47話 それぞれの場所
ぶるるるるる
悪寒が走るエリック
「うぅ……なんか寒いな」
「大丈夫か」
「あぁ」
ヴヴヴ
エリックのカバンが光る
魔石を取り出し連絡を取る
「……あぁ……了解」
「じゃあ作戦通り帝城に入るチーム以外は反乱軍の残党を抑えてくれ」
「エリック……俺たちはここで待機してて大丈夫なんだな?」
「あぁ…心配すんな」
2人が立ってる場所は暗く湿った8番通り
反乱軍と帝国軍の戦場になっていない場所
半壊した石レンガの建物
瓦礫が散乱し辺りは廃墟と化している
「なぁアンス……師匠と一対一で話させてくれないか」
「……俺には聞かせたくない話があるんだな」
「まぁ…聞きたいならいてもいいが……」
「お前に災難が降りかかるだけだが……どうする?」
アンスは澄ました表情
「はぁ…いいさそのくらい」
「災難なら慣れっこだ」
エリックは歩き出す
「じゃあ行こうか」
「どこに?」
「そりゃ……師匠が捕まってるところだろ」
「………おう」
2人はフードを被り廃墟の深部へと歩を進める
静かな6番通りをひた走る6つの影
「はぁ…内戦だってのに呑気にねやがって」
騎士位3席「ライゴウ」ゼノが愚痴る
「いいことじゃねぇか」
「そんくらいでいいんだよ、罪なき帝民が武器をとるよりマシだ」
先頭を走る隊長レスト
「……んで、なんであんたらおんぶしてんの?」
黒マントは黒マントをおんぶして走っている
おぶさっている黒マント
「それは私が魔術適性が低いからだ」
おんぶしている黒マント
「あんま気にしないでください」
「いいじゃないですか、可愛いんだから」
にっこりと微笑むユル
「……同意しかねる」
「隊長……なんで騎士団長は改革軍なる者たちと共闘など…」
「俺が聞きたい……まぁ血迷った…なんて冗談じゃなきゃいいがな」
「今は全力で帝城への帰還に専念しろ」
「「はっ!」」
カツ
カツ
廃墟の奥に大階段
そこを下るエリックとアンス
「なぁエリック……よくこんな所見つかったな」
「ふふふ……もっと俺を褒めてもいいぞ」
「あぁマジですげぇよお前」
「おう……ていうかこれから先俺のこと守ってくれよ」
「戦闘には自信がないからな」
「なんだその自信ありげな言い方は」
「この先に師匠がいるって……具体的にどんな場所なんだ?」
「そうだな……言うなれば裏の処刑所?」
!
「……冗談か?」
「いやいや…ここに目をつけたのだって」
「俺がこの国で効率よく人体実験の材料を集められるかを計算して予測した場所だし」
「そこに本物の実験所があったっていう感じ」
アンス
「そんな適当な……」
「言っとくけど、ただの適当じゃねぇぞ」
「情報を精査して熟考に熟考を重ねた適当だからな」
「……すまん意味が理解できん」
カツ
「ここからは施設をひたすら徘徊するだけだ」
2人が降り立ったのは通路
全体的に暗いが所々に赤いランプが灯っている
見渡すアンス
「雰囲気あるな」
「そりゃあ、ここでは言葉で表せない実験してるしな」
「……それってどんなだよ」
「博物館でリリアは魔石が埋まってる生物を見たって言ってたよな?」
「あぁ…今でも信じられないがな」
「それは人工魔生物「ディスライフ」……かもしれない」
アンス
「なんだそれ…聞いたことねぇ」
「そりゃそうだろ、この実験は…」
「世界で禁忌になってるからな」
「禁忌って……勇者様の死みたいなやつか」
「いや…もっとわかりやすく醜い」
「ここに来る前にも「ディスライフ」みたいな事件に出くわしたが」
「あの時は中途半端で乱雑だった……ただ今回は生体改造じゃなく魔術を使っていた」
「実験が最終段階に行ってたら…最悪帝国が一つの魔生物に蹂躙される」
え………
「止めれるんだよな?」
「それもこれもリリアたちが帝城でどれだけ粘ってくれるかによる」
「あいつらには皇帝と議長を殺してもらわねぇと成功の確率が大幅に下がる」
帝城前
帝城周りの警備は最上限まで引き上げられ門は閉じ騎士が巡回している
門の前に騎士が集まる
「これより門を通ることができるのは騎士位5席以上の隊だけに限定する」
「共闘している改革軍の奴らも例外なく帝城への侵入は不可とする」
「わかったか!」
「「はい!」」
騎士は配置につく
指令を出した騎士はおもむろに他の騎士たちと距離を取る
ゴソゴソ
通信機を取り出す
「こちら…イアン、準備は終わったいつ始めてもいいぞ」
「ヴィットウェイは司令部にいる…頼んだぞ」
「了解」
アトロス帝城内部 下水道
「あの……あの!」
苦悶の表情を浮かべる男
「聞いてますかリリアさん!」
黒いマントをはおるリリア
「何よ……マッツ」
「ここ臭すぎませんか……4番通りから下水道で来てますけど」
「ここはとくにひどい……あと僕はディッツです」
歩く2人
「そんなこと言ってないで早く上昇部分を探さないと」
「あんたの索敵魔術を買ってチーム組んでんだから役に立ってよ」
ディッツ
「そんなこと言われても、俺は改革軍に入って帝国奪還作戦の前に急にあんたとチーム組めって言われてしかも皇帝と議長の殺害計画伝えられて頭がぐちゃぐちゃなんですよ」
「まぁ…気の毒には思うけど、私は魔力を温存しときたいの」
「早いとこ頼める?」
ディッツは横目にリリアを見る
「冷たいっすねリリアさんは」
「よっと」
目を閉じ手を地につける
アトロス帝国の地下水道は全てが繋がっており迷路状に広がっている
本来地下水道は一度入れば出てこれないと言われるほど入り組んでおりそれに加え道が一定時間で変わる魔術結界が施されている
だがディッツの魔術「方位」ではあらかじめ決めた方角から絶対に外れない道選択ができる
8番通りで反乱軍を倒したリリアはディッツと共に4番通りから地下水道で帝城を目指していた
目を開ける
「行きましょう…こっちです」
歩き出す
「別に疑ってるわけじゃないけど…本当にあってるの?」
「私の感覚ではぐるぐる回ってるだけにしか思えないんだけど」
前を歩くディッツ
「大丈夫です…道案内は得意中の得意なんで」
「それに地下水道の警備隊も外のおかげでガラ空きだし」
上を見るリリア
「そうだね…みんなのためにも頑張らないと」
3番通り
帝城へ向け走る騎士位3席「ライゴウ」と黒マント2人
「なんか……妙だな」
隊長レストが異変を感じる
ゼノ
「何がですか?」
「やけに反乱軍が静かだな」
「情報では反乱軍に魔道具を流してる奴らもいるって話だ」
「ただ…8番通りの拠点は抑えたし…あとはボス、幹部を引っ捕えるだけ」
「そんなあっさり終わるのかこの戦いは」
グンダ
「隊長……それはまだ反乱軍には隠し球があるってことですか?」
「まぁ…確信はないが可能性なら十分にある…」
「奴らは国家転覆が狙いのはず…なら帝城の皇帝を狙うはずだが」
……!
ズサァァ
足を止める一行
道を塞ぐように1人の女が立っている
「こんにちはクソッタレ騎士さん」
バチ!
女はムチを地面に叩く
「君は……味方…じゃないようだな」
武器を構えるレスト
「あったりぃ……ここであんたらと戦うルキっていうの」
「死ぬまで付き合ってくれたら嬉しいな」
「隊長…こいつ戦力差をわってないようです」
ブンブンブン
鎌を回すゼノ
「早いとこやりましょう…時間が惜しい」
バン!
ベチ
ルキはムチを振り回す
「わかってないのはあんたじゃない?」
ルキの周りに黒い影が湧き出る
ゾォゾォゾォ
「………な!」
レストはその光景に困惑する
「なんで…首がないのに動いてんだよ」
ルキの周りには無数の首なし
「さぁ可愛い子たち……あいつらを殺しなさい!」
首なしはジリジリと這い寄る
「ち……やるしかねぇのか」
武器を構えるレスト
「待ってください」
黒マントが前に出る
バサァ
フードを脱ぐと漆黒の長髪がなびく
「ここは私に任せて早く帝城にいってください」
「いいのか…」
「あなたを帝城に行かせることが…私に託された使命ですので」
「早く行ってください」
武器をしまうレスト
「わかった……じゃあこいつも一緒に戦わせてくれ」
ゼノの肩に手を置く
「はぁ…隊長の命令じゃ仕方ないか」
「いいですよ…僕がしっかりカバーしますから」
「では頼みましたよべネス!」
黒マントがフードを取る
「おう任せてください!」
……………
無言になる一同
べネス
「俺は誰に運んでもらえばいいのでしょうか?」
レスト
「………いいよ 俺が運ぶよ」
「隊長ではなく、このグンダが運びます!」
「いいって、それにもう動かないとやばいだろ」
首なしが襲いかかる
ガァ!
シャキン
ザン!
鎌と刀が首なしを両断する
「カバーするけど足引っ張んないでよ」
「大丈夫です、私そこそこ強いので」




