前もだろ?」
「立てるかあんた」
「どうも、相手は簡単に負けてくれないようだ」
「もっと息を合わせよう…そうすれば殺せる」
「了解です」
刀を異形に向ける
「簡単で分かりやすい実に……」
「私向きです」
3番通り両者は100%の力でぶつかり合う
死体と成り果てるのはどちらか…




