44話 裏工作
リリアが制御室から出た同刻 ヒヨル、アンスペア
「うぅ、寒い」
身震いするヒヨル
「てか、俺がこれ借りて良かったのか?」
アンスはエリックの隠密用マントを羽織っていた
「別にいいんじゃないですか?エリックさんからもらったわけですし」
「いやもらったわけでは……」
がさ
…………
ばさっ
2人はマントを被りマスクを出す
立ち上がり振り返ると同時に武器を構える
木々の中に人影
「1……2、3人ってとこかな」
アンスがつぶやく
「私が前担当するので援護頼みます」
「おぉ」
木陰から顔をだす仮面
「あんたらか…怪盗を名乗る不届者は」
仮面は口が尖り白と黒の模様が浮き出ている
ヒヨル
「違います…あなた達こそ怪盗じゃないんですか?」
「それに変なお面ですね……趣味が悪い」
「まぁ力でねじ伏せるのは嫌いだが、仕方ない……よな?」
ゴォォォン
なっ!
博物館から轟音がなる
「リリア……」
ヒヨルが後ろに気を取られていると首元に刃が振り下ろされる
「しま……」
キィン
間一髪アンスが割り込む
「不意打ちとは根性が汚ねぇなあんた」
「不意も何も戦場で意識散らしてる方が悪いだろ」
仮面はダイヤ型の剣身をふりかざす
アンスは自前の短剣で応戦する
ざっ
アンスは上体を後ろにそらしヒヨルと交代する
ふん!
刀を横一線
ボカっ!
バキバキバキバキ
仮面は吹っ飛び木々を押し除ける
「最初3人いましたよね?」
「あぁ途中からいなくなった……」
「ここ任せていいか」
「はい、あっちは任せます」
アンスは博物館に向かう
(では私は集中しますか)
ふぅ
ヒヨルは刀を縦にもち集中する
微風が辺りを包み込む
風に自身の魔力をのせ敵を索敵する
―――網風膜―――
スゥ
ゆっくりと目を開ける
「もっと小細工してくると思いました」
目の前に仮面
「なぁに、俺は小細工が嫌いなんでねそれに……」
「正面でなきゃつまらねぇだろ」
ビュン
ヒヨルは風をまとい戦う
――博物館 1階――
ヒュン
ダダダダダダ
「ゴォウ!!」
異形はリリアとの距離を詰めて攻撃し破壊の限りを尽くす
展示品など目もくれずただ目の前の標的を殺すのみ
ガウ!
キン
剣で攻撃をいなす
勝機を伺いながら展示品に気を使い奥の扉まで誘導する
(こんな所で魔力使いたくないんだけどな)
ブゥン!
異形の横殴りをしゃがみかわす
タッ
ふん!
どん
振り抜いた異形の隙を付き回し蹴りで顔面を蹴る
よろめく異形
「あんたの耐久性…異常だね」
「いっただろ僕は強いんだよっ!」
五指でリリア掴もうとする
ドラァ!
キン
手を跳ね返すリリア
「じゃあもっと力を見せてよ」
のけぞる異形
タタタタ
「そうだ忘れてたぼく……魔術使えるんだった」
ピカ
魔石が光る
ジャガジャガ
地面から人形が出てくる
警戒するリリア
「似合わず可愛い人形ね」
カタカタ
人形がぎこちなく動く
ふい
人形が腕を振るった瞬間
ドッ!
ゴォン!!
横からの爆風がリリアを襲う
「なっ……くっ」
リリアは風を避ける
ドン
逃げた先に衝撃波で壁に叩きつけられる
ゴトォ!
「いった…なんだ今の……見えない攻撃…で」
「本体も隠れてるのか」
人形の周りにはあの異形の姿はない
魔力なら感じる
ダッ!
走り出し距離を詰める
襲いかかる衝撃波は前兆に魔力を感じ取り避ける
(おそらく、あの人形が攻撃範囲を操ってる)
叩けば本体が死ぬはず
バッッッッ
ヒュン
ダッッッッ
スルッ
衝撃波が横から上から襲う
それを避けながら接近する
ズサァァ
スライディングでかわし
タッ
人形へ地面を蹴り上げ剣を下ろす
(とった!)
がぱ
人形の口が開き
「死ねぇ!」
異形が飛び出す
両手を握ると拳が回転する
キュィィィン
ブゥン!
…………あれ?
異形の拳は空を切る
と同時に頭が空に落ちる
「正直に正面から行くわけないでしょ」
回る頭は後ろで剣を振り終えこちらを見下ろす少女を捉える
「な……んで」
―――写鏡―――
「うつった姿が本物とは限らないよ」
ドサ
剣を階段上に向ける
「で……あなた達も殺し合いするの?」
「うっわー今の見た?」
「まじやばくな〜い?」
「気配の感じ取り方がキモいですね」
「どうします……僕は撤退でも良いと思います」
階段の上で白いマントに仮面をつける二人組
左は蝶のような仮面に青のツインテール
右は山羊のような仮面にグレーのストレート
「撤退ってあいつらあたしたちの名前勝手に使ったんだよ」
「まじムカつくんですけど」
「そうですね、では……」
「ここで無力化しますか」
バサァ
山羊はマントをなびかる
右手には石が握られている
山羊は動作なしで石を投げる
ビュュュュン!
はっ
あまりにも動作が無かったためリリアの反応が少し遅れる
ギィン
ドン!
床に突き刺さる
「く……」
肩を抑えるリリア
(いくら魔術とはいえあの動作でこの威力…単純な強化じゃなさそうね)
「え…避けられてんじゃん」
「うける〜ぷぷ」
「ではあなたもやってみれば良いでしょう」
「もちろん1人で」
「受うけてたつし」
ガチャ
蝶のマントの中から弓の魔道具
ガチャガチャ
弓が展開される
「じゃズバッといくよ〜」
グググ
ピンクの矢が突如出現する
弓を絞る
ぱっ
ギュゥン
ピンク一閃
「どんどんいっくよ〜」
次々と撃たれるピンクの矢
避けるリリア
(距離が面倒だな……どうにかして2人の所まで)
乱射で辺りが曇る
ダダダダダダ
乱射は止まらない
煙に紛れ影に潜む
(気配を消して奇襲で………)
よそ見はダメっしょ
なっ
至近距離に蝶の仮面
(いつの間に!)
ピュン!
さっきとは違い細く早い閃光
「………あれ?」
消えるリリア
………!
蝶仮面の横に剣が通る
スカ
剣が空を切る
「やっぱワープ系の魔術か」
シュタ
階段上
「どうしよっか」
「何がですか」
「いや〜どうやったら無力化できるか〜てね」
「そろそろおわ……りの前に来客ですよ」
どん
2階の天井から落ちてくる黒マント
「はぁ…侵入ルートに手間取っちまったぜ」
「あんたらは何者なんだ……」
「何こいつ、後から来たくせにちょう偉そうなんだけど」
「感情に流されないで、今回はここまでです」
「えぇなんでよぉ!」
「この人たちはどうやら無関係の人達らしい」
「ジェットも気付いて撤退したようです」
「目的は達せられたと言うわけです」
蝶仮面は弓をしまう
「はぁ……まぁジェットが言うなら……良いけどさ」
山羊仮面は辺りを見渡す
「それにこんなに場を荒らしてしまえば帝国騎士団がきます」
「その前に逃げましょう」
「というわけなので…私たちは手を引きますので」
「あとはご自由にどうぞ」
トンカチをしまうアンス
「じゃ、早く消えてくれないか」
「ほんっとむかつくあの男」
「言われなくてもやるし!」
蝶の仮面が胸に手を当てると2人の姿が消える
タタタ
2階に登るリリア
「何してんのこんな所で!」
「いや今のいたろ2人組」
「追っかけてきたんだよあっちはヒヨルに任せて」
「そう……」
辺りを見渡すリリア
「私たちも早く行こう、ヒヨルにも連絡しないと」
……と
「その前に目的のものを取らないと」
帝英博物館から南方の建物屋上
白いマントをなびかせる3人
「……で今回の首謀者は見当がつきましたか?ジェット」
カパ
ジェットと呼ばれた青年は尖った仮面をとる
深緑の髪が風にゆれる
「そうだな、中で戦っていた魔獣をみるに……研究機関に属する何者かな」
「ちょ何それ、めっちゃ曖昧じゃん」
「じゃああなたはわかったんですか?アルピラ」
青髪が揺れる
「………ふん!」
「私マルクス嫌い!」
「まぁまぁ2人とも……明日になればわかることさ」
「「明日?」」
「そう……開戦は真実を明らかにする」
ヒュゥゥゥウ
風が強くなる
「大丈夫…この落し前はつけてもらうさ」
8番通り大建物エンタープ広場
瓦礫の山に座る集団
各々が喋り騒いでいる
「ボスはまだか」
オールバックの男
「もうそろそろのはず」
長髪の女
パッ
暗闇の広場に差し込む人工の光
「お前ら…よく集まってくれた」
拡声器で声を響かせ登場する男
「今宵は宴、解放の前祝いと……行きたいが」
「宴なんかよりも楽しい事が始まるぜぇ!」
男が手をあげると
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
怒号にも似た歓声が巻き起こる
「わかってる…お前らの嘆きは…俺も一緒だ」
ばさっ
男の後ろには大きなばつ印が入ったアトロス帝国の旗
「迫害された、略奪された、暴力も受けた…」
「痛かったよな…悔しかったよな今まで」
「だが!」
「耐えた痛みは革命をもって清算される」
男は手を広げる
「このステージに立ってんのは反乱軍を初期から支える幹部」
「特別に2人紹介する」
まずはデンジャー
オールバックの男が前へ出る
「こいつはキレる頭は世界一、戦えば帝都最強」
「もっとも信頼する俺の相棒」
ドン胸を叩き合う2人
「頼むぜ相棒」
「おぉ」
声は深く重い
デンジャーは拡声器を持つ
「俺からいうのはただ1つ、命はもう捨てた」
「今俺を動かすのは過去の醜悪そして………」
指をボスに向ける
「こいつだ…」
「みんなも心してついてこい、こいつに従うなら命じゃ足りねぇ」
「過去の苦しみこそ俺たちの動く原理だ」
うぉぉぉぉぉぉぉ
歓声が上がる
ボスは拡声器を手に取る
「いいねぇ…では次!カイナよろしく」
茶髪の女が前に出る
「よろしくどうも……言いたいことは……特にないわ」
「まぁ…存分に殺しましょ♡」
ぺろ
ふぃぃぃぃぃぃぃ
熱い歓声が上がる
「サンキュ」
「えぇどうも」
「あとの幹部は非公開……まぁ見てからのお楽しみってやつだ」
ざわつく会場
「わかってる……だがここで言えない理由があるなら」
「この中にはぐれものがいるってことだ」
ざわざわざわ
「大丈夫落ち着け、正体は割れてる……手は打ってある」
「それに強力な支援者もいる」
「魔武器に特別な薬もある、準備は万端武器も充実してる」
「楽しみにしときな…勝つのは反乱軍だ」




